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【完結】勇者殺しの元暗殺者。~無職のおっさんから始まるセカンドライフ~  作者: 岡本剛也
第4章

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第127話 負け


 大きな木にもたれかかるように座り込んでいる二人。

 珍しくテイトの方が落ち込んでいるように見える。


「ぜ、全然駄目だった……!」

「ごめん。今回は私の読みが外れたのが完全に悪かった」


 痕跡を頼りにベノムマンティスのオスを無事に見つけ、先ほどと同じように二人に戦わせたのだが結果は惨敗。

 というよりも、カマでの初撃をテイトが防御できず、猛毒のカマがトレバーに触れる前に俺が魔法で割って入った。


 そこから先は先ほどのメスと同じようにカマを捥ぎ、そのカマで首を落として仕留めたのだ。

 俺も驚きの結果だったが、自分で言っていたように今回は完全にテイトのミス。


 メスの動きが頭に残りすぎてしまい、攻撃の速度が遅かったオスの攻撃にタイミングを合わせられなかったのだろう。

 力の劣る相手にはタイミングが重要となるからな。


「駄目駄目だったな。自分でも言っていた通り、今回はテイトのミスだ」

「はい、少し警戒し過ぎていました。……本当に悔しいです」

「ジェイドさん、助けてくれてありがとうございます! 首にカマが迫ってきた時は死んだかと思いました!」

「トレバーも急だっただろうが、自分で対処できるようにしないと駄目だ。テイトを全面的に信頼できるのは長所だと思うが、今回は初撃で弾かれたのが分かっていたからな。せめて逃げる選択を取らないといけない」

「はい! やっぱりテイトに頼りきりは駄目ですよね。もっと努力します!」


 ベノムマンティスとの二戦目は戦ったといえるのかも分からない酷い結果だったが、二人の反応を見る限りは戦わせて良かった。

 初戦で自信をつけ、二戦目でその自信が良い具合に折られる。


 戦えたという経験は残っているためある程度の自信は残したまま、もっと強くならなくてはいけないという気持ちになったはずだ。

 俺は一度の負けも許されない状況の中で強くなってきたが、負けるということが成長に繋がることも知っている。


 二人にはもっともっと負けながら、強くなっていってほしい。

 それが俺からの密かな願いであり、二人に“負け”を経験させてあげるのことのできる人間だと思っている

 

「ベノムマンティスの姿ももうないし、今度こそヨークウィッチに戻るとしよう」

「今回も負けで終わりですか……。悔しいですね」

「難度C+の魔物相手に負けて、悔しいと思えるだけで成長している。悔しい思いをしたくないなら、来月までにもっと強くなるしかないな」

「改めて考えると、ベノムマンティスに強烈な一撃を浴びせられたのは凄いですよね

! テイトのお陰ですけど、僕は自信がつきました!」

「私はまだまだ上を目指します。……トレバーにもついてきてもらうから、これからもよろしく」

「僕も上は目指すよ! 自信はついたってだけで満足はしていない!」


 俺は二人のそんなやり取りを聞きながら少しを頬を緩め、ヨークウィッチを目指して帰路に着いた。



 西の森から無事にヨークウィッチへと辿り着き、二人とは門で別れた。

 テイトから久しぶりに『都影』について聞こうかとも思ったが、あの様子だとベノムマンティスのことで頭がいっぱいで、『都影』のことなんて考えられなさそうだもんな。


 最近は『都影』らしき人物を街で見かけていないし、治安も大分良くなったためいなくなったかとも思ってしまうが……。

 マイケルの話を思い返す限りでは、この街に潜伏していることは間違いない。


 この静けさが不気味だし、また情報集めを行っても良さそうではあるが、とりあえず今日はやりたくない。

 ベノムマンティスもわざわざカマを捥ぎ取って戦った訳で、二人の指導を円滑に行うためにも剣は絶対に必要。


 ついでにフィンブルドラゴンの素材の加工も依頼したいため、今日の残りの時間は予定通り武器探しに費やす。

 とは言うものの、向かう場所は『ダンテツ』一択。


 『ダンテツ』以上の武器屋を俺を知らないからな。

 スタナには本当に良い店を紹介してもらうことができた。


 フィンブルドラゴンの加工を行ってくれるのかだけが少々気になるが、まずは行って聞いてみないと分からない。

 一度宿屋に戻ってシャワーを浴び、金の入った麻袋を取って『ダンテツ』へ向かうとしようか。



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