ホラー映画を一人で観れる女の子でも告白の前は少し緊張していた。
第4話 ホラー映画を一人で観れる女の子でも告白の前は少し緊張していた。
ふうと息を吐く。ここはもう何百回と来たことのあるハジメの家で、私はその扉の前で少し固まっていた。
私は決めに行くつもりでいた。結構本気で。勿論、告白に失敗する気など毛頭ないし、一年も準備していた告白が失敗するなんてそんな事もあり得ない。だって私は自分でも怖くなるくらい、雨の日でも風の日でも毎日ハジメに会うためならなんでもしたのだから。
ストーカー?いやいや、私みたいな可愛い女子高生であれば、それはストーカーではなく恋愛の努力という言葉に変わる。当たり前だ。それと、次にストーカーって言った奴がいたら鼻の骨を折る。
とでも、強いて言うなら少し不安なのはハジメが部活にも行かずにすぐに帰ってしまったことだった。
いつもだったら絶対に何か一言伝えてから帰る幼馴染が私に何も言わずに帰るなんてことは珍しい。だけど、そんなことを気にしていたら仕方がない。いつまでたっても私の思い通りにならないのが私の幼馴染なのだ。
だから、震える手でチャイムを鳴らした。
「ハジメ。いる?」
「お兄ちゃん、一応聞きますが、それはどういう状況だったんですか?」
妹は気づいていた。自分の兄は勉強はできない事もないが、少し頭が弱くて恋愛とかに疎いことに。
「いや、さっき言っただろ。昨日、京香が高橋ってやつを土下座させてたんだよ。あんなに優しい京香が土下座させてまで怒るんだぞ。それこそ、恋愛関係しかないだろ。」
「確かに、話だけ聞くと、お兄ちゃんの言う通りなんですけど。なんか違うというか。」
「いや、でも京香が誰かと付き合ってるって結構ショックだったけど、高橋なら大丈夫だろうな。良いやつだし。でも、そしたら浮気とかじゃないのかもな。」
「うーん?」
だけど、もみじは依然としてしっくりこない顔をしていた。そして、その瞬間にチャイムが響いて、部屋から出て行こうとした俺はもみじに腕をぶつけた。
「ちょっと、何をするんですか?」
「いや、ごめん。」
憤慨した様子でもみじは怒る。
「兄妹といえども、セクハラは存在しますからね!」
だけど、何も考えていなかった俺の言葉はもみじの怒りを更に誘った。
「あー。胸に当たったのか、ごめん。気づかなかった。」
「おい。そこに直れ。」
「いや、別に気にする事は無いと思うぞ。京香だって昔は無かったし。」
「私はそんな話をしてるんじゃありません!それに、私は着痩せするだけです。平均程度にはありますから。」
だけど、その胸には明らかな膨らみは見えない。だから、俺は妹が世間に出た時に恥をかかないようにと優しい気持ちで冷静に事実を伝えた。
「無いものを証明するのは悪魔の証明って言ってな、すごく難しいんだ。だから、もみじの胸の証明をするのはほとんどふか・・・・」
もみじが俺の首を絞める。
「ちょ。首。痛い。痛いって。」
「まだ折れても無いのに。貧弱ですね。」
「折れたら死ぬから!何言ってんの?」
そうして、じゃれあっていた俺らに女子高校生の影が忍び寄った。
「ほんと、仲良しだよね。でも、浮気は許さないから。」
京香は現れた。何やら覚悟を決めた顔をして。
「いや、付き合ってたっけ俺ら?付き合ってないよね。」
「だから、そのことについて話があるの。聞いてくれる?」
「いや、なんか怖いんだけど。いつもと違うと言うか。」
「聞いてくれる?」
「はい。」
俺は目が笑っていない彼女の話を聞く他なかった。
一昨日投稿したのが、もう日間のジャンル別の15位に入っていて、とても驚きました。ブックマークや評価をくれた方は本当にありがとうございます。
それともしよろしければ、こちらの作品から恋愛要素や設定を全て抜いてギャグに全振りした、何も考えずに書いた作品もやっているのでよろしくお願いします。
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これからもどうぞよろしくお願いします。