身体測定
入学二日目。今日は身体測定ということで、全員ホログラム登校ではなく生身での登校だ。
正直、元引きこもりの私にはツラい日だ。
もちろん身体測定も、ここ10年で大きく変わった。元々、自身の健康状態を把握などが目的だったが、今はAIが健康管理をしてくれている。
今はどちらかというと、ホログラムアバター、略してホロアバの更新という意味合いが強くなっている。学校の登校時に使うホログラムやVRスポーツのアバター。個人的な話だがPWMのアバターも、このホロアバを使う。ホロアバは最早は身体の一部のようなものだ。
計測は速いもので、専用のスキャニングボックスに5分も入っていると、全ての測定が終わる。そこからAIがホロアバを作るまで、10分といったところか。
一、二限を使ってクラス全員のスキャンが終わり、三限ではクラス写真を撮るらしい。
「ねえ奈苗!身体測定どう
だった?」
撮影場所に向かう途中、エリサちゃんが話しかけてくれた。
「…どう…って言われても、普通だったよ」
「…ホント普通だよね、奈苗って。胸が控えめなぐらい?」
「一言余計だよ…」
中学の時から1センチも伸びなかった背と胸囲が、私の一縷の望みを絶つような絶望を与える。
私と違い、エリサちゃんは文字通りアメリカンなボディラインだ。特にくびれがすごい。エリサちゃん曰く、「努力の賜物だよ〜」と言っているが、私との遺伝子レベルの違いを感じざるを得ない。
「ホロアバの更新も1年ぶりだね…ほとんど変わってないけど…」
「私は1.5cm伸びてたよ〜」
「…羨ましい…」
そうこうしていると、集合写真の撮影場所に着いた。校門近くの桜の木の下という、何とも情緒ある写真が取れそうな場所だ。
写真を撮る間、桜の香りが春を鮮明に焼き付けている気がした。