伝説の夜を君と
レビュー執筆日:2022/4/10
●ポップな作風で「完成度」は結構高いが、もっとハードな面も見たかった。
【収録曲】
1.伝説の夜を君と
2.北極星のメロディー
3.クレイジー・ギャンブラーズ
4.Welcome To Wonderland
5.セイントエルモ
6.A
7.バタフライソング
8.狂乱天国
9.テンペスト
10.白状
11.R.A.D.I.O.
12.ブレインデッド・ジョー
13.世界が変わる日
個人的にはかなり良い出来だった『2020』に続いて今作も聴いてみたのですが、『2020』と比べるとハードな雰囲気が抑えられてメロディを際立たせたポップな楽曲が増えた印象があり、それゆえに「ベタ」に感じられる点も多く、彼ららしさがやや薄れたように感じられました。
とはいえ、今作単体で見ると別段悪い出来には感じられません。「ベタ」ということは「分かりやすい」ということでもありますし、基本的にギター・ベース・ドラムというシンプルな楽器構成でありながらも(『Welcome To Wonderland』ではパーカッション、『白状』ではピアノを導入していますが)、『セイントエルモ』は8分の12拍子のバラード、『バタフライソング』は4つ打ち、『R.A.D.I.O.』は軽快なモータウンビート、『ブレインデッド・ジョー』はハイテンポで一気に駆け抜ける雰囲気……と曲ごとにリズムの取り方やテンポを変えてメリハリを付けていますし、似たような曲を連続させずにアルバムとしての「流れ」を上手く形成させる手腕もなかなかのもの。そういう意味では一つの作品としての「完成度」は結構高く感じられます。
収録曲の中で一番印象に残ったのは『狂乱天国』でしょうか。今作では数少ないハードで荒々しい楽曲で、「ふざけろよBaby ふざけんじゃねぇ」「アバズレ オチブレ ゴロツキ 変人 凡人」等といったインパクトのあるフレーズも多数で、「彼らの真骨頂はやはりこういうところにあるんだな」と感じさせられます。
全体的にはなかなか楽しく聴くことはできたのですが、やはり、『狂乱天国』のように良い意味で「何だこれは?」と思わせるような曲ももっと聴きたかったな、と感じるところもあり、評価は星4つとさせていただきます。良くも悪くも彼らの「器用さ」が際立っているように感じられるアルバムでした。
評価:★★★★