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【完結】勇者殺しの元暗殺者。~無職のおっさんから始まるセカンドライフ~  作者: 岡本剛也
第7章

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番外編『ジェイドの道具屋繁盛記』 その63


 食事を途中で止め、近づいてくる魔物に集中する。

 俺たちのところへ向かっている感じではなく、山の中腹あたりを狙って飛んできているように感じる。


「エンペラ、目当ての魔物らしき反応がこっちに向かってきている。一度、食事を中断して向かうぞ」

「……んぐ、食べてからでよくないか? 冷めてしまったら、せっかくの料理がもったいない」


 俺が声をかけても、食べ進める手を止めないエンペラ。

 自分の作ったものを夢中になって食べてくれるのは嬉しいが、さすがにホーンラビットの焼肉よりもエルダーワイバーンの方が優先順位は圧倒的に上。


「料理を冷めさせるより、エルダーワイバーンを取り逃がす方がもったいない。チャンスが二度あるかすら分からないんだから、今すぐに狩りに行くぞ」

「……なら、あと一皿分だけ食べてから――」

「駄目だ。食事は後」


 皿から手を離さないエンペラを無理やり連れ、一気に下山していく。

 近づいてくる魔物の飛んでくる位置を予測し、先回りして待つことにした。


 いまだにエンペラは肉を咀嚼している最中だが、エルダーワイバーンらしき魔物はもう目の前まで迫ってきている。

 予測場所も正しく、ほぼ狂いなく俺の場所めがけて飛んできた。


「来るぞ。一応、飛ばされないようにつかまっておけ」

「大丈夫だ。言われなくもつかまっている」


 器用に頭の触手で鞄につかまっているエンペラ。

 エルダーワイバーンが飛んできた風圧で飛ばされかけたが、何とか踏みとどまった。


「ウグルァラアアア!!!」


 全長五メートルほどの大きな飛竜。

 ワイバーンというよりも、ドラゴンといった見た目ではあるが……これがエルダーワイバーンの特徴なんだろう。


 皮膚の感じや翼の具合。

 全体的に古傷も多く見られることから、長年生きてきた個体であることがよく分かる。


「随分と大きなワイバーンだ。こやつがジェイドの狙っているエルダーワイバーンなのか?」

「絶対とは言い切れないが、十中八九エルダーワイバーンだな。まさかこんなにも早く出会えるとは思っていなかった」


 咆哮を上げ、大口を開けながら翼を広げて威嚇してきているエルダーワイバーンを前に、呑気に会話をしている俺たち。

 凶悪な魔物と噂されていただけあって、エンペラもエルダーワイバーンにビビっていない。


 従魔になってからは一度も戦っていないが、エンペラの実力は間違いないしな。

 勝てるという判断からこの態度なんだろう。


「勝てる算段はあるのか? 休みを多くくれるなら、手伝ってやってもいいぞ」

「いや、俺一人で十分だ。今は逃さないようにだけを考えている」


 一番厄介なのは、飛んで逃げられること。

 さすがに空を飛んで逃げられたら捕まえようがないため、まず考えるべきは逃さないようにする術。


 全力で威嚇しているし、着地してからこちらににじり寄ってきている。

 逃げる手段を取ってこないとは思っているが、最悪を考えて動くのは鉄則。


 どう動くかを決めた俺は、短剣を構えながらエルダーワイバーンが攻撃を仕掛けてくるのをじっと待つ。

 人に限らず、生物は攻撃を仕掛けるときに隙が生まれやすい。


 先に攻撃を仕掛けるときは、不意を突いているときか奥の手があるときのみ。

 そんな暗殺者の鉄則を知る由もないエルダーワイバーンは、小さな生物である俺に対し、何の策もなく襲いかかってきた。


走りながら翼を羽ばたかせ、体ごとぶつかるように噛みつきにきたエルダーワイバーンに対し、俺は魔法を唱える。



 唱えた魔法は、光属性の中級魔法である【フラッシュ】。


 初級魔法で、暗い場所を照らすためだけの低燃費魔法である【ライト】を応用したのが【フラッシュ】だ。

 一瞬で強烈な光を放ち、目をくらませるための魔法であり、俺が愛用している魔法の一つ。


 特に暗い場所では効果が絶大であり、エルダーワイバーンにもしっかりとぶっ刺さった。

 目がくらんだところを見逃さず、素早く背後に回り込んで片翼を短剣で斬り裂いた。


 悲鳴にも近い叫び声をあげたエルダーワイバーンだが、俺は攻撃の手を緩めずに右足も斬りつける。

 このタイミングでエルダーワイバーンは、赤ん坊のように考えなしで暴れ始めたため、俺は距離を取って様子を窺うことにした。


「おい、ジェイド。目くらましをするときは私にも言え! 目が痛い」

「言ったら目くらましにならないだろ」

「ワイバーンごときに言葉が理解できるわけないだろ!」


 まぁその通りではあると思うんだが、言葉を理解していたら意味がなくなってしまうからな。

 エルダーと付くくらいだし、長年生きているのだとしたら言葉を理解している可能性も無きにしも非ず。

 ここは念には念を入れさせてもらった。



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