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竜神探闘前哨戦⑦

 少し短いですが御了承ください。

「アリス、こいつは俺がやらせてもらうけど大丈夫か?」


 アディルがエイクリッドを指差しながらアリスに言う。アリスはニッコリと微笑んで返答する。


「もちろん良いわよ。正直、アディルがこいつをどう斃すか見たいしね」

「それじゃあ。遠慮せずにやらせてもらうぜ」


 アディルの表情は不敵という表現以外は不適格であろう。その自信たっぷりなアディルの様子にエイクリッドは目を細める。

 アディルとアリスの態度が挑発であると言うことを察しているのだ。それにアディルがあっさりと部下を斬り捨てた事もエイクリッドに慎重な態度を取らせていたのだ。


(挑発にはのらんか……)


 アディルは挑発の効果がいまいちであった事を少し残念に思いつつ構えをとった。


 アディルがとったのは肩口に天尽(あまつき)の峰側の鍔元を右肩に乗せるという奇妙な構えである。少し窮屈そうな構えであるが、放たれる斬撃は上段斬りである事が十分に予想がつくというものである。


(珍しいわね。アディルがあからさまな構えを取るなんて)


 アリスはアディルが構えをとった事に意外な感想を持っていた。アディルの剣は基本的に予備動作を取らない。


「いくぞ」


 アディルは小さく、しかしはっきりとエイクリッドに言うと動いた。


 アディルはまるで瞬間移動をしたのではないかと思われるほどの速度でエイクリッドの間合いに入り込むと肩に担いだ天尽を上段から一気に振り下ろした。


 キィィィィィン!!


 アディルの天尽とエイクリッドの斧槍(ハルバート)がぶつかり合い金属同士すんだ音が周囲に響いた。


「がぁ!!」


 アディルの斬撃を受け止めたエイクリッドの口から次の瞬間絶叫が放たれた。エイクリッドの左目から血が噴き出しており、エイクリッドの左目が潰されていたのだ。アディルが口に含んでいた直径一㎝ほどの鉄球を高速で吹き付けたのだ。アディルの斬撃を受け止めた瞬間であり、完全にエイクリッドの意識外からの攻撃であったため、躱す事が出来なかったのだ。


 ドガァァァァ!!


 アディルは仰け反ったエイクリッドの喉に間髪入れずに突きを放つと天尽がエイクリッドの喉を刺し貫いた。アディルはそのまま喉を貫いた天尽を横に薙ぐと喉を斬り裂かれたエイクリッドはそのまま崩れ落ちる。噴き出す血が地面を濡らしていき、決着を告げているようであった。


「アリス」


 アディルがアリスの名を呼ぶとアリスは大きく頷くと健在である鉄竜(アスダイム)の面々に向けて言い放った。


「戦いはそこまでよ!! 指揮官のエイクリッドはすでに討ち取ったわ。それでもまだやるの!?」


 アリスの言葉に鉄竜(アスダイム)達は実際に斃れたエイクリッドを見て呆然とした表情を浮かべた。鉄竜(アスダイム)の面々にとってエイクリッドは武の体現者であり、それが年端もいかぬ少年に斬られたという事実に思考が停止してしまったのだ。


「どうするの!?」


 アリスの再びの問いかけに鉄竜(アスダイム)は我に返ったのだろう。武器を投げ捨て両手を挙げた。


「よし、みんな戦いはここまでよ。鉄竜(アスダイム)は全員一つの所に集まりなさい」


 アリスの命令に鉄竜(アスダイム)は素直に従った。


 前哨戦はアディル達の勝利で幕を閉じたのだ。

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