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第274話 帝国騎士


 とにかく俺は、帝国騎士団への仮入隊が決まったってことでいいんだよな。

 兵士長は信頼しているが、ゼノビアという騎士は未だに信用できないため少し不安な部分があるのも事実。

 まだ声しか聞けておらず、顔も見ることができていないしな。


「とりあえず俺からの話は以上だ! 俺に用意できることはさせてもらったつもりだから、ゼノビアと上手くやってくれや!」

「手を回してくれて助かった。……が、本当にゼノビアを信用して大丈夫なのか? 俺はまだゼノビアを信用し切れていない部分がある」

「大丈夫だ! 変な奴だが、アルフィとセルジと同じくらいは信用していいぞ!」

「兵士長がそこまで言うなら大丈夫なのか? ゼノビア、よろしく頼む」

「ああ。くれぐれも私の命令には絶対遵守で頼むぞ」


 差し出された手を握り、ゼノビアと握手を交わした。


「よし。それじゃさっさと帝都に戻るからついてこい。適当なことを言って抜け出してきているから、エアトックに来ていることがバレたらまずい」

「仮にも隊長なのにそんな適当でいいのか」

「隊長だからこそ適当ができるんだ。アルバート、またな」

「アルバートさんって何度言えば分かるんだ! ……くれぐれもジェイドを頼むぞ!」

「任せておいてくれ。私が上手いことやる」


 片手をひらひらとさせながら、兵士長室を先に出ていったゼノビア。

 俺は一人部屋に留まり、最後に兵士長に礼を伝える。


「色々と手を回してくれてありがとう。ここまでやってくれるとは思っていなかった」

「そりゃこっちの台詞だわ! 二人のためもあったと思うが、色々と動いてくれてありがとよ! また困ったことがあったらいつでも戻ってきてくれ! 一般兵でいいならいつでも雇ってやるからよ!」

「それはありがたいな。職がなくなった時は遠慮なく頼らせてもらう」

「おう! いつでも歓迎するぜ!」


 兵士長とも握手を交わし、俺も兵士長室を後にした。

 アルフィとセルジだけでなく、兵士長も本当に良い人だったな。

 ヨークウィッチだけでなく、エアトックにも俺の居場所ができたのは嬉しい限りだ。


「何をニヤニヤしているんだ? アルバートにも随分と気に入られているみたいだし、さては変人だな?」

「別にニヤニヤはしていない。それより早く帝都へ向かうんじゃなかったのか?」

「おい、ちょっと待て。あくまで仮入隊という形だが、それでも私がお前の上司となる。これからは敬語を使ってもらうぞ」

「敬語は苦手なんだが、それは絶対なのか?」

「絶対だ。できないなら引き受けられない」


 客相手にも敬語を使うというのは非常に苦手だった。

 言葉が詰まるしできれば使いたくないのだが、絶対というのなら使う努力はしよう。


「分かった。これからは敬語を使う努力をしよう。そのためにも一つ頼みがあるんだが、そろそろ素顔を見せてくれ。ずっとグレートヘルムを身に着けていて顔を見られていない」

「見せたくないからこれを被っているんだがな。まぁ別に構わない」


 一瞬渋る素振りを見せたものの、すぐにグレートヘルムに手をかけると簡単に外した。

 ここで初めてゼノビアの素顔を見たのだが、やはり女性で思っていた以上に若い。


 金髪で真っ白な肌、鼻筋が通っていて目もパッチリ二重の……いわゆる美人。それも超がつくほど。

 何かしら顔に傷でもあるのかと思っていたが、美人すぎるが故に顔を隠していたってパターンだったのか。

 帝国騎士をやる上では不都合な面が多いのだろう。


「なるほど。わざわざ隠していた理由は分かった」

「私に惚れるなよ? 斬り殺すからな」

「随分な自信だな。俺は一切興味ないから安心してくれ」

「……ん? お前は男が好きなのか?」

「違う。俺はそっちの気はない」

「なら興味はないってことはないだろ。自分で言うのはアレだが、この見た目に食いついてこない男は見たことない。おっさんだろうが関係なしにな」

「何度も言わせてもらうが随分な自信だな。いいから早く帝都に向かおう」

「ってお前、約束の敬語はどうした」


 そんな雑談を交わしながら、俺達は兵舎を後にした。

 思っていた以上に若かったということもあり、敬語を使うのはまた別の時に考えるとしよう。


 何なら公の場だけ敬語で話しておけば大丈夫だろうしな。

 俺はそんなことを考えながら、ゼノビアと共にエアトックの街の外を目指したのだった。



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作者の私から見てもコミカライズ版は本当に面白く、担当してくださったキクチ先生の気合いが込められておりますので、是非一話が掲載されているこの号だけでも読んでみてください!

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