表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
84/202

閑話:追う者達

「依頼に出た?」

「はい。灰色の猟犬(グレイハウンド)、アマテラスと一緒に独自の依頼を受けたとのことで今朝方出発しました」


 長い黒髪を後ろに束ねた長身の騎士に、ハンターギルドの受付嬢のハンナは申し訳なさそうに返答する。 


「そうか……。いつ頃帰るかわかるかな?」

「いえ、独自の依頼と言う事で詳細をこちらも把握していないのです」

「いや、すまない。それで、灰色の猟犬(グレイハウンド)とアマテラスというのは?」


 騎士の新たな問いかけにハンナは口を開く。


「はい。灰色の猟犬(グレイハウンド)というのはハンタークラス、“ミスリル”で構成されたチームです。もう一つのアマテラスというのは最近結成されたハンターチームでランクこそ“スチール”ですが、灰色の猟犬(グレイハウンド)紅風(クラヌイスベル)と行動を共にしていまして、将来有望なハンターチームです」


 ハンナの言葉は一面的な事実としてはまったく正しいのだが、実情は大きく異なる。灰色の猟犬(グレイハウンド)紅風(クラヌイスベル)と行動を共にしているのだが、上下関係においてハンナの認識とは真逆なのだ。


「ふむ……それではその三つのチームが戻ってきたら、話がしたいと伝えてくれないかな?」

「はい、それは構いませんが……」

「どうした? 何か差し障りがあるのかな?」

「いえ、実は紅風(クラヌイスベル)のメンバーが一人、闇ギルドの襲撃にあって亡くなっているんです」

「……ほう」

「もちろん騎士様が関係しているわけないのはわかっていますが、こちらとしては慎重にならざるを得ないのです」


 ハンナは騎士に向かって真っ直ぐに見つめて言う。職務に忠実な様子が見て取れる。


「そのような事情であれば慎重にならざるを得ないのは当然だな。私の名はエキュオール=レイガンドだ。エキュオールが来たと言ってくれれば良い」

「エキュオール=レイガンド様ですね。わかりました。紅風(クラヌイスベル)が戻ったら伝えさせていただきます」

「頼む」


 エキュオールはニコリと微笑むと踵を返し歩き出し、そのままギルドを出て行った。



 *  *  *


「手はずはどうだ?」

「取りあえずは待つしかないな」

「どういうことだ?」

「そう凄むなよ。エルゼス」


 エルゼスと呼ばれた騎士の声に剣呑なものを感じたエキュオールが言う。その問いかけはどことなく子どもを窘めるような響きが含まれている。


紅風(クラヌイスベル)とかいうハンターチームは現在、任務に出ていると言う事だ」

「ちっ……」

「どうやらマルトス卿を斬ったのは紅風(クラヌイスベル)ではないようだぞ」

「どういうことだ?」


 エルゼスがエキュオールへ尋ねる。


紅風(クラヌイスベル)のメンバーが最近、闇ギルドとか言う連中に殺されたようだ」

「なるほどな。犯罪者ごときに敗れる連中がマルトスをやれるはずがないと言うことか」

「ああ、紅風(クラヌイスベル)と一緒に行動しているハンターチームに灰色の猟犬(グレイハウンド)とかいう連中がいる。そいつらは紅風(クラヌイスベル)よりも格上のようだ」

「となるとそちらか?」

「可能性とすればそっちが圧倒的に高い」


 エキュオールの言葉にエルゼスは頷いた。この段階で大いに誤解があるのだが、ハンナからもたらされた情報から、灰色の猟犬(グレイハウンド)が三チームの中で最も実力があると勘違いするのは仕方のない事である。


「そうか。そいつらが戻ってきた時にすぐに動けるのか?」

「ああ、伝言を頼む受付嬢に俺の名を教えておいた。もし、俺の名を呼べば伝わるように術をかけておいた」

「了解した。それではその灰色の猟犬(グレイハウンド)が戻ってくるのを待つとしようじゃないか」


 エルゼスの言葉にエキュオールは静かに頷く。


「しかし、この世界のハンターの実力も知っておきたいな」


 エルゼスは獰猛な笑みを浮かべながら言う。まるでネコがネズミをいたぶるかのような口調であり、嗜虐的な本性が見える。


「俺はギルドに顔を出す立場だから今回は参加はせん。だがあまり派手にやり過ぎるなよ」

「わかってるさ」


 エルゼスはニヤリと嗤ってそう返した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ