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誰かが居てくれるという事

 目が覚めると、そこには見知らぬ天井があった。


 自分の部屋ではないし、リビングでもない。どこだ、ここ?


 部屋を見渡そうと、横を見ると瞳の中に少女の寝顔が映る。


 その瞬間顔が一瞬で赤らみ、掛けてあった毛布を薙ぎ飛び起きた。


 え?え?何で唯が?というか俺、何してたんだっけ?


 そうだ!唯のお見舞いに来たんだった!


 夕飯作り終えて、少し休憩してたらうっかり寝ちゃったのか。


 だけど、ここはリビングだよな?何で部屋で寝てるはずの唯がここに?


 ふと、自分に掛けられていた毛布が目に入る。


 そうか、毛布を掛けに来てくれたのか。そして、そのまま唯も寝ちゃったのか。


 よく見ると、唯には毛布が掛かってない。


 そ~と、自分に掛かっていた毛布を唯に掛け直す。


 そして帰ろうと鞄を取り窓の外を見て、驚く。


 朝になっていた。


 俺は、数時間寝ていたのではなく十数時間寝てたのか。しかも人様の家で・・・・・・


 ・・・・・・やっちまった。男ならともかく、睡眠していただけとはいえ女子の家で1泊は完全にアウトだ。


 というか、唯も起こしてくれれば良かったのに。


 まあ、起こすのも悪いな、と思ってくれたのか。


 それに毛布も掛けてくれたし、有難いな。


 だが、男と一緒に夜を越すというのは感心しない。もうこんな機会は無いとは思うが、それでも今度男を家に招待した時は絶対に一緒に夜を越さないように、と注意しとこう。例え、一緒に睡眠を取るだけだったとしても。


 さて、せっかく唯の家に居るんだし朝食でも作ってやるか。ついでに、昼食のお弁当も。


 そうして食事の準備していると、ふぁ~あと欠伸をしながら唯が起きてくる。


 「おはよう」


 眠い目を擦りながら、挨拶をしてくる。


 「おはよう。朝食、準備出来てるぞ」


 「ありがとう」


 そんな、夫婦のような会話をしながら席に着く。


 「美味しい」


 「良かった」


 朝食を食べ進めていく2人。


 「もう、風邪は大丈夫なのか?」


 「うん、もう大丈夫。熱も無いみたいだし、体調の方も良い感じ」


 「そうか、それなら良かった」


 心底ホッとした顔をする有。


 「昨日は来てくれて、ありがとう。来てくれると思わなかったから本当に、本当に嬉しかった」


 そう微笑みなら言う唯、その笑顔は本当に嬉しかったのだなと分かる程輝いていた。


 あまりにも眩しいその笑顔に、思わず照れながら少してしまう有。その照れを紛らわすように別の話題にシフトする。


 「俺が寝てる時に、毛布掛けてくれたんだな。こっちこそありがとう」


 「別に構わない」


 「でも、男を一晩家に置いておくのは感心しない。俺が言うのも何打が、男を一晩家に置くなんて行為は兎がライオンと一緒に一晩を越すようなものだ。それくらい、危ない。だから例え寝てたとしても、起こして少なくとも夜が本格的に始まる前にはちゃんと帰して欲しい」


 毛布掛けてもらっておいて、偉そうなことを言ってしまっただろうか。ウザ、と思われてしまっただろうか。だとしても将来唯が好きな人を見つけた時、後悔するような事態には陥って欲しくない。しかし面倒な奴だな、とは思われただろうな。まあ、仕方ないか。


 「ごめんなさい」


 唯は気落ちし、少し項垂れれる。


 どうやら、ウザ、と思われるどころか落ち込ませてしまったようだ。そんなつもりはなかった。ただ頭の隅にでも置いておいて欲しい、くらいのつもりだったのだが。


 「いや、あの、そんなに気にすることじゃない、というか、まあ、単なる忠告だしそんなに深刻に受け止める必要も無い、というか、いやまあ言った俺が言うのもなんだけども・・・・・・」


 ダメだ、人と会話しなさすぎて失言フォロー能力0だ。こういう時は、言葉よりも行動だな。


 そう思い、朝食後のデザートを作る。


 そのデザートを頬張った瞬間、唯の表情がみるみる軟化していく。


 どうやら、デザート作戦は成功だったらしい。ホッと胸を撫で下ろす。まあ、自分で蒔いた種だが。


 「昨日有が寝てるのを見た時、本当は起こさないとと思った。事前の準備も無しにお泊まりとか嫌だろうし。でも、何でだろう、有と一緒に居ると心が落ち着く。とても心地良く感じる。だから、もう少し一緒に居たい。そう、思った」


 と、少し神妙な面持ちで語る唯。


 「それにやっぱり、1人は少し寂しい」


 今度は切なげな表情になる。


 俺は別に1人は全然平気だ。何ならすごく楽しいと感じる。でも、それは誰かと居ることが苦痛というわけじゃない。誰かと居る温もり。それは、確かに有る。でも、当たり前だが、というか言ったとおり、温もりを得るには誰かと居なければならない。それは、簡単なことのようですごく難しい。特に唯程不器用だったらなおさらだろう。


 「俺は休日は、いや平日も大体家でゲームしたりテレビ見たりしてる。つまり、暇だ。だから、俺で良ければ好きな時に呼び出してくれ。楽しい時間を提供出来る自信は無いが、それでも一緒にゲームしたりテレビを見たり共に過ごすくらいは出来る」


 「良いの?」


 「遠慮なんてする仲じゃないだろ?」


 「そうね」


 唯はふわりと微笑む。その顔にはもう寂しさも切なさも浮かんではいなかった.








初投稿で拙い所も多々あるとは思いますが、楽しんで頂けたなら幸いです!

ついでに、ブックマークや評価等頂けるととても嬉しいです!

どうかよろしくお願いします!


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