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【完結】勇者殺しの元暗殺者。~無職のおっさんから始まるセカンドライフ~  作者: 岡本剛也
第2章

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第55話 表と裏

 

 火炎瓶の作成を終えた日から三日が経過し、俺は休日を迎えた。

 今日は休日ではあるが、『都影』の情報集めに一日を費やす予定。


 ちなみに一昨日から売り出した火炎瓶だが、看板とビラに加えてヴェラが冒険者の客にオススメしたお陰で、一週間の目標であった二十本を初日で売り切ることに成功。

 翌日は十五本に落ち込んだものの、販売から二日で三十五本もの火炎瓶を売ることができた。


 俺は自分の行ったことが報われる喜びをひしひしと感じたのだが、ヴェラも成果が出たことで初めて仕事の楽しさを知ったのか、火炎瓶を売り始めたその日の終業後から、俺に次なるアイテムのアイデアを煮詰めようという提案をしてきた。

 そんなこともあって新しいアイテムを作成すべく、在庫はまだ残っている状況ではあるが既に煙幕のアイデアを煮詰めている状態。


 今はコスト重視かパフォーマンス重視か揉めており、まだまだ形にするのは先だとは思うが、火炎瓶同様に『シャ・ノワール』に利のあるアイテムを制作したいと思っている。

 そんなキラキラと輝くような日常から一転、今日は裏の仕事。


 まぁ金銭が発生する訳ではないため、仕事といえるのかは微妙なところだが、暗殺時代に行っていたような情報集めを行う。

 最近は着ていなかった革の防具に身を包み、懐に短剣を忍ばせて準備は万端。


 せっかくだし火炎瓶でも持っていこうかと思ったが、確実に邪魔になるだけだしいらないと判断。

 火炎瓶が売れて正直浮かれているけど、その辺りの判断だけはシビアに行っていかないと命を落としかねないからな。


 久しぶりにスイッチを入れた俺は、ボロ宿を出た瞬間から情報集めに注力する。

 気配を完全に絶つことはせず、一般人を装いながら人混みに紛れてまずはギルド通りを目指した。


 俺が支部長を殺したあのバーの付近を調べるのが手っ取り早い。

 くれぐれも気取られることはないよう、最善の注意を払いながらギルド通りへとやってきた。

 

 ギルドが立ち並ぶ奥は人でいっぱいだが、やはりこの飲み屋街のような場所は昼間なのにも関わらず静か。

 大通りとはまるで別のような街のような錯覚を味わいつつも、ここからは一般人になりすますのを止め、完全に気配を断って姿すらも見られないようにする。


 屋根から屋根へと伝いながら、あのバーの入口がギリギリ見える場所を探して待機。

 あとはひたすら気配を殺しながら、何かが起こるのを待つだけ。


 地味なようにも感じるが、こういった地味な行動の積み重ねが貴重な情報へと繋がることを俺はよく知っている。

 聞き込みでは足がつきやすいため、人から情報を聞き出す場合は基本的に殺して口を封じないといけない。


 危険は少ないという判断でテイトは逃がしたが、幹部が来ているという情報を手にした以上は、『都影』の人間に見られた場合は末端の人間であろうと確実に殺す。

 自分のためでもあり相手のためでもあるため、例え一日収穫が得られなかったとしても功を焦らずに地道に情報を集めていく。



 そして朝一でギルド街へとやってきて、他所から見られない位置に潜伏すること約半日。

 日は落ち始めており、これだけ長いこと監視していたのだが変わった動きは一切なかった。


 もしかしたら、もうここのアジトはもう捨てているのかもしれない。

 脳の片隅でそんな思考が過った瞬間――例のバーから人が出てきた。


 如何にもな黒服二人を引き連れた、スラッとした体形の男。

 周りの黒服の反応を見る限りでは、真ん中に立っているスラッとした男が偉い立場だろう。


 この間斬った支部長のような武の臭いは一切感じないが、強烈な死の臭いはプンプンと漂っている。

 ……さて、ここからどうするか。


 捕まえて情報を吐き出させるのか、それともこのまま尾行を続けて慎重に情報を探るのか。

 時間もないことだし、とっとと情報を吐き出させた方がてっとり早いかもしれない。


 近くにはあのバーがある訳で、地下室なら最悪殺してもバレることはない。

 そう考えた俺は、黒服二人を引き連れた男を捕まえに動こうとしたその瞬間――。


 更にもう一人、別の人物がバーから出てきた。

 全身の毛穴が開くこの感じ。……恐らくだが、相当な使い手だと思う。


 背は小さく、フードを被っていて顔は確認できない。

 今のところ強さは一切感じないのだが、強さを一切感じないということ自体がおかしい。


 気配を断っている今の俺と全く同じ状態であり、俺と似たような畑出身の人間。

 負けることはあり得ないが面倒なことになるのは避けたいし、尾行に切り替えるか。


 取り押さえるのは一度諦め、黒服二人とスラッとした偉そうな男。

 そして、暗殺者らしき人間の尾行を開始した。


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