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【完結】勇者殺しの元暗殺者。~無職のおっさんから始まるセカンドライフ~  作者: 岡本剛也
第2章

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第40話 冒険者


 冒険者という言葉を聞き、首を大きく傾げたテイト。

 金を稼ぐ手段として、一度は考えたことがあると思うから知ってはいるはず。


「冒険者ですか? 考えたことはありますけど、腕には一切自信がないので難しいですね」

「なるほど、興味はあるってことだな。実は俺の知り合いに一人、ルーキーの冒険者がいる。そいつとパーティを組むっていうのであれば、俺がテイトの戦闘の指導をつける。……少し考えてみてくれ」


 まぁ急に冒険者になれって提案は怖いだろうし、考える時間を与えるために俺はそう言い残して立ち去ろうと思ったのだが……。

 テイトは後ろを向いた俺の肩をガッシリと掴んできた。


「ジェイドさんが指導をしてくれるんですか?」

「ああ。その冒険者とパーティを組むっていう条件付きだがな」

「その人とパーティを組みます。私を一人前の冒険者として育ててください!」


 テイトは勢いよく頭を下げると、力強くそうお願いしてきた。

 目の前で一応上司にあたる人物を殺した訳だが、まさかこんな即答するとは思っていなかった。

 ……急な思いつきな訳で、肝心のトレバーに何の相談もしていないしな。


「そんな即答していいのか? 別に考える時間は与えるぞ。冒険者になると決めたとしても、数ヶ月は地味なトレーニングばかりで依頼はこなせないだろうしな」

「大丈夫です。絶対に冒険者になります!」

「妹と相談とかしなくていいのか?」

「生きるためですので、ケイトも納得してくれると思います」


 ここまで意思が固いなら、無理やり考える時間を作れと言えない。

 トレバーには俺から伝えるとして、テイトの指導もこれから行うとしようか。


「そこまで覚悟が決まっているなら、これからトレバーと一緒に指導をしよう」

「ジェイドさん……本当にありがとうございます!」

「感極まっているところ悪いが、待遇は最悪に近いからな。俺にも生活があるから、一ヶ月に一度しか指導出来ない。その上、俺から金銭等の援助もしない」


 まぁしないというよりかは、できないが正しいのだが……細かいところはいいだろう。


「分かっています。あの支部長をあっさりと倒したジェイドさんに、指導をつけて頂けるってことだけでありがたいので!」

「分かっているなら良かった。パーティを組んでもらうトレバーとの顔合わせは三週間後。その期間までの自主トレの内容を考えるから、少し拳を構えてくれるか?」

「拳を構えればいいんですね。分かりました」


 テイトはそう言うと、綺麗なフォームで構えた。

 女性といっても、元『都影』の構成員。


 技術関連は一切習っていなそうだが喧嘩の場数は踏んでいるようで、正式に冒険者であるはずのトレバーなんかよりも怖さを感じる。

 ……というか、錆びているとはいえ剣を持っていて、あの情けなさを醸し出せるのは逆に凄いんだけどな。


 剣に振り回されていたトレバーの姿が頭に思い浮かび、続けて真面目な表情で俺の身を案じてきたあの光景を鮮明に思い出してしまった。

 思わず吹き出しそうになるのを太腿を思い切りつねり、なんとか笑いを堪える。


 ここ数十年は本当に笑った記憶がなかったのだが、トレバーはどうしてもツボなんだよな。

 戦闘のセンスはそこそこだけど、笑いのセンスは飛びぬけていると俺は思う。

 大道芸でも極めて、サーカス団か何かに所属すれば爆発——。


「あ、あの……立ち尽くされていますけど、何か駄目な部分があったでしょうか?」


 つねった痛みで笑いを堪えながら、ついトレバーのことに思考を向けてしまった。

 心配そうに見つめるテイトに対し、俺は一つ咳払いをしてから話を再開する。


「いや、大丈夫だ。構えは中々様になっていると思う。戦闘の経験はあるのか?」

「喧嘩は何度かあるって程度です。魔物とは戦ったことないですね」

「喧嘩のみってなると、今まで指導とかも受けてこなかったのか」

「はい。『都影』では雑用しかやらせてもらえませんでしたので。こんな私ですけど大丈夫でしょうか?」

「鍛えれば大丈夫だ。動きが見たいから殴りかかってきてくれないか? 全力で構わない」

「分かりました! 全力でいかせていただきます」


 そういうとテイトは拳を構えたままゆっくりと近づき、右のジャブを繰り出――いや、左手に何か持っているな。

 どうやら砂を握っていたようで、右手でのジャブで気を惹かせてから、下手投げで俺の顔目掛けて砂をぶん投げてきた。


 不意を突く良い攻撃だが俺を出し抜くには、あと十個くらいは策を講じないと難しい。

 それと、砂も攻撃の手段としては弱すぎる。

 猛毒薬でも持ってこなければ、俺を怯ませることはできない。


 そんなことを考えながら俺は右のジャブを避けつつ、左手で投げてきた砂も全て綺麗に回避。

 砂が一粒も当たらなかったことにテイトは驚いた表情を見せているが、首を横に振って気合いを入れ直すと、再び俺に対しての攻撃を開始した。



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