表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/202

申請①

 アディル達一行はレジ―ルを発って三日後に竜神帝国の帝都である“ハーゼス”へと到着した。

 ハーゼスへと到着したアディル達一行はそのまま竜神探闘(ザーズヴォル)の申請へと向かう。

 申請場所は竜神帝国の皇城という話であり、帝都へ入るとすぐに皇城が目に入った。


「ほ~こいつは凄いな」

「ああ、これが竜神帝国の皇城か……すげぇ」


 アディルとシュレイは皇城を見て感歎の声を上げる。


 竜神帝国の皇城は、まるで黒曜石を磨き上げたかのような黒く輝く、荘厳と呼ぶに相応しい威容を見せていた。


「皇城の城壁は黒華石(こっかせき)で統一されてるのよ」

「黒華石?」

「魔力を込めると堅くなる特性を持った石よ」

「へぇ」


 アリスの説明を受けてアディルが感心したかのような声を出した。


「その黒華石は当然価値あるものを、あれだけの量を惜しげもなく使う……か。一種の示威行為か」


 アディルの言葉にアリスが頷く。


「そういう事」


 アディル達は会話をしながら皇城へと向けて歩いて行く。帝都には言ってから大通りを一時間ほど歩いて皇城の門前に到着する。


「しかし、間近で見るとさらにすごいな」

「うん」


 アディル達は皇城の前でさらに感歎の声を上げた。間近に見る皇城は先程よりも遥かに巨大に見えており、アディル達とすれば圧倒される思いである。


「あんた達はここで待ってなさい」

「了解しました!!」


 アリスは駒達に言い放つと駒達は直立不動となり、毒竜(ラステマ)のロジャールが駒達を代表してアリスに返答した。

 五十人程の人数で皇城に入るわけにはいかないので当然の処置であった。


「それじゃあ行くわよ」


 アリスの先導に従ってアディル達一行は皇城へと進んでいく。衛兵達が皇城へと入ろうとする者達に対して厳しい視線でチェックしている。


(かなりの使い手達だな。レジ―ルの衛兵達も雑魚とは呼べない力量だが、こっちはさらに上をいくな)


 アディルは衛兵達を見て即座に判断する。さすがに皇城を守る衛兵ともなれば実力者が任命されるのだろう。


「目的は?」


 責任者らしき衛兵がアディル達に向けて言う。声にやや緊張が含まれているのは、向こうもまたアディル達の力量を察知しているために警戒をしているのだろう。


竜神探闘(ザーズヴォル)の申請です」

「!!」


 アリスの声は静かであったが衛兵達に与えた衝撃は大きかった。衛兵達は視線を交わし、責任者が静かに口を開く。


「……わかりました。お通りください」


 責任者の声は明らかに緊張を孕んでいた。アディル達の実力を察している衛兵達とすれば、一体誰が相手なのかと考えさせられたのだ。


「ありがとうございます」


 アリスはニッコリと笑って言うと衛兵達の前を通り過ぎて進んでいく。アリスに続いてアディル達も後を追った。

 


「……ふぅ」


 アディル達一行の姿が見えなくなると衛兵達の中にほっとした空気が流れた。


「凄い使い手達だったな」

「ああ」

「危険探知に引っかからなかったから大丈夫と思うが……」

「確かなのか? あれほどの手練れ達だ。すり抜けたんじゃないのか?」

「ふざけるな。わずかの揺らぎも感じられなかった」


 衛兵達の会話にやや熱がこもるのは緊張から解き放たれた反動からかも知れない。数人の魔術師達がアリス達をチェックしており、犯罪行為を行う事はないかをチェックしていたのである。


「いずれにせよ。ここから先は俺達の仕事じゃない」

「「「「は!!」」」」


 責任者の言葉に衛兵達は短く返答すると次の入城者のチェックに入るのであった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ