表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

357/395

番外編『ジェイドの道具屋繁盛記』 その21


 エイルを尋ねるため、俺はギルド長室へとやってきた。

 中にはマイケルがいるようで、どうやらエイルと揉めている様子。


「ギルド長! あれだけ書類の確認を頼んでいたのに、まだやっていなかったんですか?」

「判子が見つからなかったんだからしょうがないだろ!」

「判子は新しいのを一週間前に渡したばかりじゃないですか! 失くしたとは言わせませんよ」

「言わせないって言われたって、失くしたもんは失くしたんだよ!」


 扉越しでも聞こえてくるマイケルの説教。

 うるさいとは思うけど、内容を聞いても全面的にエイルが悪いから仕方がない。

 巻き込まれるのが嫌なため、俺は中に入るかを一瞬躊躇したのだが……ここまで来て引き返すのは時間の無駄なため入ることにした。


「おー! ジェイド、ちょうどいいところに来た! この間言っていた仕入れの手伝いに行こう!」

「頼んでいた書類の整理が終わるまでは行かせませんから! 君も毎度ながら、ギルド長を助けるタイミングで来ないでほしいのだよ」

「俺のせいにされてもなぁ……。エイルは常にやらかしているから、必然的に助けるタイミングになっているだけじゃないのか?」

「……言われてみればそうかもしれない。君に八つ当たりしてすまなかったね」

「俺はそんなにやらかしてねぇ! というよりも、早く仕入れに連れていってくれ! マイケルがうるさくて仕方がない!」


 俺もエイルを仕入れに連れていくために来た訳で、互いの意見が合致したんだが……逃げる口実に使われているのが見え見えなため、連れて行きたくない気持ちが出てくる。

 まぁついてきてもらうんだが。


「俺も仕入れの件で今日は尋ねてきた。明日から出発したいと思っているんだが、どこに行くかを今日決めようと思っていてな」

「よっしゃー! なら、早速決めようぜ! ここじゃマイケルがうるさいから外に行こう!」

「絶対に逃がしませんよ! 書類確認を終えるまでは冒険者ギルドからは出しません!」


 そう意気込んだマイケルだったが、身体能力お化けのエイルを捕まえられるはずもなく、あっさりと逃げ出すことに成功。

 俺も一緒になって逃げだしたため、面倒ごとを全てマイケルに押し付ける形となってしまった。

 申し訳なさもあるが……俺もスタナのために絶対に仕入れないといけないため、マイケルにはエイルの尻ぬぐいをしてもらうしかない。


「ふぃー。いやぁ、本当に良いタイミングで来てくれた! ジェイド、ありがとな!」

「別に助けるために来た訳じゃない……が、結果的に助けた訳だし、仕入れの手伝いをしてもらうぞ」

「もちろん! この間のメタルトータス狩りみたいな感じをすればいいんだろ?」

「ああ、そうだ。まずは珍しい魔物の情報を持っていないか教えてほしい。その中から面白そうな魔物がいれば狩りに行きたい」

「そういうことなら、一体めちゃくちゃいいのがいる! シュバルツミミックっていう魔物なんだけど、大量の財宝を抱え込んでいるって話を風の噂で聞いた!」


 ミミックといえばダンジョンに生息する有名な魔物で、宝箱に擬態して人を襲う魔物。

 油断したところを襲うため、大して強くはないけど被害の多い魔物と聞いたことがある。

 そんなミミックの上位種的な魔物だろうか。


「普通のミミックよりも財宝を抱えているってことか?」

「そう言う噂だな! 実際のところは分からないけど、とにかく擬態が上手い個体らしい。黒色のミミックってことだから、すぐに見つかると思うんだけど」

「面白そうだな。そのシュバルツミミックはどこで目撃されているんだ?」

「そりゃダンジョン! 王都から北に進んだところにあるフォレストダンジョンの、五十階層以降に出現するらしい」

「それ……一週間で帰って来られるのか?」

「俺とジェイドなら行けるだろ!」


 非常に怪しいところだけど、間に合わないと判断したら途中で帰ってくることも視野に入れておこう。

 単純にダンジョンは気になるし、候補には入れてなかったけど非常に面白そうだ。


 シュバルツミミックも良い標的だと思うし、狩ることができれば商品になり得る大量の財宝を入手できる。

 ダンジョンなら他にも面白そうな魔物がたくさんいそうだし、今回はダンジョンに向かうとしようか。


「そういうことならダンジョンに行くとしよう。出発は明日の朝で大丈夫か?」

「朝は苦手だから昼からにしてくれ!」

「朝が苦手とかいう理由なら駄目だ。明日の朝出発だから絶対に来てくれ。来なければ一人で向かうからな」

「それはズルいだろ! 俺が教えた情報なんだから!」

「知らん。来ない方が悪い。ダンジョン攻略か、ヨークウィッチに残って書類整理か。エイルの好きな方を選んでくれ」

「ダンジョン攻略に決まってるだろ! くっそ、早起きしないといけないのか……!」


 そこまで覚悟を決めるものではないと思うが、とりあえずこれで寝坊してくることはほぼなくなったと見ていいはず。

 もし寝坊したら本当に置いていくだけだが。


 とりあえず明日に備え、すぐにエイルとは解散。

 ダンジョン攻略のためのアイテムを揃えてから、エイルとダンジョンに行くことになったことをスタナに報告するとしよう。



本作のコミック第2巻が来週の1月27日に発売となります!

コミカライズ版は本当に面白い出来となっておりますので、手に取ってください<(_ _)>ペコ

何卒よろしくお願い致します<(_ _)>ペコ


↓の画像をタップorクリックして頂くと、購入サイトに飛びます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
  ▼▼▼ 本作のコミカライズ版です! 本当に面白いので是非お読みください! ▼▼▼  
表紙絵
  ▲▲▲ 本作のコミカライズ版です! 本当に面白いので是非お読みください! ▲▲▲ 
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ