表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/21

第13話

 ゴブリンを駆逐している間、この部屋に誰も来る事は無かった。私が青く光る小石を拾っている間も。


 その間に黙々と何も考えずにして疲労していた精神をひたすらに落ち着かせていたが。


(これは一体いくら程で売れるのだろうか?まあコレだけの数が有れば小金にはなるか)


 時間がどれだけ過ぎたのかもわからない程に集中し最後の一つを拾い終える頃には。


(さて、空間収納に全て放り込んだ。これで終わりだ・・・いや、これは何なのだろうな?)


 最後の一つ、手の中でしみじみと青く輝くその色を見つめる。


 得られる物が無くては人と言うモノは動かない。ならばこの石には相当な価値が在るのだと思うのだが。


(宝石にしては小ぶり過ぎる。形もバラバラ。加工するにしてもこの様ではな)


 私の持つ常識から考えても魔物を倒した後に宝石が取れるだなどと言う話は聞いた事が無かった。


(場所が変われば常識も変わるのか?まあ、ソレは良いだろう。ここにはもう用は無い)


 ホブゴブリンの落とした石だけは他とは大きさが少しだけ違ったのだが、ソレも直ぐに空間収納に入れて忘れる。


 それよりもこの部屋だ。


(有るのはゴブリンが出て来ていた穴しかない。あの大きさでは人が中に入り込むといった事はできん。確認の為に中を探索、と言った事はできんだろうな)


 生き残りが居ないかどうか、今後の安全の為にもその点を探っておきたかったのだが。


(まあコレだけ処理をしたんだ。この先、暫くゴブリンが出て来る事は無いか)


 この巣の奥にもしも万が一にも「マザー」が居る可能性、その危険が頭の中を掠めたのだが、ソレを一旦私は無視する。


(それにしてもどうやら下層に繋がる道はこの部屋には無いらしいな。やはり私の知るダンジョンと違うのか?)


 階層主、その部屋だと思っていた。思い込んでいたのだ。しかしそうでは無かった様で。


 この分かれ道ばかりの迷路を隅々まで歩き回らねば下層への道は見つからないらしい。


(私の知るダンジョンは下層への道を守る様にして階層主が居た。ここではどうも違うらしい)


 自分の知るソレとは全くの別物、そう思い直すべき。私は気を引き締め直す必要が有る事に無理やり気づかされる。


 そうして部屋を出ようと振り向いた際に、彼らは居た。


「居たぞ!何て奴だ!?フロアに湧き出て来た時とは禍々しさが違う!こいつ・・・パワーアップしてやがるぞ!皆!気を付けろ!」


「馬鹿!叫んでんじゃねーって!おい!気づかれたじゃんかよ!」


「監視と追跡だけって言ってるのに、お前、多分今回の事で相当キッツイ処分が下されるぞ?」


「おいおい、ここで戦闘とかする気?真っ先に逃げさせて貰うぞ、その時は。罰を食らうのはそこの興奮して叫んだヤツだけにしてくれ?俺たちは関係無いからな?」


「・・・なぁ?ここって誰も攻略出来て無かったホブゴブ野郎の出て来る部屋だよな?一定数のゴブリンを倒さないと扉が開かないギミックで撤退の難易度も高いって有名の。」


「ちょっと待て?何でホブゴブどころか、ゴブリンの一匹も出て来ねーの?何か嫌な予感がすんだけど。」


「俺たちは只の先行調査隊だぞ?後から来る奴等に引継ぎはどうすんだこの場合?」


 七名の冒険者が扉の側に居て何やら騒いでいる。しかし私は未だに彼らの使う言語を理解できていないので何を喋っているのか分からない。


(ここはどう言った国なんだ?聞いた事の無い難しい発音、どうやら中々に複雑性の高い言語の様だが。まあ、そこは今考える事では無さそうだ)


 彼らの内の一人が剣を抜いて構え始めたのだ。その気は私へと向けられており、ソレは確実に敵意だった。


 だが残りの者たちはどうにもそうでは無く、私はどの様な状況なのかと首を軽く傾けるしかない。


(ヤル気なのか?そうで無いのか?・・・あ、後頭部を小突かれている。何をしたいんだ?)


 コチラへと剣を構えていたヤル気の有る者が仲間の一人にその後ろ頭を強めに殴られて怒鳴られている。


 仲間割れか?と一瞬だけ思ったのだが、どうにもそうでは無い様子に私の困惑が少しだけ大きくなる。


(彼らに下層への降りる道を聞く事も出来ない。扉の側でがやがやと何時までもやっているせいで近づいて良いモノかどうかも分からん。どうやら私に用があるみたいに見えるのだが、しかしなぁ?)


 困っている様子だが、別に私が助けに入らねば命の危険が、などと言った事でも無い。


 この通り私はアンデッドなので、彼らが私を討伐対象として認識していると言うのなら話は早かったのだが。


 私に敵意を示したのは剣を抜いた一人だけ。その他の者たちはどうにも引け腰。寧ろ怯えている様子にも見えた。


 このままで居ても向こうはこちらに近づいて来る気配は無い。


 私がここで相当な数を始末したので恐らくはこの階層でのゴブリン共の影響は暫くは無くなると思われる。


(下層に行けば助けを求める者が居る可能性は増えるだろう。ここでの活動はもう良いだろう。とは言え)


 集めた青く光る小石の処理をどうにかするべきだ先に。


 なのでここに初めて現れた時のあの場所、恐らくはそこでこの小石を引き取っているに違いないと思い私は一歩を踏み出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ