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【完結】勇者殺しの元暗殺者。~無職のおっさんから始まるセカンドライフ~  作者: 岡本剛也
第5章

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第182話 メタルトータス


 エイルの横に立ち、指さす方向を見てみたが……メタルトータスがどこにいるのかさっぱり分からない。

 横であそこだ、あれだとエイルが大声で叫んでいるが、水晶の光りが反射しているせいで生物の影すら見えない状態。


「悪いが全く見えない。魔物の気配も薄いし、反応でも追えない」

「その辺りを左右に移動してんだよ!! 大きさ的にも今回狙ってる個体じゃねぇだろうが、俺が泳いで捕まえてこようか!?」

「メタルトータスの捕獲方法はそれで合っているのか? 陸に上がってこないのだとしたら、泳いで捕まえるか釣るかの二択になると思うが」

「釣りの道具なんて持ってきてないし、泳いで捕まえるしかないだろ! 湖にも入りたかったし丁度いいな!」


 何が正解なのか分からないが、視認できる位置にいるのであれば泳いで捕まえるのも悪い選択ではない気がしてきた。

 ただ水辺にいると思ってはいたものの、水中にいるというのは正直予想外だったな。


「……色々考えたが泳いで捕まえてこれるなら行ってきてほしい。とりあえずメタルトータスがどんな姿をしているのか見たい」

「了解! いっちょ捕まえてくるわ!!」


 そう言うとエイルは服を勢いよく脱ぎ捨て、獣のような眼光で水中をジッと見つめ始めた。

 そしてメタルトータスが近くに来たのを見計らってか、凄まじい勢いで湖の中にダイブ。


 数十秒ほど上がってこなかったため軽く心配したが、激しい水飛沫と共に湖から顔が出てきた。

 手には手のひらよりも若干大きいくらいの亀が持たれており、あれが今回求めていたメタルトータスなのだろう。


「よっしゃあああ! メタルトータスを捕まえたぞ!」

「魔物が寄ってきてるから、早く陸に上がってこい」

「わーってる! すぐに戻る!」


 湖から戻ってきたエイルからメタルトータスを受け取り、着替えている間に俺は観察を行う。

 大きさも見た目も普通の亀だが、確かに背負っている甲羅が珍しい鉱石のような感じがする。


 俺は鉱石に詳しくはないから確定情報ではないが、光の当て具合いで虹色に輝くことや形状から考えてミスリルの可能性が高い。

 こんな普通の亀がミスリル鉱石を背負っているのだから、全冒険者が狙う魔物と言われるのも納得だな。


「どうだ? メタルトータスだったろ!」

「ああ。多分だがミスリル鉱石を背負ってる。よくこんな小さな獲物を水の上から見つけることができたな」

「へっへっへ! 俺は目がめちゃくちゃ良いからな! 水中に泳いでいようが見えるんだわ!」


 俺も目には自信があったのだが、単純な視力に関してはエイルの方が上かもしれない。

 暗い場所では明確に俺の方が勝っているが、エイルの五感は凄まじいものがある。

 力も人間比では並みはずれているし、俺が密かに考えていたエイルの亜人説は今回の件で更に濃くなった。


「とりあえずお手柄だ。これで戻っても良いとは俺は思っているぐらいだが、今回狙ってるのはこのメタルトータスじゃないんだよな?」

「ああ! この普通サイズじゃなくて、巨大なメタルトータスの目撃情報があったらしい! 体がデカいってことは長年生きた証でもあるし、背中の甲羅の鉱石もきっとレアなものを身につけているはずだぜ!」


 そう言われると探したくなってきてしまう。

 体が大きいということは背中の鉱石も大きくなっている訳だし、レアで大きな鉱石を持ったメタルトータスが希少なのは俺でも分かる。


 正直ここまでの道中の過酷さを考えると、その目撃情報に信憑性がないと思えてきているが……。

 せっかくここまで来たのだから、時間ギリギリまで徹底的に探したい。


「なら、もう少しだけ探そうか。俺もこのメタルトータスのお陰で姿や気配を頭に入れることができたから、完全に手探り状態の捜索から進展はしている。地底湖に沿って奥を歩きながら、メタルトータスの気配を探って見つけ出そう」

「いいねぇ! ジェイドと来て本当に良かったぜ! 襲ってきた魔物については俺に任せてくれていい! ジェイドはメタルトータスの捜索に全力を尽くしてくれ!」

「いや、エイルも捜索するんだよ。俺は気配で探って、エイルは目で見つけてくれ。魔物は二人で一緒に倒す。一人だけおいしいとこ取りは許さないからな」

「ちぇっ! やっぱジェイドと来るんじゃなかったぜ! マイケルなら戦闘を全て俺に任せるのによぉ!」


 清々しいほどの手のひら返しを見せてきたが、こんな地下深くにいる魔物については俺も興味がある。

 先ほどエイルが湖に入った時に近づいてきた魔物だが、水面から顔を出した時に見えた限りでは目がなかった。

 体の色素も完全に飛んでいたし、暗い地下だからこそ生まれた魔物に違いない。


 そんな体なのにエイルを感知し、近づいてこれた理由も非常に気になる。

 ここから先は想像の及ばない魔物が出現する可能性が高いため、俺も積極的に戦闘を行っていくつもりだ。


 戦闘狂のエイルには悪いが、俺も戦闘が好きな上に好奇心も強いからな。

 捜索も戦闘も半々ずつ請け負いながら、ここから先は進んで行く。




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