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【完結】勇者殺しの元暗殺者。~無職のおっさんから始まるセカンドライフ~  作者: 岡本剛也
第4章

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第154話 地下室の秘密

 

 今は蛆と蠅が湧いている死体を無視し、地下室の中を静かに捜索する。

 至るところにこびりついている血やら拷問器具のようなものばかり目につくが、一度目線を変えて観察してみる。


 家具の場所や棚の配置。

 雑に敷かれている絨毯の下なども見てみたが、特に変わった場所はない。


 シンプルな部屋故に探す場所も少なく、残っている場所で気になるのは壁ぐらいだろうか。

 強固な鉄の壁で作られているこの地下室だが、均等な感覚で線がついている。


 枠型によってできた線ではあると思うのだが……俺はそこに若干の違和感を覚えた。

 言葉では言い表せない微妙なズレのようなもの。


 ここまで隠密行動を意識しながら捜索をしてきたが、恐らくこの壁の秘密は見ただけでは何も分からない。

 この地下室に何かがあるのだとしたら、気配を消したまま見つけ出したかったが、俺は壁をノックして音の反響を頼りに探すことを決めた。


 違和感のあった部屋の右側の壁をノックすると――やはり奥は空洞になっているのか、響くような音が鳴った。

 しっかりとした壁ならば、中身が詰まったような重い音となる。


 杜撰な建設故のものかもしれないが、調べてみる価値はあるだろう。

 この先に誰かが潜んでいるのだとしたら、今のノックで勘付かれた可能性が高い。


 逃げられる前に捕まえるため、俺は慎重な行動は取らずに目の前にある壁を殴り壊した。

 壁の奥がスカスカだったため、あっさりと壁は崩壊。


 その奥には手掘りで作られた道が続いており、その道の先に部屋のようなものが見えた。

 この地下室自体が隠し部屋なのにも関わらず、その地下室にも隠し部屋を作っていたとはな。


 入口を完全に塞いでいるということもあって、前回来た時は一切気づけなかった。

 こことは別の入口があることが予想されるため、俺は急いで奥に見えた部屋へと向かう。


 扉には通常の鍵に加えて、南京錠でドアノブ自体を動かなくさせてあった。

 扉についた鍵は簡単にピッキングできるが、ナンバー式の南京錠はピッキングが非常に難しい。


 いちいち鍵を開けている時間もないため、強引な手段ではあるが扉を壊すことにした。

 大きく振りかぶり、扉に向かって拳を突き出す。


 一発では壊れなかったが扉は大きく歪み、中の様子が隙間から窺える状態。

 歪んだ場所に手を差し込み、俺は引っ張るように扉を無理やりこじ開けた。


 頑丈に作られていた扉が開き、奥に隠された部屋が眼前に広がる。

 何かを軟禁でもしているのかと思ったが、俺の予想とは違い研究部屋のようなものだった。

 

 それも最新の機器を使っているのか、地下に作られた雑な部屋とはミスマッチなマジックアイテムなんかもゴロゴロと置かれている。

 何かの研究を行っていたのは明らかで、その奥にある大量の大きな麻袋を見る限り……中に入っているのは違法ドラッグの元となる植物で間違いない。


 色々と思うところがあるがこの部屋についての思考をする前に、まずは地面に座り込んでいる研究者のような人間達を捕まえよう。

 部屋の中にいるのは計十人。


 どいつも戦闘能力は皆無で、逃げる前に腰が抜けて動けなくなっている状態。

 そこら辺にある縄になりそうなものを手に取り、一人ずつ捕まえては縛り上げていく。


 泣いて許しを請う者が多い中、一人一人静かにさせてから全員を縛り上げることに成功。

 ここからはゆっくりと話を聞いていくとしよう。


「ここの代表者は誰だ?」

「…………」


 全員を横一列に並べてそう尋ねたのだが、俯いたまま誰も声を発さない。

 最低限の忠誠心はあるようだがガタガタと体が震えていることから、シャパルとは違ってすぐに情報は聞き出せるはず。


「分かった。なら、右から一人ずつ殺していく」


 俺は声色一つ変えずに淡々と告げた後、一番右側に座らせた者の前へと立った。

 そして一瞬の間も開けず、抜いた短剣で斬りかかろうとした瞬間――。


「左から三番目の人がここの責任者ですッ!!」


 タイミングとしては柄を握ったぐらいで、俺の前に座っている男が大声を上げて情報を漏らした。

 その声に反応し、指定された位置に座っていた男が叱りつけようとしたのだが、俺に睨まれたことで押し黙った。


 全員の反応から考えても嘘は言っていない。

 俺はゆっくりと左から三番目の男の前に立って、全身を観察するように見下ろす。


「お前が責任者だな。この施設は一体何の施設なんだ?」

「……お、お、おま、お前に関係は――グふエッ!」

「質問に答えないと一発ずつ殴る。……いや、爪の間に針を埋め込んだ方がいいか。両手両足で計二十。大丈夫、殺しはしないから安心してくれ」

「わ、わ、分かった!! 話すから危害を加えるのはやめてくれ! 俺に知っていることなら全て話す!」


 床に落ちていた釘を手に取ったところで、あっさりと折れた責任者の男。

 指の一本くらいは我慢すると思ったのだが、まさか痛みを味わう前に折れるとは思わなかった。


 俺も無駄に痛めつけたいとかはないため、情報を吐いてくれるならありがたい。

 ただ脅すスタンスは崩さずに、この男から『都影』とレッドについてを吐かせるとしよう。



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