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【完結】勇者殺しの元暗殺者。~無職のおっさんから始まるセカンドライフ~  作者: 岡本剛也
第4章

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第123話 試行錯誤


 魔道具の売れ行きが思っていたよりも悪く、試行錯誤した一週間を終えて休日を迎えた。

 様々な策を講じたお陰でなんとか一日平均五個を売り上げることができており、爆発的な人気は出ていないもののギリギリ及第点の売り上げを見せている。


 正直、魔道具が気になり過ぎていて休日どころではないのだが、レスリーから絶対に休めと言われているためいつも通り休日をもらうことにした。

 今日はトレバーとテイトの指導を行う日でもあり、昨日は給料日でもあったため例の如く麻袋がべッドの上に置いてある。


 給料の入った麻袋は見るからにパンパンに膨れ上がっており、煙玉のアイデア料もあってか、いつも以上に多くのお金が入っていることは中身を見ずとも分かった。

 大見え切って売り出した魔道具が微妙な状態なため、正直給料を受け取る際に申し訳なさがあったのだが……。


 今週は世話になっている人にプレゼントをあげて回ったため、金には非常に困っている。

 あれだけあった手持ちの金もほぼないため、レスリーに感謝しつつ麻袋に入った金を床にぶちまけた。


 えーっと、まずは光輝く金貨から数えていく。

 金貨は……合計十六枚。そして銀貨が三枚で銅貨五枚。


 煙玉のアイデア料で金貨五枚が加算されているとはいえ、この金貨五枚を抜いても先月と変わらない給料額。

 思わずレスリーに対して両手を合わせて祈ってしまうほどの高給。


 手持ちがほぼゼロの状態から一気に金貨が十六枚となり、生活費を抜いても金貨十枚。

 再びお金持ちになったことに、麻袋の中身を広げる前の申し訳なさがかき消え、口角が上がってしまう。


 これでフィンブルドラゴンとの戦いで潰してしまった剣の代わりも買えるし、フィンブルドラゴンの素材を加工することもできる。

 指導の後の予定を無意識に考えながら、魔道具のことも頭を過り、非常に不安定な思考。


「……魔道具を売るためにも休日はしっかりと楽しもう」


 自分を納得させるかのように独り言を呟きながら、床に広げた金を再び麻袋へと戻し、準備を整えることにした。

 


 宿屋を出て門の前へと向かうと、いつものように俺よりも先に着いていたトレバーとテイトの姿が目に入ってきた。

 防具が先月とは変わっており、冒険者として稼げていることが分かって少しだけ嬉しい気持ちになる。


「あっ、ジェイドさん! おはようございます! 今日も指導お願いします!」

「おはようございます。ご指導お願いします」

「二人ともおはよう。良い防具を身に着けているな。依頼の方は順調にこなせているのか?」


 気になったことを早速尋ねてみると、二人とも少しだけ頬を緩めた。

 返事を聞かずとも上手くいっていることは伝わったが、二人の口から直接聞きたい。


「実は……アイアンランクに上がったんです!」

「ジェイドさんにプレゼントしてもらった剣のお陰です。切れ味が段違いでして、私的には頂いた短剣が使えないのは複雑だったんですが、お陰様で簡単に魔物を倒せるようになりました」


 トレバーが胸に着けた鉄の延べ棒を見せて来て、テイトが捕捉するように説明してくれた。

 これだけ嬉しそうにしてくれているのなら、金貨一枚使って購入した甲斐はあったな。


「二人とも、おめでとう。ということは、アイアンにはすぐに上がれたってことだよな?」

「はい! 元々ルーキーランクの魔物は狩っていましたので、前回の指導から一週間くらいでアイアンには上がることができました!」

「アイアンランクの依頼も楽々とこなせていますので、ブロンズランクにもすぐに上がれると思います」

「そうか。他の冒険者パーティが五人くらいなのを考えると、金銭面はかなり余裕が生まれたって訳だな」

「一日に銀貨三枚ぐらいは稼げていますね! アイアンに上がってから、更に楽に稼げるようになりました!」

「お陰様で妹にも楽をさせられてます。ただ……妹も冒険者に興味を持ち始めてしまったのが少し不安なのですが」


 妹のケイトも冒険者に興味を持ったのか。

 生活が安定したのはテイトが冒険者になってからな訳で、興味を持っても決しておかしくはない。


 ケイトがまだ幼いことは俺も覚えており、あの年齢から冒険者を志したら凄まじく強くなりそうだ。

 テイトとケイトが実の姉妹か分からないが、血が繋がっているのだとしたら才能は絶対にあるだろうしな。


「テイトの妹なら一緒に指導するぞ。年齢的にまだ早いかもしれないが、興味を持っているなら連れてくればいい」

「冒険者が危険な職業なのは、私が身を以て経験していますし反対なのですが……。確かに勝手に冒険者になられるよりかは、ジェイドさんに指導してもらった方が安全ですもんね」

「ということは、三人パーティになるってこと!? 嬉しいような、心配なような――」

「まだならない! せめてもう少し大きくなるまでは絶対に冒険者にはしないから!」


 早くもパーティとして活動することを考えたトレバーに対し、強く反対したテイト。

 すぐに追い抜かれてしまいそうだし、トレバーにとっても加入は後の方が良さそうだけどな。


 とりあえず二人の近況を聞きつつ、いつもの平原へとやってきた。

 まずは二対一での模擬戦を行ってから、二人が今日戦う魔物のところへと案内しよう。



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