#序章『始まり』
――裏ダンジョン
その名前を知っている者が、今どれだけ生きているだろうか……。
裏の名前を冠したそのダンジョンは、100年前に発見された。他でもない人間達の手によって。
しかし、このダンジョンは、普通ではなかった。
――圧倒的な難易度。そして、攻略不可能と言われた伝説。
この伝説が作られたのは、はるか昔のこと。ある最強と称される英雄がいた時代……
当時、地上に住む人類には、最強と言われた5人の冒険者がいた。様々なダンジョンを片っ端から制覇するもんだから、ついた名前は<五大英雄>
――単純だろ?......でも、それぐらい強かったんだぜ。
英雄の名がつく彼らに、攻略できないダンジョンなど、この世界にないと言われていた。しかし、その矢先に新しく見つかったのが、裏ダンジョンだ。
のちに、『裏』の名がつくダンジョンも、見つかったばかりの頃は無名だった。しかし、直にその悪名は世界中に轟く。
なぜなら、最初に攻略に向かった五大英雄が帰還しなかったからだ。最強の彼らが、二度と戻ってくることは無かった。
――信じられない事が起きた。なんだあのダンジョンは?!
衝撃が走った。帝国で発生した前代未聞のこの事件は、噂が噂を呼び、隣国まで知れ渡ることとなった。
「あの英雄たちが生きて帰ってこなかったダンジョンなんて、恐ろしくて潜れるか!」
当時の冒険者たちは、口々にそう言った。触らぬ神に祟りなし。どんなに恐ろしくても、入らなければ問題ない。
この国の人々は、偉大なる5人の「死」から学び、100年もの間このダンジョンに触ることは無かったという。
そして今現在、語ることさえも恐ろしい『裏』のダンジョンとして、細々と語り継がれているのである。知る人ぞ知る、隠れたダンジョンってわけさ。
――しかし、この話には誰もしらない「裏話」がある。
なぜ、俺がそんな事を知っているかって?……それは、俺が英雄の孫だからさ。
「……え?英雄は死んだんじゃなかったのかって……?」
確かに、英雄は死んだ……と言われているけど、実はコレ。地上の人間たちが勝手に広めた話で、本当の事実じゃないんだ。
本当は……英雄たちは地上に戻らず、裏ダンジョンで、魔族と子を成し、平穏に暮らしたんだ。
英雄たちは自分たちの意思で、地上に戻らず、地下の『戦いの無い生活』を選んだ。
――そして、その血を受け継ぐ子孫がこの俺、ハイデ。
世にも珍しい魔族と人間の<混血>さ。
「なんで、お爺ちゃん達は冒険者なのに平和な生活を選んだのかって?」
それはね……魔族と人間の戦争の勃発を避けたかった……からなんだよね。
人間って生き物はさ。結構臆病で、自分たちより身体能力が高くて、魔力が強くて、おまけに頭も回る種族が嫌いらしくてさ。
そういう生き物に出会うと人間は、数にものをいわせて、戦争しちゃうらしいんだよ。実際に、亜人とは、過去に何回も何回も戦争しちゃってさ。
命の奪い合いなんて、のどかな裏ダンジョンにいたんじゃ想像もできないけどねぇ……。まぁ、お爺ちゃん達が地上に戻って、人間たちに、俺たち魔族の事を教えてたら、この平和な生活も無かったんだろうけど……。
「まっ!そのへんの話はまた次回にしとこっか。人間の価値観だの、命の重さだの、この物語の根幹に関わるところだからさ。ムズかしい話は後にしよう。」
最後に、これを見ている人間様がたが……この物語を読み進めようってんなら、俺の自己紹介から始めさせてくれよ。
「I’m from 裏ダンジョン」
――ようこそ。世界へ。
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