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番外編『ジェイドの道具屋繁盛記』 その45


 アルフィとセルジにはまた近いうちに冒険しようとだけ言い残し、俺はヨークウィッチに帰ってきた。

 冒険感はゼロだったが、無事に大盗賊の宝はゲット。


 古すぎて物の価値が分からないため、ここからはレスリーやヴェラに話を聞きながら売る際の値段を決めていく。

 大盗賊の宝だし、下手をすれば過去一の売り上げを叩き出せるかもしれない。

 俺は期待感に胸を膨らませながら、まずは自分の店へと戻ってきた。


「おかえりなさいませ! 無事に仕入れられたのですか?」


 誰もいないことを想定して店の中に入ったこともあり、エレーネがいてビクッとしてしまった。

 まだ従業員を雇ったことに慣れていない。


「……ああ。無事に仕入れることができた。エレーネは仕事に慣れたか?」

「うーん……まだ在庫の確認しかしていないので、慣れたとは言えないかもしれません」

「それもそうか。明々後日からはバリバリ働いてもらうことになるから、今のうちに心の準備をしておいてほしい」

「分かりました! スタナさんとレスリーさんに接客の練習を手伝ってもらいましたので、大丈夫だと思います!」


 両拳を握り、力強くそう言ってきたエレーネ。

 ここのお店は段違いにお客さんが多いし、テンパってしまわないか心配だが、不安を抱えているよりはいいだろう。


「ああ、期待している。明後日は陳列の手伝いもしてもらうから、早めに来てくれたら助かる」

「もちろん早めに来させていただきます! まだ何もしていませんので、役に立てるように頑張ります!」

「ありがとう。やる気を持ってくれて嬉しい」


 まさにやる気満々といった感じで、見ているだけで俺も元気になる。

 明日までは特にやることもないし、今日は上がってもらって、俺はレスリーのところに向かうとしよう。


 軽く雑談をしてからエレーネを帰らせてから、俺は『シャ・ノワール』にやってきた。

 中を覗くと、暇そうにしているレスリーが見えたため、遠慮なく入らせてもらった。


「いらっしゃい! ……ってジェイドか! もう戻ってきたのか?」

「仕入れが早く終わったから、もう帰ってきた。それで、レスリーに相談したいことがあってやってきたんだ」

「俺に相談? 営業終了後にしてくれって言いたいところだが、客もいねぇから今受けるぜ!」

「助かる。今回、手に入れたものの鑑定をしてもらいたい。これまでと違って、価値がよく分からないんだ」

「ほー! 面白そうじゃねぇか! ちょっと見せてみろ!」


 ノリノリのレスリーに、俺は持ち帰ってきた大盗賊の宝を見せた。

 アルフィとセルジに一つずつ渡したが、箱の中にはまだまだ宝が入っている。


「うおー! すげぇな! こりゃ宝箱か?」

「そんな感じだな。財宝を発掘してきた」

「だと思ったぜ! どれも見るからに凄そうだもんな!」

「ああ、凄いものというのは俺も分かっている。詳しい価値を教えてほしい」

「…………さっぱり分からん!」


 腕を組みながらじっくりと眺めた後、そう言い放ったレスリー。

 期待していただけにガックリしてしまう。


「なんだそれ。鑑定できる風だっただろ」

「んなこと言ったって、こんなもん取り扱ってねぇんだから仕方ねぇだろ! 分からねぇもんは分からねぇ」


 思わず『使えない』と言いそうになったが、レスリーを頼った俺が悪い。


「なるほど。なら、別を当たる。それじゃあな」

「おい! ちょっと待て! 俺は分からねぇけど、鑑定してくれそうな人なら知ってるぜ!」

「そんな人が知り合いにいるのか?」

「当たり前だろ! 俺は長年ヨークウィッチで店をやってるからな! んで、その人物はというと……ジェフって奴だ! ジェイドの店の前のオーナーだな! アンティーク専門の質屋を営んでいたから、きっと分かると思うぜ!」

「それは本当に鑑定してくれそうだな。どこに行けば会えるんだ?」

「東通りの『マジックラック』って店の隣の家に住んでる! もう隠居しているし、俺の名前を出せば格安で鑑定してくれると思うぜ!」

「ありがとう。早速訪ねてみる」


 『使えない』と口にしなくて本当に良かった。

 やはりレスリーは頼りになる。


 前のオーナーということは、鑑定関係なく挨拶はしておいた方がいいし、もし腕利きであれば今後も依頼できるようにしておきたい。

 俺もそれなりに物の価値は分かる方だと思うが、アンティークやヴィンテージものには疎いからな。


 ということで、良好な関係を築くために手土産を持っていくことに決めた。

 それなりに奮発して手土産を買ってから、レスリーに教えてもらった情報を頼りにジェフの家へと向かったのだった。



本作のコミック第3巻が、明日の7月10日に発売します!!!

コミカライズ版は内容もかなり違いますし、単純に漫画として完成度の高い作品となっています!

キクチ先生の画力が素晴らしく、小説版を読んだ方でも確実に面白いと自信を持って言える出来となっておりますので、どうか手に取って頂けると嬉しいです<(_ _)>ペコ

コミカライズ版も、何卒よろしくお願い致します<(_ _)>ペコ

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