戦国武将・小峠依道、恥ずかしながら帰って参りましたッ‼︎
謎の穴に落ち、京の都よりもはるかに先を行った文明の世界を目の当たりした足軽・依道。
そこの下界の者どもは五尺六寸ほどの大男ばかりで
青白い顔をしていて髪を後ろに撫でてはいるが
丁髷はなく、すうつ、と呼ばれる洋装を身につけていた。
そこで牢に閉じ込められた依道は尋問に合う。
『おいらは〇〇軍の足軽だ!』と答えるが、
身分証明書みたいなのはないのか、
と聞かれるが意味がわからない。
死をも覚悟した依道であったが、
そこでの扱いは意外と悪いものではなかった。
というかむしろ良すぎた。
すいいつ(炊逸?)、なる和菓子にもおとるとも勝らない
甘い甘い洋菓子をたらふく食べれたり、
まっさあじちぇあ(摩擦味智慧按?)なる
不思議なからくりの機械も按摩師のそれよりも
疲れが取れ、
さらにはてれびじょうん(照美情運?)、
なるこれまた不思議なからくりの電気紙芝居、
さらにそれをこんぱくとにしたすまほう(寸魔法?)
なるものは、もはやよくわからなかったが、
便利だ便利だ、と下界人達は口にしていた。
あと、といれ(途入?)もいつも用を足している
かわやとは似ても似つかぬほどきれいだったが、
これに関しては逆に落ち着かなかった。
そしてしばらく居座っていると連中はなんの計らいか
『なにか欲しいものや望みはないか?』と聞いてきた。
依道はしばしうつむきながら考え、
『つ、つよくなりでぇ、、、おいらは
生まれつき身体が弱くて、
大戦中も何の役にも立てねがったし
しまいにゃ腹下して逃げちまって…
でもこんなでもおいらは武士の倅だ!
つよく、誰よりもつよい立派な武士になりでぇ!!』
と胸の内を語った。
それならば、と下界人たちは
ふいっとねすじむ(不意闘熱枢事務?)なる訓練場に
連れて行き、ここで鍛えるといいと頼道に教えた。
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依道が地上に戻り、その鍛え上げられた肉体から、
『真頂侍』とあざなをつけられ、
地元ではそれなりに有名な武将として活躍するるのは
その数年先のことであった。
ちなみに、真頂侍の他にも『ほらふき侍』という
あざなもあったという、、、。