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パーソナルウェポンマスター  作者: 瀬名澄子
私だけの武器
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私だけの武器

 VR機器『ヒッポキャンパス』

 仮想空間に直接五感を繋げるフルダイブを使う次世代インターフェースだ。生活の一部となっているのはもちろん、人の『海馬』にアクセスし、記憶を電子化することが出来るという。


 私は高校入学と同時に『ヒッポキャンパス』を買ってもらい、それを使ってホログラム通学している。エリサちゃんは少し前に買ってもらい、既に『パーソナルウェポンマスター』をプレイしている。

 今日は私の記念すべき初プレイの日(と入学の日)なのだ。

「ごちそうさま。」

 昼食を食べ終わり、早足で部屋に戻る。はやる気持ちを抑えながら、ベッドに横たわり『ヒッポキャンパス』をセットする。

『ヒッポキャンパス』は頭から被り、前は目を完全に覆い、後ろはお尻の辺りまで伸びているのが特徴だ。

 かなり大きいので、値段もそこそこする。それでも補助金とか、もろもろ含めると五万円強の値段で抑えられている。

 お尻の近くにあるダイブ開始ボタンを押す。既にダイブしたことあるが、少し緊張した。

 一瞬、世界が真っ暗になり、すぐに柔らかな陽光が辺りを包む。視覚以外の感覚が消え、浮いたような感覚の後、草花の香りが鼻をくすぐる。気が付くと私は草原に横たわっていた。

「ようこそ。ヒッポキャンパスへ」

 私の設定したホームエリアに無事アクセス出来た。起き上がってメニューを開く。

 一番左に配置換えしておいた『PWM』のアイコン。これをタップするとゲームが始まる。

 少し逡巡したが、やはり好奇心とワクワクに押されタップ。

 草原だった景色は石造りの広間に変わっていく。


『パーソナルウェポンマスター』


 「ジャーーン!!」という効果音と共に、タイトルロゴが現れた。

 『ヒッポキャンパス』専用ソフトとして2031年7月24日発売された、フルダイブ型VR格闘ゲーム『パーソナルウェポンマスター』。

『パーソナルウェポンマスター』は、『ヒッポキャンパス』の海馬を読み取る機能を利用して、読み取ったデータから一人ひとりオリジナルの武器を造るという画期的なシステムが売りの格闘ゲームだ。

 人によって、剣だったり銃だったり、あるいは魔法の杖だったり。プレイする人によって変わる武器というシステムが話題となり、今やVRゲームで最も盛り上がっているゲームになっている。

「ついに…PWMが出来るんだ…!」

 感激していると、すぐにチュートリアルが始まった。

「パーソナルウェポンマスターの世界へようこそ!貴様だけの武器で世界一を目指せ!」

 怖そうな男性の声でチュートリアルが進んでいく。

「まず始めに、貴様だけの武器を作成する。海馬へのアクセスを許可しますか?」

 そこだけ敬語なのか、と少し笑える。

 迷わず許可のボタンを押す。すると海馬の読み取りが始まった。

 私はどんな武器になるだろう…。近接武器じゃなくて、遠距離がいいなあ…。なんて思いながら、読み取りに応じて伸びていくゲージを眺めて待つ。

「海馬を読み取った!では記憶から武器を生成する!」

 そう言った後、目の前に白く光る球体が現れた。

「それを掴め!それこそが貴様の唯一無二の武器だ!」

 球体を恐る恐る掴む。

 持ち手だ。私は細い持ち手を掴んだようだ。すると球体が薄く広がっていく。そして持ち手の付いた薄い円状になり、輝きを強めたと思うと 、弾けた。

 それは盾だった。直径一メートル程のラウンドシールド。私の武器は盾。というか盾は武器なの?

「それが貴様だけの武器。それ以外の武器を使うことは出来ぬ!その武器のみで戦い抜くのだ!」

 いやいや、盾だけで戦えるのか!?

「ちょっ、待ってください、変えたいんですけど…!」

「ならん!武器を変えることも、やり直すことも出来ぬ!」

「…え、マジですか…」

「では行け!まだ見ぬウェポンマスター達が貴様を待っているッ!」

「嘘だぁ〜!」

 こうして私の『パーソナルウェポンマスター』が始まった。

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