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【完結】勇者殺しの元暗殺者。~無職のおっさんから始まるセカンドライフ~  作者: 岡本剛也
第2章

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第44話 アイデア


 初めてのヴェラと二人で店番。

 静寂という言葉に相応しいほどの静けさで、最初はどうなることかと思っていたが、アイテムのアイデアという共通の話題を作ったお陰で会話が弾んでいる。


 昼のピークタイムが過ぎ、少し客の入りが少なくなる時間帯。

 ここまでで合計五十個くらいの戦闘アイテムのアイデアを出し、ピークタイムは客の対応に追われながらも捻り出したアイデアの精査をしていた。

 客がいないこのタイミングを活かして、互いの意見を言い合う。


「どうだ? 出したアイデアの中でこれといったものはあったか?」

「私が特に良いと思ったのは三つ。一つは煙幕。二つ目は火炎瓶。三つ目は臭い爆弾」


 まぁ安価って部分を考えたら、ヴェラの上げた三つが有力候補だよな。

 あとは音爆弾、閃光玉なんかも安価で制作できそうだし、対象の相手が魔物であることを考えたら特に異論はない。


「俺も概ね同意見だな。ヴェラも同じ考えなら、基本的に煙幕か火炎瓶の方向で考えていこう」

「臭い爆弾はなし?」

「煙幕に臭いをつけることもできるからな。他には眠り効果や毒なんかも混ぜられるし、煙幕は使い方に幅がある」


 猛毒の煙幕なんかは、実際に何度か暗殺で使用したことがある。

 全部支給されたものだったし製造方法は知らないが、なんとなく作り方は想像できる。


「色々な使い方があるなら、煙幕で決定でいい」

「でも正直な話、火炎瓶も捨てがたい。あまり流通していない情報だが、瓶に油とクズ魔石を入れて激しく振ってから強い衝撃を与えると爆発を起こす」

「それ本当? 燃料の入った瓶の外側に火属性の魔石をつけるのが一般的……っていうか、それ以外の火炎瓶なんて聞いたことがない」

「本当だ。実際に試したことがあるからな」


 幼少期にクロに森に放り出された時は、実際にこの火炎瓶を使って魔物を追い払っていた。

 クズ魔石はゴブリンなんかの弱い魔物からも手に入るし、油は植物から採取することができる。

 懐かしい昔の記憶を思い出していると、ヴェラが何故か俺をジト目で見ていることに気が付いた。


「……レスリーから、ジェイドは無職だったって聞いた。なんで嘘をつく?」

「別に嘘じゃない。俺は本当に働いたことがないからな」

「嘘。桁違いのスピードにその知識量。無職のおっさんが煙幕の使い方や火炎瓶の生成に精通している訳がない」

「何度も言うが嘘じゃない。色々あったけど無職は本当だ」

「嘘」

「悲しくなるから無職だったことを力説させるな。アイテムの話に戻そう」


 疑った表情を見せたままだが、ヴェラには実力の一端を見せたし疑われるのは当然。

 流石に元暗殺者だとは思われていないだろうが、ヴェラからは今後疑った目では見られ続けるだろうな。


「結局どっちを推すの? 私は変わらず煙玉派だけど」

「正直、どっちを推してもレスリーはアイデアを買ってくれると思うが、やっぱりコスト的に火炎瓶からの方が良いと俺は思う。もし仮に火炎瓶が売れたら、煙玉に費やすコストを増やしてくれるかもしれないしな」

「じゃあ火炎瓶のアイデアをレスリーに買わせよう。材料は店にある?」

「油は分からないが、クズ魔石なら倉庫に眠っていたはず。前にチラッと見た」

「クズ魔石はジェイドが倉庫から探してきて。私は油を買ってくる」


 ヴェラはそういうと、俺を残して店を飛び出していった。

 客が来ないかだけは注意しつつ、俺も瓶とクズ魔石を倉庫から引っ張りだしてこよう。


 二手に分かれて行動してから約十分後。

 あっという間に俺流火炎瓶の材料が手元に揃った。


「実際に材料を置いてみて思うけど、本当にこれだけで火炎瓶になるの?」

「やってみれば分かるが流石に街の中じゃ使えないし、レスリーが戻ってきたら売り込みがてら街の外に行って使おう」

「街の外まで行くのは面倒くさいけど、自分で作った火炎瓶を使うのは楽しみ」


 自分で作ったといえばそうなんだが、瓶の中に油を注いでからクズ魔石を入れただけ。

 クラフトと呼ぶにはあまりにもお粗末だけど、ヴェラが満足そうだしいいか。


「あとはレスリーがゴーサインを出してくれるかが問題だな」

「レスリーなら絶対に出す。……これだけでお金が稼げる。意外とちょろい」

「まだ稼げると決まった訳じゃないぞ。店の端っこで埃被ってるレスリー作のアイテムみたいに、売れ残ったら一銭も稼げないからな」

「流石にあの駄作とは違うし、少しは売れる」


 そこからもヴェラとの会話は途切れることがなく、レスリーとニアが配達から戻ってくるまでアイテムについて話し合った。

 アイテム制作を通じてヴェラと仲良くなれたし、また一つ『シャ・ノワール』で働くのが楽しくなったな。



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