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竜神帝国へ③

 ガタゴト……


 アディル達一行が出発して一時間ほど進んでいた。


「あそこよ」


 アリスが指差した先に門があった。造りとしては駐屯地を思わせる基地の中を通っていくようになっている。


 アディル達はそのまま門の中に入るとそこで何人かの兵士達に止められる。兵士達の種族は多種多様で、竜族、人間、獣人、エルフと様々であった。


「お役目ご苦労様、私の名は“アリスティア=フレイア=レグノール”よ」

「え?」


 開口一番アリスがフルネームで名乗ると兵士達の中から驚きの雰囲気が発せられた。アリスのレグノール選帝公家の知名度が高いかわかるというものである。


「はい。これが身分の証明となるものよ」


 アリスは矢継ぎ早に空間から書簡を取り出した。アリスから手渡された書簡を受け取った人間の兵士は、それを竜族へと手渡した。どうやら彼がここの責任者らしい。


「……」


 書簡を開いて内容を確認した責任者はアリスに一礼すると尋ねる。


「レグノール様の身分は確認させていただきました。……しかし、この者達は?」


 責任者の言葉にアリスは自信たっぷりに言い放った。


「この者達は私が本懐を遂げるために雇った者達よ。すべての責任は私がもつわ」


 アリスの宣言に責任者は静かに頷いた。


「わかりました。それでも誰が入国したかぐらいは記録させてもらいます」

「当然の事ね」

「ありがとうございます。おい」

「はっ!!」


 アリスの了承を受けて責任者が兵士に命令を下すと兵士達がアディル達の案内を始める。

 数列に分かれ、アディル達は名と髪の毛一本の提示を求められ、それに素直に応じるとそのまま提示された髪を灯りにくべると書いた名前を灯りの上をくぐらせた。


「はい、おしまいです。次の方どうぞ」


 アディルは自分の番がわずか一分ほどで終わった事にかなり戸惑う。いくらアリス関係者とはいえ簡単すぎるというものであった。


(後でアリスに確認しとくか)


 アディルはそう割り切ると次のヴェルに順番を譲るとそのまま御者台へと戻る。他のメンバーも同様の判断をしたようで全員が馬車の中に戻った。


 毒竜(ラステマ)達は異論や疑問を話せる立場ではない事を察しているためにまるで人形のように黙って従った。


「確認は終わりました。それではお通りください」

「ありがとう。ご苦労様」


 責任者の言葉にアリスはニッコリと笑うと礼を言うと兵士達の頬が緩んだのはアリスの美貌に見惚れたからであろう。


 アリスはそのまま御者台に座ると兵士達の嫉妬のこもった視線がアディルに突き刺さるが、アディルとすればどうしようも無いのでそこはスルーする。


(俺も同じような視線を向けるだろうな)


 アディルは兵士達の気持ちもわかるために事を荒立てる事を選択しなかったのである。



 国境をさすたる混乱もなく通り抜け、竜神帝国に入国した一行はそのまま帝都へ向けて進む事になった。


「なぁアリス、ちょっと聞きたいんだが」

「何?」

「あの髪の毛を灯りにくべるのは一体何の意味があるんだ?」


 アディルは先程のやりとりの意味をアリスに尋ねる。


「あれは登録したのよ。灯りに髪の毛をくべてからその上を名前を書いた紙をくぐらせたでしょ。その時に登録したのよ。詳しい術式は私もわかんないんだけどね。あれでもし、竜神帝国で命を失ったりした場合、紙に書かれた名前が赤く変わるのよ」

「それは出国してもか?」

「うん、要するにこの竜神帝国内にいるかいないかの判断材料になるのよ。後は犯罪行為などを行われた場合に遺留品などの捜査にも使われるという話よ」

「アリスがいたからと言って簡単に入国できたと思ったが、それなりの備えはやはりしているというわけだな」

「まぁね。その辺りはちゃんとしていると思うわ」

「なるほどな」


 アディルは納得した様に頷くとアリスはニコリと笑った。


「それで、アリスが帰ってきた事でイルジードが行動(・・)を起こすとすればどのあたりになりそうだ?」


 アディルの言う行動というのは、もちろん刺客を差し向けることである。


「そうね。このまま進んだらレジオムという森林地帯があるのよ。そこで襲ってくると思うわ」

「なるほどな」

「あと一時間ほどでそのレジオムの入り口に到着するわ。普通に行けば抜けるのに二日かかるぐらいの広大な森林地帯だから襲うにはもってこいよね」

「お前、そのためにこっちに誘導してるだろ」

「うん♪」


 アディルの言葉にアリスは悪びれもせずに返答する。元々の計画通りとは言え、まったく悪びれない事は特筆に値するだろう。


 アリスの言うとおり、一時間程すると森林地帯の入り口に到着し、そのままアディル達はレジオム森林地帯へと足を踏み入れていった。

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