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第25話

 アンデッドナイトがコボルトの前に立って、剣を構えている。冒険者には見向きもしない。


「・・・おい、今の内に逃げよう!」

「ちょっと待て、こいつ、まさかちょっと前にギルドからの一斉情報の例のアレじゃないのか?」

「まさか!?でも、この動きは確かに・・・」

「それよりも先ずは俺たちの命が優先だろ!下がるぞ!お前ら呆けて無いで自分の事を心配しロッテ!」

「そうだぞ!観察してる場合じゃねえ!この機を逃せばどうなるか分からんだろうが!アンデッドナイトがこっちに剣を何時向けて来るかも分からねーんだぞ!?」


 自分たちの手には負えない異常事態、冒険者たちは直ぐにでもこの場を離れようと動き出す。


 しかしソレを魔物、コボルトたちは見逃すはずも無く。


 だがそのコボルトの動きを牽制する様にしてアンデッドナイトが動く。


 横薙ぎ、ただそのひと振りでアンデッドナイトがコボルトの動きを止める。


 だけでは無かった。


 剣に魔力の乗ったその一刀は不運にも間合いに入っていたコボルトを上下に別つ。


 この光景を背を向けずに警戒しながら後方へと下がっていた冒険者たちはその目にする。


「ウッソだろ!?今の全然届いて無かったじゃん!」

「馬鹿!そんな事は気にしてる場合じゃない!気にしたいけども!」

「お前ら下がる事を忘れんじゃねーって!充分な距離を取ったら即行ダッシュだぞ!」

「この事は別にギルドに報告するから、今は逃げる事だけ考えろ!」

「なあ?ドローン浮いてるぞ?もしかしてもうこの事は映像を通して向こうも見てるんじゃね?」


 最後の一人の言葉に冒険者たちは天井付近を見た。それは今この緊迫した状況では明らかに自身の死を呼び込む事に繋がる隙になってしまうのだが。


「あ、本当だ。」

「は?監視が付いてるって事かこのアンデッドナイトに?」

「どう言う状況かサッパリ分からんのだが・・・」

「そんな事よりも!もっと距離を稼ぐんだ!急げって!」


 その内の一人だけは冷静さを保っていて仲間への注意を怠らない。


 しかしその声は虚しい。何故ならば既にその時にはもうアンデッドナイトがコボルトを全滅させていたからだ。


「・・・は?何時の間に?」

「え?コボルト居ねーじゃん・・・何処に行ったんだ?」

「俺たちがドローンに一瞬気を取られてる間に何が起きたんだ?」

「・・・落ちてるの、魔石だよな?奴等の断末魔なんてこれっぽっちも・・・」

「あ、俺ちょっとだけ見えてた。あのアンデッドナイトが二回剣振っただけで残りがいきなり真っ二つだった。」


 ドローンの事に最初に気付いたその冒険者がその様な発言をした事で残りの全員が「は?」と言った顔に変わる。


 しかしそこでアンデッドナイトが妙な行動に出た事でその顔が次に驚愕へと変わる。変えられてしまう。


「なぁ?俺たち、助かった、って事でオケ?」

「いや、助けられた?アンデッドナイトに?」

「おいおい、何の冗談だってんだ?今度は俺たちが標的・・・にはしてこないみたいだな?」

「警戒は怠るなよ!って言うか、何してんだコイツ・・・」

「魔石、拾ってるね?何の為に?・・・って、は?」


 アンデッドナイトが魔石を拾うとソレを冒険者たちの方へと「ぽーん」と、無造作に放り投げて来る。


 その動きは極々自然、コレに思わず投げられた魔石を素直に受け取ってしまう冒険者たち。


 まるで「ほらよ」と言った感じでそれらは行われ。冒険者たちも呆けて「あ、はい」などと言った感じで意識もせずに魔石をキャッチ。


 魔石の受け渡しが完了すればアンデッドナイトが再び歩き出す。通路の奥へと。


「・・・一体何だったんだよ、今の・・・」

「助かった、で、良いのコレ?」

「えぇ・・・?なんなん?何なん?一体、何なん・・・?」

「これ、ギルドに戻って報告案件じゃね?結局は。」

「もう今日の所はコレでお終いだな。戻ろう。」


 この一瞬の出来事に冒険者たちは困惑しか湧いてこない。


 しかしこの件を上に報告しないでいる事は出来ず。


 結局は何はともあれ撤退すると言う結論を出すと、アンデッドナイトの姿が見えなくなるまで見送ったのだった。


 ===  ===  ===


(ふむ、別段これと言った手応えも無かったな。この先にもこの程度の敵しか出てこないのだろうか?修練にすらならんなこれでは)


 私は介入した戦闘を終わらせた感想にその様な事を思う。


 今更にこのアンデッドと言う存在になって「修練」「修行」「訓練」「鍛錬」などと言った事は滑稽にしかならないのだが。


(おっと、今の私が為そうとしているのは人助けだ。そこに重点を置くのは無いな)


 自身の決めた事をちゃんと思い出して通路の先へと進む。


 しかし出て来るのが先程の魔物程度の実力ならば幾ら数を揃えて出て来ようが私の敵にならず。


(敵を求めて彷徨うアンデッド、まるで亡霊か。いや、まさにそうでしか無いな)


 私は心の中だけで苦笑いを浮かべつつ、助けを求める者が他に居ないかを神経を澄ませながら歩み続けた。

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