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閑話:清めの場での暴露大会

 アマテラスの女性陣達の作った夕食はいくつかの野菜と肉を塩で味付けするというスープとパンという食事である。シンプルなものであるが、それでも野営という状況を考えれば、アディル達に不満は一切無い。

 まぁ女性陣の作った夕食はシンプルではあったが味は上々であったために不満など起きようはずもないのだ。


「それじゃあ、アディル達はちょっと外で待っててね」

「ああ、了解だ」


 エスティルがアディル達男性陣に言うとアディルが心得たとばかり即答する。


「そんなに長い時間かからないから待っててね」


 エスティルは魔力で一つのコンテナを作成すると女性陣は中に入っていった。このコンテナ内で女性陣は体を清めるつもりなのだ。さすがに入浴とまではいかないが、水瓶(アクエリアス)によって、ある程度の水を生み出す事は出来るので、それを使って体を拭くぐらいの事はするのである。


 中に入った女性陣達は身につけていた衣服を脱ぎ、きちんと畳むと布きれを持ってエスティルの形成した桶に水を張り、それを使って体を拭き始めた。


「う~ん、エスティルってやっぱりスタイルいいわよね」

「何言ってるのよ。エリスだって十分にスタイルいいわよ」

「ベアトリスって肌も綺麗ね。大理石みたいにすべすべ~」

「えへへ~ありがと~♪」


 アマテラスの女性陣は美少女揃いであり、異性はもちろん同性であっても、自然と賛辞が互いに送られるのである。


「それにしてもベアトリスが参加するなんて思ってもみなかったわ」

「まぁね。ただアリスの助けにはなりたいと思っているのは事実だけど、それだけじゃないのはみんなもわかってるでしょ?」


 アリスの言葉にベアトリスは明るく言う。ベアトリスの声の調子はまったく気に病む必要はないと言っているようであり、アリスは顔を綻ばせた。

 ベアトリスの言う通り、ただ純粋にアリスの助太刀のために参加したとは思っていない。だが、ベアトリスの目的がどのようなものかは現時点ではわかっていないのだが、それがどうあれ、助太刀してくれるという現実がある以上、アリスにとって嬉しい出来事であるのは間違いない。


「うん、それでも私が助けてもらっているのは事実だもん」

「ふへへ~まぁ大船に乗ったつもりでいてね」


 ベアトリスの言葉に全員が顔を綻ばせた。ベアトリスの天真爛漫さはアマテラスの女性陣に好意的に受け入れられているのだ。


「さて、アンジェリナ以外のみんなに聞くわ!! みんなはアディルの事をどう思ってるの? 恋愛対象? それとも対象外?」

「「「「へ?」」」」


 ベアトリスの問いかけにアンジェリナ以外のメンバー達は呆けた声を出した。あまりにもベアトリスの質問が予想外であったのだ。


「えっとベアトリス、何その質問?」


 ヴェルの疑問にベアトリスはニヤリと笑って言う。


「良いから言いなさいよ。あ、ヴェルとエリスはヴァトラス王国の民だから当然王族命令を聞いてくれるわよね?」

「へ?」

「は?」

「だから、王族命令!! アディルの事どう思ってるの?」


 ベアトリスはとんでもない無茶ぶりをヴェルとエリスに行う。そこにアンジェリナがヴェルに声をかける。


「お嬢様、その辺りの事は私も興味あります」

「ふぇ!?」

「アンジェリナ!! ナイス♪」


 アンジェリナの援護にヴェルは動揺し、ベアトリスはニヤニヤという表情を浮かべた。イタズラが成功したかのような表情ではあるが、目の奥底には真剣なものがある。


「う~。そ、そんなこと言えるわけ無いじゃない」


 ヴェルは顔を真っ赤にしながら返答するのだが、その返答はヴェルがアディルに対して恋愛感情を持っていると白状したに等しい。


「なるほど、お嬢様は肝心な所でヘタれるという主人としてあるまじき方なのですね」


 アンジェリナはわかりやすい挑発を行う。実際、肝心な所でヘタれるのはアンジェリナもそうなのだが、そこの所はさりげなく置いておくのはアンジェリナという少女の得意技なのだ。


「う~」


 ヴェルはアンジェリナに抗議の視線を送るのだが、アンジェリナはその視線を意に介することはない。


「どうなの~?」


 ベアトリスとアンジェリナがヴェルに躙り寄りつつ迫っていく。


「私も興味あるな~♪」

「私も~♪」

「わ、私は興味はそこまでないけど、聞きたいわ」


 エリス、エスティル、アリスもヴェルに躙り寄っていく。アリスに至っては完全に矛盾した言葉を言っているのだが、それにツッコミが入る気配はなかった。


「ちょ、みんな落ち着いて」


 ヴェルが顔を引きつらせながら制止を行うがまったく意味が無いのは明らかである。


「わかった!! わかったから!!」


 ヴェルは遂に仲間達の傍若無人ぷりに屈してしまう。正義も何もあったもんじゃないというヴェルの想いとは別に全員がニヤニヤしながらヴェルの返答を待っている。


「でも、あんた達も正直な所を言いなさいよ!!」


 ヴェルはそう叫ぶと続けて言う。


「私はアディルの事を―――」



 *  *  *


「なんだ随分遅かったな」


 アディルがようやく出てきた女性陣に呆れた様に声をかける。口には出さないがシュレイも同様の感想のようであった。


「中で何か叫んでたけど。何かあったのか? あの黒い虫でも出たとか」

「そ、そう!! そうなのよ!!」

「うん、突然出てきてビックリしちゃったのよ!!」

「うん、いるわけないと思っていた所に出てきたからつい叫んじゃったのよ」

「怖かったわ~」

「でも、何か楽しそうな声だったような……」


 女性陣の反応にアディルは首を傾げながら言う。アディルの言葉を聞いたアンジェリナ以外の女性陣は分かりやすく動揺する。


「アディル!! まさか内容まで聞いてないわよね!?」


 アリスの鋭い口調にアディルは戸惑いの表情を浮かべた。


「大丈夫よ。アディルは何かあったのか?と聞いたから内容までは聞こえてないわよ」


 そこにアンジェリナが苦笑を浮かべつつ言う。


「アンジェリナ……あんたは良いわよね……直接は対象外なんだから」

「ふふふ~ 私は安心したわ。気が気でなかったもの♪」


 アンジェリナは晴れ晴れとしたような表情を浮かべて言うと他の女性陣はジト~とした視線をアンジェリナに向けた。


「これって結果的にアンジェリナの一人勝ちじゃない?」


 ヴェルの言葉に女性陣が重々しく頷き、その光景をアディルとシュレイは不思議そうに見ている。


 そしてジルドは事情を察したようで、その光景を楽しそうに見ていた。


 どんな暴露大会だったかは想像でよろしくお願いします(^∇^)

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