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【完結】勇者殺しの元暗殺者。~無職のおっさんから始まるセカンドライフ~  作者: 岡本剛也
第3章

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第99話 大喜び

 

 大量の荷物を抱えながら大通りを東へと進み、『シャ・ノワール』へとやってきた。

 昼時ということもあってかなりの客の姿が見えたため、俺は裏の物置きから中へと入る。


「……あれ? ジェイドさんじゃないっすか! 今日ってお休みの日じゃなかったっす?」


 物置で縮こまりながら飯を食べていたのはニア。

 俺とニアは基本的に会わないのだが、いつもこんな感じで飯を食べていたのだろうか。


「ちょっと渡したい物があって寄ったんだ。それより、いつもここで昼飯を食べているのか?」

「そうっす! 目立たなくて居心地がいいっす!」


 花が咲くような笑顔でそう言われ、何とも言えない気持ちになる。

 ニアはレスリー以上に明るいのだが、接客が苦手だったりこうやって隠れて飯を食べていたりと、性格と一致していないことが多い。

 気を使わせないように明るく振舞っているんじゃないかと思ってしまうが、この笑顔が演技だと思ってしまうと怖いため触れないでおこう。


「まぁニアがいいならいいのか。……ニアに渡したい物があるから、飯の手を止めてもらっても大丈夫か?」

「もちろんっす! でも、私に渡したい物って何すか?」


 飯の手を止め、立ち上がったニアに靴の入った箱を手渡す。

 箱の中身が何なのか思い当たらないようで、ニアは首を傾げながら開封した。


「おっ! これって靴っすか!?」

「ああ。配達で使えるように良い靴を選んだつもりだ。良かったら使ってくれ」

「ジェイドさん、ありがとうございますっす!! 早速履かせてもらうっす!」


 飛び上がるように喜んだあと、すぐに俺の買った靴へと履き替えてくれた。

 踏みしめるようにゆっくりと歩き、足にフィットしたようで今度は軽く走り始めた。


「うおー! 跳ねるような感じで、この靴凄いっす! これはもっと配達がしやすくなるっす!」

「喜んでくれたなら良かった」

「でも、なんで私だけにプレゼントを買ってくれたっすか?」

「別にニアにだけじゃない。左手の酒はレスリーにで、背中のマットはヴェラにだ」

「おー! ということは、従業員みんなにプレゼントを買ったんすか! ジェイドさんは仕事もできるのに凄いっす!」


 ぴょんぴょんと俺の周りを飛び跳ねながら、全力で褒めてくれるニア。

 ここまで喜んでくれたなら、わざわざ休日を使ってまで買った甲斐はあったと思える。


「無理に褒めなくていいぞ。プレゼントを渡したいから、二人を呼んできてくれないか? この姿で売り場に行ったら変な目で見られるからな」

「了解っす! まずは師匠から呼んでくるっす!」


 ビシッと敬礼してから、走ってレスリーを呼びに行った。

 ニアはすぐにレスリーを連れて戻ってきてくれ、改めて俺に礼をしてきた後、食べかけだった飯へと戻っていった。


「ニア、なんだ急に……ってジェイドじゃねぇか! なんで休みの日にいるんだよ!」

「いつも世話になっているから、今日は三人へのプレゼントを買ってたんだ。そしてそれを届けにきた」

「プレゼント? 世話になっているのは俺の方だし、俺からプレゼントをやらないといけないぐらいなんだが……いいのか?」


 包みから酒とすぐに分かったのか、レスリーは目を輝かせながら尋ねてきた。


「もちろんだ。仕事終わりにでも呑んでくれ」

「やっぱり酒だったのか! ジェイド、本当にありがとな! 見てもいいか?」

「ああ。酒に詳しくなくて店員から聞いたものを買っただけだから、喜んでもらえるか分からないけどな」


 俺のそんな言葉に返事をすることもなく、気持ちが先走っているのか雑に包みを開封し、中に入っていた酒瓶を見てレスリーは固まった。

 この反応は……喜んでいると捉えていいんだよな?


「珍しい酒を買ってきたんだが、その反応は喜んでいるって認識で大丈夫か?」

「――本気で嬉しいッ! この酒、『黒祭』じゃねぇか! 知る人ぞ知る名酒だぞ! こんな良い酒もらっちまっていいのか?」

「レスリーのために買ったんだから貰ってくれ。そんなに喜んでくれたのなら買って良かった」

「ジェイド、本当にありがとよ! 今日の夜にでも早速呑ませてもらうわ! くーぅー、早く呑みたいぜ!」


 酒瓶に頬擦りしながら、今にも晩酌したそうなレスリー。

 ニアも喜んでくれたし、レスリーもしっかりと喜んでくれた。

 

 こういう笑顔を見ると、大金叩いて買った甲斐はあったと思える。

 残るはヴェラだが、三人の中で一番分からないのがヴェラだ。

 喜ぶ姿は想像できないため、使って良いと感じてくれたらそれでいいだろう。


「呑むのは夜の楽しみに取っておいてくれ。それと、向こうに戻る際にヴェラを呼んできてくれないか?」

「ああ、分かった! その背中のはヴェラへのプレゼントか?」

「そうだ。布団の下に敷くマットを買った。いらないとは言われないよな?」

「……喜ぶ姿は想像できないが、流石にいらないとは言わない――と思う」


 喜ぶ姿よりもいらないと言う姿の方が想像つくため、レスリーも若干苦笑いで言葉を濁した。

 まぁもしいらないと言われたら、自分で使うとしようか。


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