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【完結】勇者殺しの元暗殺者。~無職のおっさんから始まるセカンドライフ~  作者: 岡本剛也
第7章

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番外編『ジェイドの道具屋繁盛記』 その64


 とりあえず暴れるのを待ったのだが、同時に目くらましの効果もだいぶ薄まってしまった様子。

 まぁ体力を大幅に削ることができたし、初手の動きとしては悪くない。


「うぅ……まだ目がシパシパする」

「悪かったって。俺一人で倒すからそこで見といてくれ」

「当たり前だ。私はもう絶対に手伝わない」


 完全に拗ねてしまっているが、エンペラのご機嫌取りをしている時間はない。

 エルダーワイバーンの目が完全に回復する前に、大ダメージを与えておきたいところ。


 翼は既に斬り裂いてあるため、空に逃げられることもないのは大きい。

 俺はゆっくりと近づきながら、緩急を利用して高速で懐に潜り込んだ。


 視界のぼやけも相まって、俺を追うことができていないエルダーワイバーンを短剣で斬りつける。

 そして、斬りつけた後はすぐに離れて、ヒットアンドアウェイ方式で地道に削っていった。


「退屈な戦い方だな。どでかい攻撃で仕留める方がいいだろ」

「俺のやり方はこうなんだよ。無駄な体力も使わずに済むし、大技は奥の手として隠しておくのが主義だ」

「それがつまらないと言っているのだ。ふぁーあ、寝ているから終わったら起こしてくれ」


 戦闘の最中なのにも関わらず、堂々と寝始めたエンペラ。

 目晦ましの仕返しのつもりなんだろうが、俺がここで逃げ出したらどうするつもりなんだろうか。


 エンペラを焦らせるためだけに、逃げることも本気で考えたんだが……さすがに馬鹿らしい。

 すぐに思い直した俺は、気を取り直してエルダーワイバーンをじっくりと倒していくことに決めた。



 戦闘が開始されてから約10分。

 休む間もなく攻撃し続けていたのだが、エルダーワイバーンが予想以上にタフで時間がかかってしまっている。


 とはいえ、もう既に全身がボロボロで動くのもやっとの状態。

 最初に翼を機能不全にさせたのは大正解だったな。


 最期に放ってきた大火球も軽く避け、動けなくなっているエルダーワイバーンの首を落とし――トドメを刺す。

 命をいただいたのだから、余すことなく全ていただくとしよう。


「エンペラ、起きろ。終わったぞ」

「……ん? ふぁーあ、やっと倒したのか?」

「やっとって、十分くらいしか経ってないぞ。どうせ寝たふりをしていたんだろ」


 都合の悪い言葉には返答せず、エンペラは俺が仕留めたエルダーワイバーンに近づき始めた。


「近くで見ると大きいな。あまり美味しそうには見えないが、人間はこれを食べるのか?」

「もちろん。美味いって話だし、内臓部分については持って帰れないから俺たちが食べる予定だ」

「俺たち? 私はいらないぞ。ワイバーンなんか食べたくない」

「とりあえず解体をするから、解体したものから空間魔法に入れていってくれ」

「おい、私は食べないからな」


 こちらも都合の悪い言葉には返答せず、黙々とワイバーンの解体を行っていく。

 龍鱗を剥がすのが大変だったが、無事に可食部をすべて剥ぎ取ることに成功。


 爪や牙、剥がすのに苦労した龍鱗の一部も持ち帰り、俺たちはキャンプへと戻ってきた。

 食事の途中な上、夜の戦闘ということもあって、意外と疲労がたまっている。

 朔月花を探す予定だったが、無事にエルダーワイバーンを討伐することができたし、眠ってもいいかもしれない。


「くそー。時間が経ったから、お肉が硬くなってしまった」

「お腹が空いているのか? 空いているなら、今からエルダーワイバーンの内臓を食べてもいいぞ」

「食べるか! 私はもう寝る」


 ホーンラビットの肉が駄目になってしまい、不貞腐れたエンペラはそのまま眠ってしまった。

 俺もギリギリまでどうするか悩んだものの、今日はこのまま就寝することにした。



 翌朝。

 ぐっすりと眠ることができ、感じていた疲労も全回復。


 昨日は食事の途中でエルダーワイバーンとの戦闘が始まり、まともに食事をしないまま眠ったため、お腹が空きすぎている。

 どうやらエンペラもお腹が空いているようで、珍しく俺よりも早く起きていた。


「……なんだその顔」

「お腹が空いた。昨日の魔物を狩ってきてくれ」

「嫌だ。食べたいなら自分で狩ってこい」

「お腹が空いて、動けないから頼んでいるんだ」

「知らん。エルダーワイバーンの肉があるし、俺はそれを焼く。エンペラも一緒に食えばいいだろ?」

「ワイバーンの肉は嫌だ」


 ワガママを言っているエンペラを無視し、俺は昨日の夜に狩ったエルダーワイバーンの内臓を焼くことにした。

 内臓といっても、ハラミやサガリ、マルチョウやミノはめちゃくちゃ美味しいからな。


 それに、ものにはよるがレバーも非常に美味しい。

 内臓の部位で一番好きなタンだけは食べることができないが、それでも十分に楽しめるはず。


 俺がウキウキで肉を焼いていると、先ほどまで断固として拒否していたエンペラがゆっくりと近づいてきた。

 匂いがあまりにも美味しそうだから、興味が湧いてきたのだろう。


「それじゃ、いただきます」


 俺は近づいてきたエンペラを無視しつつ、まずはハラミを口に入れた。

 ――うまい!

 昨日のホーンラビットも美味かったが、エルダーワイバーンは旨味のレベルが数段階違う。


「な、なんだ? もしかして美味しいのか?」

「めちゃくちゃ美味しい。…………食べたいのか?」

「た、食べたいと言ったらくれるのか?」


 俺は素直になれていないエンペラの前に、焼いたハラミを皿に乗せて渡した。

 匂いでもう限界を迎えていたようで、躊躇することなくハラミを食べた。


「――う、美味すぎる! ワイバーンってこんなに美味しいのか!? ジェイド、それなら早く言ってくれ!」

「本当に現金なやつだな」


 テンションが爆上がったエンペラと共に、エルダーワイバーンの焼肉パーティーを楽しんだ。

 これこそ調達の醍醐味であり、エルダーワイバーンをすぐに狩ることもできたことも含め、今回の調達は大成功だったな。



本作のコミック第4巻が発売しております!!!

コミカライズ版は内容もかなり違いますし、単純に漫画として完成度の高い作品となっています!

キクチ先生の画力が素晴らしく、小説版を読んだ方でも確実に面白いと自信を持って言える出来となっておりますので、どうか手に取って頂けると嬉しいです<(_ _)>ペコ

コミカライズ版も、何卒よろしくお願い致します<(_ _)>ペコ


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