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【完結】勇者殺しの元暗殺者。~無職のおっさんから始まるセカンドライフ~  作者: 岡本剛也
第7章

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番外編『ジェイドの道具屋繁盛記』 その39

 

 二人が準備を整えるのを待ってから、ブルーザーの街へと向かった。

 隣町とはいえ距離があり、歩くこと約四時間でようやくブルーザーの街に到着。


 荒野のど真ん中にある街で、周囲には何もない。

 隣町ということだし、エアトックくらいには栄えていると思っていたが、立地が悪いのか、かろうじて“街”と呼べる程度だ。


「ここがブルーザーの街か。思っていたよりも栄えていないし、周囲に何もないからか、風もすごく強いな」

「エアトックに住んでいても、ブルーザーの街には滅多に来ませんからね! 隣町とはいえ意外と遠いですし、ブルーザーに来るくらいなら帝都に行きます! 距離も帝都の方が近いですし!」

「大半の人がそうだと思うぜ。とにかく立地が悪すぎる。……ブルーザー名物の“ブチギレ牛のハンバーガー”は美味いんだけどな」

「そんな食べ物があるのか。夕飯にでも食べたいな」


 そんな会話をしつつ、俺たちはブルーザーの街で聞き込みをするため、まずは冒険者ギルドに向かうことにした。

 何もない街だから、閑散としているのではと思っていたが、冒険者ギルドには大勢の冒険者が集まっていた。


 ヨークウィッチと比べても遜色ないほどで、街の規模を考えると多すぎるくらいだ。

 アルフィとセルジも想像していなかったのか、冒険者ギルドの盛況ぶりに口を開けて驚いている。


「なんでこんなにいっぱいいるんですか!」

「前に一度来たときは、閑古鳥が鳴いていたぜ? さすがにこの人数の冒険者が集まっているのは異常だな」

「ということは……大盗賊の秘宝目当てでやってきた冒険者たちってことですかね!? これだけの人が集まっていると、本当に秘宝が存在するんじゃないかって思えてきました!」

「ジェイドの話を聞いたときは、九割九分嘘だと思っていたが、この感じだと、この街で大盗賊が死んだというのは本当っぽいな」


 この盛況ぶりはやはり異常らしい。

 てっきり他に何か理由があるのかと思っていたが、俺と同じく秘宝狙いの冒険者が集まってきているようだ。


「二人の話を聞いて半分以上諦めていたんだが、ちょっと期待してもいいのか?」

「話を聞いてみないと分からないが、少しは期待してもいいかもしれない。秘宝が本当に存在するかどうかまでは分からないけどな」

「そうと決まれば、さっそく聞き込みしましょう! 冒険者に片っ端から聞いて回ればいいですかね?」

「馬鹿か。秘宝目当てで来てる連中なんだから、情報を持っていても簡単に教えてくれるわけないだろ」

「あー、確かにそうですね! じゃあどうやって聞き込みするんですか?」

「俺に一つ当てがある。ちょっとついてきてくれ」


 セルジはそう言うと、冒険者ギルドとは反対方向へと歩き始めた。

 どこへ向かっているのか見当もつかず、俺とアルフィは顔を見合わせて首を傾げた。


 何も分からないままセルジについていくと、たどり着いたのは詰所だった。

 なるほど、同じ兵士から情報を聞き出すつもりか。


「セルジさん、頭いいです! 確かに僕たちと同じ兵士なら、いろいろと教えてくれますもんね!」

「そういうこと。しかも、ブルーザーには俺の知り合いがいるからな。快く教えてくれるはずだ」


 ここまでセルジが頼もしく見えたことはない。

 話が本当なら、これだけでも彼を連れてきた意味があったと言える。


「おーい、ジェットはいるか?」

「……んあ? 奥にいるぜぇ」


 詰所には誰もいなかったが、奥から返事が聞こえてきた。

 覗いてみると、そこには布団をかぶって寝ている兵士の姿があった。


「おう、ジェット。相変わらずだな」

「なんだ、セルジか。寝てたとこだったのに邪魔すんなよ」

「久しぶりに会ったのに冷てぇな」

「当たり前だろ。お前には散々カモられたからな。で、急に訪ねてきて何の用だ。金なら貸さないぞ」

「金じゃない。とある情報が欲しくて訪ねてきた」

「……なるほど。お前も大盗賊の秘宝を狙いに来たのか」


 「情報が欲しい」という言葉で、すぐにこちらの目的を察したジェット。

 その目つきはどこか怪しく光っているように見え、セルジとの関係性からしても、簡単には教えてくれなさそうだ。

 俺は、そんな嫌な予感をすぐに察した。


「察しがいいな。その通りだ。大盗賊についての情報をくれ」

「嫌だね。簡単には教えられない。セルジにはカモにされているし、その金を返してくれたら考えてやる」

「カモられたって言っても、お前がただ弱かっただけだろ。俺は悪くねぇ」

「ちなみに、額はいくらなんだ?」

「なんだ? お前が払ってくれるのか? 合計で……白金貨1枚と金貨3枚だな!」


 俺が額を尋ねると、嬉しそうに答えたジェット。

 想像以上にカモられており、安い額なら払ってもいいかと思ったが、さすがにこの額は出せない。


 おそらく勤務中にもかかわらず、堂々と寝ていたことからも、性格は間違いなくアルフィやセルジと同じタイプのクズ。

 それが分かれば、やりようはいくらでもある。

 ジェットをうまく言いくるめて、安く情報を引き出す方向で交渉することにしよう。



本作のコミック第2巻が、1月27日に発売しております!!!

コミカライズ版は内容もかなり違いますし、単純に漫画として完成度の高い作品となっています!

キクチ先生の画力が素晴らしく、小説版を読んだ方でも確実に面白いと自信を持って言える出来となっておりますので、どうか手に取って頂けると嬉しいです<(_ _)>ペコ

コミカライズ版も、何卒よろしくお願い致します<(_ _)>ペコ


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