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転生魔王の配信生活  作者: 白神 怜司
解き放たれる魔王節
24/201

【初コラボ】ゲーム開始

 エフィさんの唐突な提案によりやる事になった『OFA』だけど、割りとこのゲームって自由度が高い。


 まず、FPSに珍しくプレイヤーは自分でキャラメイクしたアバターを育てていくような感じ。

 とは言っても、別にステータスが上がったりスキルを覚えたりっていうのはなく、『兵科』と『超能力』の二つを対人戦時のスコアに応じて加算されるポイントを稼いでいく事で、それぞれのランクをあげていく、といった方が分かりやすいかな。


 戦闘スタイルを決める『兵科』の種類は五つ。


 シールドピストルと呼ばれる盾と連射能力の低いピストルが一緒になった武器を持てるタンク系の兵科である『シールド』。

 この兵科は他の兵科に比べても耐久力も高く、死ににくい。

 シールドを使って突撃するタイプのものや、バリアゾーンを生み出すような『超能力』と相性が良くて、そういうタイプの『超能力』の距離、威力、持久力、持続力にバフがかかる。


 続いて、アサルトライフルなんかを持って素早く切り込む突撃型の『アサルト』。

 こっちは通常時の移動からも移動速度が早めだし、アサルトライフル装備時のマガジン数が一つ多かったりする。

 移動系の『超能力』なんかと相性が良かったりするんだけど、私はこの兵科をやらないのであまり詳しくないものの、色々な『超能力』と組み合わせてマイノリティな戦い方をする人とかも多いらしい。


 次が、ロケットランチャーやガトリングガンなんかを使ったりする『ヘヴィー・ウェポン』。こっちは重火器、なんて呼ばれ方もしてるね。

 弾数の追加所持、ガトリングガンなら熱量低減なんかも使えたりする兵科。

 戦況を大きく左右させる兵科なのだけれど、その代わり移動速度に難あり。ただし、『超能力』で移動系を取って補助するタイプもいれば、火力を更に乗せた火力馬鹿みたいなタイプもいたり。


 次が、『メディック』と呼ばれる回復キットを持っている兵科。

 こちらは系統としてはアサルトに似ているけれど、アサルトよりも軽量な武器じゃないとペナルティが発生する兵科だし、HPが低めに設定されていたりする。

 ただし、『メディック』がいると前衛も気兼ねなく突っ込み易くなったり、多少のダメージも覚悟の上で戦えるため、今では『超能力』で弱点を補う、バリアを持つ、なんて組み合わせにして防御面を補強しつつチームに一人は入れるっていうのがスタンダードだったりするみたい。


 そして最後が『スナイパー』。

 先に説明した『メディック』とは違う方向でチームを支援する後方支援扱いで、スナイパーライフルを使った時の銃のブレだったりを軽減してくれる兵科で、トラップを仕掛けたりもできる。

 索敵スキルなんかを使って完全支援と牽制を行ったり、逆にスナイパーなのに至近距離で戦って撹乱したりと、その支援方法もまたプレイヤー次第で多岐に亘る。


 超能力の種類については私も全部は把握していないけれど、こっちはランクが上がると少しだけカスタマイズ――使用回数を減らして一回あたりの効果を強化したり、使用時間を減らして回数を増やしたり――っていうのもできたりもするらしい。


 まったく同じタイプとは限らなかったり、『兵科』によって油断していたら『超能力』で裏をかかれて逆転されたり、なんていう動画もあった。

 意外と奥が深い。


 ワンパターンにメタを張る、みたいな方法は通用しないんだとか。

 エフィさんの配信で言ってた。


《ヴェルちゃん、ログインしたら『Connect』に自分のID撮ったスクショ貼ってもらえる?》


「うむ、了解した」


『ガチで事前準備もしてねぇw』

『またエフィの独断スタートかw』

『エフィ様、外部であろうがなんだろうが変わらない』

『まあエフィ様だし……w』


 コメント欄をちらりと見やれば、本当に私とやるのが初めてかつ突発なのだと理解したらしい視聴者たちのコメントの数々。


 うん、そうなんだよ、視聴者さん。


 今日、そもそも挨拶とお話だけだったんだ、予定は。

 というか、もっと細かく言うと今日コラボの予定なんてなかったんだよ。


 じゃあなんでこんな状況なのかって……全てエフィさんの暴走だよ。


 まあ、ユズ姉さんも「いきなりゲームで一緒になるより雑談ぐらい交えたらいいんじゃないか」って話はしていたんだよ。


 でも、「ゲームをやる前に少し話したんだから今日やっても今度やっても一緒」という超強引な理論でやる流れになってしまい、コメントの盛り上がりとリオさんとスーさんが乗り気になってしまった事によって、ユズ姉さんには止められるはずがなく。


 結果として、今も『Connect』のルームではユズ姉さんからの恨み言と謝罪の言葉が流れ、『後でね、エフィ』の一言が添えられて沈黙する事になった。


 ……エフィさん。ユズ姉さんのこれ、割りとガチギレだよ?

 脅し文句すらないって本気のアレだよ?


 ……私、しーらない、っと。


「送ったぞーい」


《オッケー。えーっと、N-JP-05……》


《エフィ!? 読み上げてるぞ!?》


《リオ、エフィ姉のいつもの冗談》


《あっはっはっ、冗談に決まってるじゃーん。何年Vやってると思ってんのさー》


『とか言いつつパスコード画面に晒したのいつでしたっけ?』

『先週のコラボでやらかしたやんw』

『何年Vやってるのさーw』

『特大ブーメランやめいw』


《あ、あれはしょうがなくない!? ほんの数秒だったのに入ってくる人が多すぎるんだよ! そのせいで部屋作り直して合流して、大変だったんだからね!?》


『良識があれば入らんけど、目立ちたがり屋は入るからなw』

『事故って分かったら普通は自重するからなぁw』

『だがエフィ、テメーのせいだ』

『罪は消えんのだ』


 あー、先週のは私も見たんだよね。

 レースゲームしようとして部屋番号を入力して視聴者参加型、みたいにやれたりするんだけど、それをやろうとしたエフィさんが部屋番号普通に配信画面に映しちゃって、それを視聴者が即入力して入ってきちゃって。


 結局そのせいで部屋作り直し、招待し直しやらでゲーム開始まで十分ぐらい遅れてたもんね。


 ……しかもそれ、同じジェムのVとのコラボだったからね。

 いやぁ、悲惨な事故でしたね。


「安心せい、リオ、スー。妾のIDはエフィが口にしたのとは違うぞ」


《おー、なら良かった》


《エフィ姉ならやりかねない。そっち方面の信頼がある》


「うむ。妾も見ておったからの、先週のコラボ。思わず確認したわい」


《こらーーっ! 三人で私のポン話で盛り上がるなーっ!》


『外部にまで言われてるの草』

『知れ渡ってますなぁw』

『エフィはジェムプロのトップだぞ? PONの』

『そのやらかしに撮れ高神が微笑むのじゃ……』


 結構言いたい放題言われているけれど、エフィさんは特にそういうコメントに噛みついてはプロレスして、とやりながらも私にしっかりと『クラン招待』を送ってきた。


 クランというのは、いわば試合時の四人チームとはまた違う団体で、チームが違ってもチャットができたり、ログイン情報が見れたりもする、MMOでいうギルドみたいなもの。


 ……『ジェムプロの集い』って、私入っていいんだろうか……。


《よしよし、いらっしゃーい! ようこそ、ヴェルちゃん! 私たちはあなたを歓迎しよう!》


《しよー!》


《ん、歓迎》


「……うむ。初心者じゃがよろしく頼む」


 一応、クラン名は伏せておこう、うん。

 まあ対戦時に名前の上に出たりもするみたいだけど、私から言ってしまっていいのかも分からないし。


《よし、じゃあ早速やってみるかぁ!》


《おー!》


《おー》


「うむ!」


『おぉぉー!』

『楽しみw』

『陛下がんばれー』

『初心者スナどうなるのか見ものだわw』


 エフィさんから試合準備の表示が飛んできて、準備完了ボタンをクリック。


 試合開始時はロビー、あるいは控室と呼ばれる待機所にチームで入り、時間になったらランダム転送され、その場で武器を調達して戦う事になる。


 ただ、ランダム転送というのはチーム単位であってチームが最初から一緒になって動ける方式と、チームメンバーも関係なくランダムに飛ばされる方式があり、プロの公式大会等では基本的にチーム毎に一緒に分けられる方式を選ぶ事の方が多い。

 今度の『OFA VtuberCUP』もチームで一緒に飛ばされる方が採用されるそうだ。


 合流するまでに死んでしまうと配信的にも画面映えとかもしないしね。


 ともあれようやく、私達は試合にマッチングし試合会場に転送された。

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