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パーソナルウェポンマスター  作者: 瀬名澄子
私だけの武器
4/6

初めてのバトル!

 私を包んだ光が消えた時、既にそこはバトルフィールドだった。

「奈苗!前にいるソレが敵だよ!一番弱い敵だから、気軽に戦ってね!」

「…気軽って…。私初めての戦闘だよ…!?」

 私の少し前に、全身甲冑を着込んだCPUが立っている。右手には片手剣を持っているようだ。

 私も剣だったらなあ…とか思っていると、視界の上の方に表示されている『試合開始まで:30秒』の数字が減っていくのが見えた。

「ルールは知ってると思うけど、一応!相手のHPを削り切るか、相手を場外に出したら勝ち!円の外に出たら場外負けだから気をつけてね!」

 エリサちゃんはバトルフィールドから一段低い所から応援してくれてるみたいだ。

「…大丈夫!ルールは前に調べたから!」

 バトルは直径10メートルの円の中で行われる。この円から出た時点で場外負けになってしまう。

「でもこれじゃ勝てないと思うんだけど!?」

 何せ私の武器は盾だ。攻撃する術なんて何も無い、武器とも言えないような、もはや防具といった方が正しい気がする…。


『Battle Start!!』


「…ちょっ!もう始まるの!?」

「とにかく武器を構えて!来るよ!」

 武器顕現ボタンを押し、左手で盾を構える。

 CPUは片手剣を振りかぶりながら突進してくる。一番弱い敵だけあって、動きも遅い。振り下ろされる剣に合わせて盾を突き出す。

「ギャイーン!!」

 少しの衝撃はあったが、無事受け止められたようだ。私のHPバーは少しも削られていない。攻撃を防がれたCPUは大きくよろけながら後ずさる。

 攻撃を防いだ盾は、内側からキラキラしたものを少し撒き散らした。

「…これが回復出来る光ね…。」

 白盾から撒き散らされた光は、身体に触れると少し温かい気がする。

「攻撃からは守れたけど……。どうやって勝つの!?」

「盾でガンッて殴ろ!それか盾を構えて突進だよ!」

 エリサちゃんがアドバイスをくれる。よおし。じゃあこうして…。

「…えーーい!!」

 両手で盾を持ってCPUに向かって走ってぶつかる。

「ガンッ」と鈍い音が聞こえる。これならどうだ!とCPUのHPバーを見る。

 …ほんの少しだけ、1ドットだけHPバーが減っていた。

「…これ、どうしよエリサちゃん!?」

「えーと…。削り切るのは無理そうだね…あはは…。」

「ダメじゃんこれ!!」

 私の盾にぶつかられたCPUが剣を振りかぶる。すかさず盾を構える。

「ガキン!」とさっきよりも少ない衝撃を受け止めた白盾は、先程より更に少ない光を撒き散らした。

 衝撃の強さによって、光の量が変わるんだ…。そう思っていると、CPUの次の攻撃が来る。

「ガキン!」

 CPUの剣は、一番弱いだけあって威力もスピードも全然だ。ただ私は防ぐことしか出来ず、受け止める度に光を撒き散らすだけ。

「場外に出す…のは無理か…。突進してもビクともしなかったし…。」

「奈苗!これはホントに最後の手段だけど…!耐えて!制限時間が切れたらHPの多い方が勝ちになるから!」

「…ええ!?このまま耐えるの!?」

 CPUは規則正しいリズムで私の盾を攻撃し続けている。受け止めるには問題ないが、制限時間の残りは…あと二分!?二分間も攻撃を防ぎ続けるってこと!?

 …でもそれ以外に勝ち筋は無い気がする…。とにかく耐えるんだ!

「ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!」

 CPUが剣を振り下ろす。

 私が盾で防ぐ。

 CPUが少しよろける。

 白盾がほんの少しキラキラを出す。

 CPUが体制を整える。

 また剣を振り下ろす。

 また盾で防ぐ。

 ………。


『Time Up!! You Win!!』


 …永遠にも思えた初のCPUの戦いは、私の勝ちで幕を降ろした。

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