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転生魔王の配信生活  作者: 白神 怜司
解き放たれる魔王節
16/201

【配信】魔王様の銃でびゅー

「んー、こんなもんかの? 画面見えとるかー? 音は大丈夫かのー?」


『大丈夫』

『ちょいBGM大きめ?』

『銃声でどうなるかだからなぁ』

『いい感じ』


 ゲーム画面を映し出して、隅っこに自分を映しつつ設定を調整していく。

 ゲームの音量が聞こえないとか、音が妙に大きいとか、そういう差がないようにある程度設定しておかないと、視聴者の鼓膜が大変な事になったりするからね。


 たまに配信者の人で全然音が聞こえないなと思ったら、急にドンッとデカい音が鳴ったりして「鼓膜ないなった」みたいになるのも見たことあるし。


「チュートリアルからじゃな。ふむ、移動はWASD、あとはジャンプやら何やらか。なるほどのぉ。お、指示通り進め、という事じゃな」


『お、ゲームIQ高そうな印象』

『もたつく人はここでもたつく』

『困惑しながら進めないとかなw』

『この辺りの進み速度如何で指示厨がアップを始める』


「ゲームIQと言われてものう。妾はゲームなんぞ滅多にやらんかったから、どのゲームも初心者スタートになってしまうと思うんじゃがのう」


『FPS初心者どころかゲーム全般初心者だったのかw』

『それでFPSはある意味猛者』

『RPGとかやらんの?』

『パーティーゲーとか』


「実際に自分でやった事はほぼないかのう。だいたいが動画で見て楽しんでおるだけじゃ。RPGなんかだとストーリーはそれで見れるしの。お、やっと撃てるのかの?」


 移動方法の練習という名のチュートリアルを済ませて、次は射撃訓練らしい。

 クリックで撃てる、マウスでカーソルを合わせる、ふむふむ。


「ふむ、こんな感じかの。お、当たった。これとこれとこれとこれとこれ……む、当たった位置がズレておるのか?」


『え、初心者?』

『初心者ってもっとこう、もたつくというか狙うよな』

『これはエイム上手いタイプか?』

『まだ分からんでしょw』


 幾つかの的を撃ってみると、撃った弾が当たったと判定が出て光点が的に記される。

 全部真ん中を狙ったつもりだったんだけど、カーソルを動かしながら撃ったからか少し真ん中からズレてるのが幾つかある。

 カーソルをちゃんと止めたタイミングで撃ったのは真ん中に当たっているみたいだし、そういう仕様なのかな?


 とりあえず次に進めるらしいので次へ。


 今度はキャラクターが持ってる能力みたいなものを使うスペースらしい。

 ゲージが溜まっていないと使えないとか、使うためには条件をクリアしなくちゃいけないみたいだけど、そのスキルを上手く使えれば戦況をうまくひっくり返せる場面もあるだろう、という事らしい。


「んー、撃てるのはこのちっこい銃だけなのかの?」


『ハンドガンなww』

『進めば撃てる』

『自分に合う武器とか試しておくのもあり』

『できれば全部練習した方がいい。拾えるか分からんし』


「おぉ、そうかそうか。んむんむ、動画では色々撃っておったのを見てたんじゃ」


 今回この『OFA』をやる理由になったのは、そもそもエフィールさんの配信でやってるのをチェックしたからだしね。

 なんか色々なの拾ってガチャガチャと整理して、みたいな感じの事をやりながらあっちこっち走り回って、ひたすら試合を楽しんでたはずだし。


 チュートリアルに難しい事なんてそんなにないらしく、あくまでも基本となる操作方法を教えるだけ、という形になっているらしい。

 とりあえず順当にさくさくとチュートリアルを進めていくと、なんだか妙に広いマップに出た。


「む、なんじゃここ」


『滑ると速いよ』

『ここで全部の銃試せる』

『装備とウルトはここで試す感じ』

『的もちゃんといるしな』


「ほー、銃が撃てるなら良いのう」


 言われるままに滑り降りていくと、左右に色々な銃が置かれている荒野の岩山のようなところに辿り着いた。

 荒野の岩山だというのに棚が置いてあってしっかりと銃が立てかけられているのはこれ如何に。

 そういう訓練場なのかな、雨に降られたらただただ大変な事になりそうだけど。


 早速とばかりに銃を見ながらどういう特徴なのかなどを見比べていく。

 たまに遠くの標的を狙ったり連射をしながらブレていく先に合わせてマウスを動かして調整したり。


 撃つ、慣れた、次。

 撃つ、慣れた、次。


 そんな感じで黙々と一人で納得して試していく。

 こういう作業は割と苦じゃない。


 ちょっとした違いもあるみたいだし、ワンパターンに全部が同じ挙動って訳じゃないからいいね。

 せっかくだし銃の名前も覚えておかないと。


『は?』

『神エイムかよw』

『いや、さっきからエイム完全に合わせてんぞw』

『最初はブレて、そこから数発で調整してやがるw』


 そんなコメントが流れているらしい事にも一切気付かずに、まずは一通り試そうとふんふん鼻歌を歌いながら銃の感想を口にしていた。


『いや、草』

『ノースコープで普通に当ててるんかい』

『うっそだろw』

『意味わからんw しかも鼻歌の音程がクソ綺麗w』


「ふむ、一番良さそうなのはこの長くて飛ぶやつじゃなぁ。だいたいどこでも届きそうじゃし」


 遠くの的から順番に撃って当てていくと、目につく範囲で大体は届く事が分かった。

 意外と飛ぶし、威力も他の銃より高くて楽そう。

 そんな理由で選んでたり。


『素でスコープ見ずに遠距離に一発で当てんなw』

『チートじゃね?』

『いや、これチートでどうにかできねぇよw』

『おいおい、バケモンが生まれたんじゃね?』


「ぬ? いや、スコープを一度見れば分かるであろうよ」


『わかんねーよwww』

『分かったら苦労しねーんだわww』

『これ素で言ってんじゃん、マジ魔王w』

『くっそわらうw』


 ん? え?

 スコープ見れば確認できるのに毎回見て撃つの? なんで?

 よく分からないけど、普通じゃないってこと?


 ……うん、コメントを見た感じ、あまり普通じゃないみたいだ。


 これ、魔力が目覚める前とかにこのゲームに触ってたら魔力のおかげで良くなったのかとか分かるんだけど、今回が本当に初めてだから比較が分からない……。


「ふむ。撃ち方はなんとなく分かったんじゃが、もうちょっと練度をあげぬと実戦では通用せんであろうな。如何せん『きゃらこん』とやらが分からぬ。しばらくはここで黙々と撃ちながら走り回る感じかのう」


『悲報、魔王様キャラコン極めるまで戦場に出ないご様子』

『これキャラコン覚えてから解き放ったら低ランク帯で死屍累々になるのでは?w』

『お客様の中に有識者で高ランクの保護者になれる方はいませんか!?』

『同じVだとエフィ様とかか? でも個人勢とコラボなんかすんのか?』


「まあ、しばらくは練習してもうちょっと見せれるようになったらまたやってみるかの。ともあれいい時間じゃし、今日はここまでじゃな。ではの、臣下どもよ。しっかり眠るんじゃぞ」


『誰か現実に気付かせろぉぉ!』

『腕前という輝きを魅せる、と。なるほどわかりますん』

『おつおつーw 楽しみにしてるーw』

『今日も笑ったわw』


 よく分からないけれど、まあそれなりに盛り上がったらしいので良かったとしよう。




 そして翌日、ユズ姉さんから「切り抜きのせいでバズってるわよ、あなた」と言われるのであった。


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