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番外編『ジェイドの道具屋繁盛記』 その33


 侵入者が入ってきたことに、ワンテンポ遅れて気づいた最奥部にいた魔物たち。

 そして、全員が一瞬で敵意を向けてきた。


「二人はどうする? 休んでいるか?」

「戦ってもいいなら戦いたいです」

「僕も! 休ませてもらいましたし、回復しました!」

「なら、戦えるところまで戦ってくれ。相手は強い上に数が多いからな。くれぐれも大怪我だけは負わないように気をつけてくれ」

「「はい!」」


 広い空間に出たし、ここでならトレバーとテイトの良さが活きる。

 ただ、最奥部にいる魔物ということもあり、相手も一筋縄ではいかない魔物ばかり。

 安全第一で戦えるところまで戦ってほしい。

 

 俺はいつでも助ける準備だけをしつつ、二人の戦いを眺める。

 魔物の数が多いが、一匹ずつ倒していくことに決めた二人は冷静に立ち回れている様子。


 テイトの動きの速さが広い場所のお陰で活き、そのテイトの動きに釣られることでトレバーへの意識が薄くなる。

 ようやく二人らしい攻撃で魔物を一体倒すことができたが、やはり魔物の対応も早い。


 テイトを狙う魔物とトレバーを狙う魔物に分かれ、コンビネーションを封じにやってきた。

 それでも俺がやっていたように、魔物の動きを見切りながら抵抗していたが……ここらが限界だろう。


 二人の前に出た俺が魔物を斬り殺していき、退路を作って逃げさせる。

 ここからは俺の仕事であり、全ての魔物を屠るだけ。


 レクチャーすることを考えず、力の差でゴリ押すだけの戦い方。

 戦い方の参考にはならないだろうけど、二人には圧倒的な力も見せておいた方がいいからな。


「うわっー! ジェイドさん、凄すぎますって!」

「先ほどまでは力を温存していたみたいですね。戦い方が様変わりしています」

「あれだけ強かった魔物が一撃でやられていく! ジェイドさんって……どれだけ強いんだろう?」

「分かりません。でも、少しでも近づけるように、この戦いを目に焼き付けておきましょう」


 そんな二人の会話を聞きつつ、更に自分の中でギアが上がる。

 この最奥部のボスは……あの色々と異質なトロールだろうか。


 トロールにしては明らかに異形であり、長年この場所でドラゴンの魔素を取り込んできた影響が体に出ている。

 他の魔物を一時的に無視し、俺は一直線でその異形トロールの下へと向かった。


 手に持っているのは金色に輝くハンマー。

 武器も常軌を逸しているのが一目で分かるが、当たらなければなんてことない。


 大振りで振られたハンマーをギリギリで回避しつつ、懐に潜り込んでから首元目掛けて短剣を振る。

 異形トロールも一撃で仕留めた――はずだったが、首を落とされたトロールはまだ平然と動いている。


 一度、様子を窺うため距離を取ったのだが、頭のない首元はうねうねと動いており、そのうねうねは新たな頭部を形成。

 落とされた頭部がハッキリと残っているのに、異形トロールの首には新たな頭が生えてきている。


「首を落としたのに復活しましたよ! あんな魔物がいるんですか!?」

「生物としてありえない現象を見ました。倒せない魔物ということでしょうか?」

「いや、死なない生物なんて存在しない」


 生命力は異次元なほど高いようだが、死なない生物はいない。

 それは俺が元暗殺者だからこそ、断言できる事象。


 頭を落としただけでは死なないのであれば、死ぬまで斬ればいいだけ。

 再び動き出そうとしている異形トロールに近づき、俺は短剣であらゆる部位を斬り落としていく。


 首、腕、足、そして上半身を斬り裂き、最後に――心臓を抉り取る。

 それでも尚、異形トロールは再生しようとていたが、抉り取った心臓に短剣を突き刺したところで、無限に行おうとしていた再生が止まった。


「化け物をジェイドさんが倒したー!」

「死なない魔物も殺せるなんて……凄すぎます!」


 トレバーとテイトが興奮している声が聞こえてくるが、俺は油断せずにまだ残っている魔物の殲滅へと動くことにした。

 この最奥部の一番の強敵である異形トロールを倒したため、後は流れ作業みたいなものだが、俺が油断することは決してない。


 全ての魔物を屠ったところで、ようやく大きく息を吐いて体の力を抜いた。

 惨い魔物の死体が無数に転がっているが、こればかりは仕方がない。


「ふぅー、やっと終わったか」

「ジェイドさん、凄かったです! こんなに凄い戦いっぷりを見られるとは思っていませんでした!」

「感動しました。特にあの再生する魔物との戦闘は、鳥肌が立つくらい興奮しました」

「そう言ってもらえたなら全力で戦って良かった。とりあえず……このフロアのお宝を取ってから、すぐに竜穴を出よう。もう洞穴から出て日を浴びたいしな」

「賛成です! 僕は何か落っこちていないか見てきますね!」

「私は魔物から何か取れないかを見てきます」


 調べに行ってくれた二人を横目に、俺はドラゴンの骸骨を見に行くことにした。

 この骸骨は目玉になるし、今回の調達も無事に完了。

 指導していたこともあり、想定以上に長い攻略になったが、トレバーとテイトの成長も見られたし結果的に大成功と言えるだろう。




本作のコミック第2巻が、1月27日に発売しております!!!

コミカライズ版は内容もかなり違いますし、単純に漫画として完成度の高い作品となっています!

キクチ先生の画力が素晴らしく、小説版を読んだ方でも確実に面白いと自信を持って言える出来となっておりますので、どうか手に取って頂けると嬉しいです<(_ _)>ペコ

コミカライズ版も、何卒よろしくお願い致します<(_ _)>ペコ


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