時刻表。
「次は……5分後かぁ……。 ひっく」
ふらふらとしていて、目の焦点すらままならない。
千鳥足とはまさしくこの事を言うのではなかろうか。
まだ、最終便ではない。
それまで締め付けられていた頚元のーー
シャッキリしていたサラリーマンの面影などまるで無かった。
何処に仕舞ったかどうかすら思い出せないネクタイは嘆いていることだろう。
「ふぅぅぅ……」
かろうじて意識を保つも、もう、そのまま堕ちてしまいそうな。
じつに、立派な酔っぱらいだった。
酔い醒ましのペットボトルを片手にしてはいたが。
ぷあーん がたん ごとん プシュー
「はいはい、乗れば良いンでしょ~」
開いたドアを視て、重い腰をあげる。
駅構内に、誰も居なかったことなどまったく気にせずに。
「よっこらしょっとぉ」
深々と背中を預けて。
もし、起きれなかったとしても車掌さんがどうにかしてくれるだろうと。
僅かに見えた、行き先を読めずにいて……
ガタン ゴトン ガタン ゴトン
ただ、ひとひらの紙切れだけが残されていた。
"地獄表"と記されている黄泉への片道切符。
深夜遅くの異世界便。
「切符、見せてください」
髑髏の車掌さんが、ケタケタ嗤っている。