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番外編『ジェイドの道具屋繁盛記』 その24


 四十階層からのゴールドスライム探しは、予想以上の拮抗した戦いとなった。

 結果としては俺が十匹見つけ、エイルが九匹と何とか勝利したものの、エイルの野生の嗅覚の凄まじさを思い知らされた気がする。


「くっそぉ! また負けた!」

「今回はかなり危なかった。やっぱりエイルは五感が鋭いな」

「俺って五感が鋭いのか? ピンと来て、そのピンと来たところにいるって感じなんだけどな!」


 俗に言う第六感っていうものに優れているんだろうけど、そのピンとくる情報は五感から仕入れているから、実質的に五感が優れているといっていい。

 ここまで拮抗したなら、エイルに花を持たせても良かったとは思ったが……エイルには負けたくない気持ちが強すぎた。


「なんにせよ、今回の勝負は俺の勝ちだな。約束通り、四十階層のフロアボス—―ジャームスラッグはエイルに倒してもらう」

「まぁ約束だし、魔物と戦うのは好きだからいいけどよ! 汚れるのは大分鬱陶しいな!」

「上手いこと立ち回ることができれば、汚れずに倒せると思うぞ」

「よし、今回の目標は圧勝することと汚れないこと! 近づきすぎないように戦うぜ!」


 そう宣言したエイルだったが、戦闘開始直後にジャームスラッグの突進攻撃を受け、ねっちょねちょにされていた。

 開始早々に汚れないようにする必要がなくなったことから、圧勝はしてみせたものの、戻ってくる時の表情には俺も思わず笑ってしまった。


 そして四十一階層からもゴールドスライム探しを並行して行いつつ、攻略を進めていった俺達。

 四十階層での勝負も俺の勝利で終わったが、五十階層のフロアボスは少し厄介ということもあり、俺が倒すことに決めた。


 ここまでフロアボスはエイルに倒してもらっていたし、一番面倒くさい相手であるジャームスラッグを倒してもらったからな。

 この先のボスは全て俺がサクッと倒す。


「うわー、もう倒しちゃったじゃん! スノージュラシックに圧倒って本当に凄ぇな!」

「フィンブルドラゴンに比べれば弱かったからな。それにしても、俺とエイルは氷系のドラゴン種とは縁があるな」

「そういや最初の出会いはフィンブルドラゴンと戦った時か! あの時も割とあっさりと倒してたもんな!」


 そんな懐かしい話をしつつ、あっさりと倒したスノージュラシックのドロップアイテムを回収。

 かなり長いことダンジョンに潜っている感じはするが、今回の目的はあくまでもシュバルツミミックということで本番はここから。


 正直、ゴールドスライムをかなり狩ることができているため、このまま帰還してもいいぐらいではあるが……。

 せっかくなのでシュバルツミミックを狩り、抱えているお宝やらを手に入れたい。


「エイル、本番はここからだからな。まずはシュバルツミミックを見つけよう」

「分かってるっての! ゴールドスライムを探していたということもあって、俺のアンテナはビンビンだから、居さえすれば確実に見つけられる!」

「帰りの時間を考えると、いけて六十階層まで。俺達の運次第だな」

「残り時間が少ないのが引っかかるけど、俺達はメタルトータスも見つけているし見つかるだろ! さぁジェイド、どーんと行こうぜ!」


 気合いの入っているエイルの後に続き、俺は五十一階層へと降りていった。

 階層が変わったとはいえ、地形自体にはこれまでと特に変化はない。


 ただ、暗いことには変わりないため、注意深く見ないと見逃す可能性が高い。

 エイル曰く、気配を消せて見た目が真っ黒みたいだからな。


 これまで以上に慎重に進みつつ、五十一階層、五十二階層、五十三階層と降りていく。

 五十九階層までしか進めないということもあって、かなりヒヤヒヤするな。


「五十三階層もここまでか! あと六階層で見つかるか不安になってきた……!」

「さっきまでイケイケだったのに、もう不安になっているのか。……まぁ俺もヒヤヒヤしてきたが」


 そんな会話をしながら、五十四階層に足を踏み入れた次の瞬間。

 急にエイルが前方を指さして大声を出した。


「グレアム、いた! シュバルツミミックだ!」


 指をさしている方向に視線を向けたが、俺は未だに見つけることができていない。

 何をもってして、エイルがいると言ったのかさっぱり分からないが……ここまでの勘の鋭さからも信じる価値はある。


「俺はまだ発見できていないから、エイルが先導して案内してくれ」

「了解! 絶対に逃がさねぇ!」


 走り出したエイルについていき、エイルが見つけたシュバルツミミックを目指して急いで進んだ。

 それから進むこと約五分。


 行き止まりのようにしか見えなかったのだが、そんな行き止まりの先には……確かに黒い宝箱が置かれていた。

 大きさは1メートルほどの宝箱であり、魔物の気配は感じない。


 そもそもミミック自体見るのが初めてなのだが、情報がなければ宝箱と勘違いしてもおかしくないな。

 にしても……階層に着いた瞬間に、このシュバルツミミックを見つけたエイルは凄まじい。

 俺は心の中でエイルの評価を上げてから、シュバルツミミックに集中することにした。




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コミカライズ版は内容もかなり違いますし、単純に漫画として完成度の高い作品となっています!

キクチ先生の画力が素晴らしく、小説版を読んだ方でも確実に面白いと自信を持って言える出来となっておりますので、どうか手に取って頂けると嬉しいです<(_ _)>ペコ

コミカライズ版も、何卒よろしくお願い致します<(_ _)>ペコ


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