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開戦③

2020年もよろしくお願いします!!

 長剣を振りかぶってローランが治安部隊に斬りかかると、他の傭兵風の者達も治安部隊に斬りかかった。


「がぁぁぁぁぁ!!」

「ぎゃぁぁぁぁぁ!!」


 ローランの長剣が振るわれ、治安部隊があっさりと斬り伏せられた。肩から袈裟斬りされた兵士が鮮血を撒き散らしながら倒れていく。


(やるな……確かに治安部隊やクズハンター達が戦いたがらないはずだ)


 アディルはローランの剣技を見てその鋭さに感嘆する。他の傭兵達も治安部隊やハンター達を容赦なく斬り伏せていく。


「なかなかの手練れみたいだぞ」

「ああ、全員一流どころだな」

「これじゃあ、全滅させらうわね」

「ああ、駒を必要以上につぶされるのは困るな」

「それじゃあやるか」


 アディル達は傭兵達の戦力の確認が終わったとしてローラン達の排除に移る。確かに現れた傭兵達は一流と称してもよい実力を有しているのは間違いない。だが、アディル達を上回る実力者でないというのがアディル達の見立てであったのだ。


「お前ら下がれ!!」

「下がれ!!」

「邪魔よ!!」


 アディル達が治安部隊とハンター達に命令を下すと逆らうことなく後ろに下がり始めた。ローラン達を押さえることが出来ないことを察していた連中にとっては渡りに船という感じであっただろう。


「いくぞ!!」

「おう!!」

「了解♪」

「さ~て良いところ見せなきゃ♪」


 所々に緊張感のない返答が混ざる。しかし、これは油断から来るものではない。過度な緊張は逆に自分の実力の発揮を妨げることになるために、ある程度の余裕は必要なのである。


 アディルを先頭にアマテラスの面々が続いた。アディル達とローラン率いる傭兵達が切り結ぶ数瞬前に後衛のヴェル、アンジェリナがアディル達の援護の魔術を放つ。

 ヴェルが放つのはもちろん、魔鏃破弾(ミズリアム)、アンジェリナが放つのは魔矢(マジックアロー)である。


 ドドドドドドドドドドドド!!

 ビシュシュシュシュシュシュン!!


 二人から放たれる魔鏃と魔矢がローランの部下達の足下に着弾するとローランの部下達は文字通り浮き足だった。人間は突然足下に何か現れると反射的に飛び上がるという習性がある。

 そして、その隙を見逃すアマテラスの面々ではない。飛び上がった傭兵に向かってエリスが鉄鎖を投げつけるともろに顔面に直撃する。直撃を受けた傭兵は顔面をのけぞらせてそのまま転倒する。

 転倒した傭兵の顔は無残なものであった。エリスは一応急所を外してあげたために命に別状はないだろう。しかし、それが本人にとって慰めになるかどうかは別問題である。


「てぇい!!」


 アルトは後ろ回し蹴りを放つと空中に飛んだ傭兵の顎を容赦なく蹴り砕いた。傭兵にしてみれば突然の祖湯劇に何が起こったか理解できているとは思えない。


 エスティルとアリスは間合いに入った瞬間に斬撃を放つと二人の傭兵が鮮血を撒き散らし地面に転がった。


「てめぇら何者だ!!」


 ローランがアマテラスのメンバー達に敵意のこもった声で威嚇する。ローランに向かってシュレイが斬りかかった。


 キィィィィン!!


 シュレイの剣をローランの長剣が受け止めるとそのまま両者は鍔迫り合いへともつれ込んだ。


「お前に聞きたいことがある」


 鍔迫り合いをしながらシュレイがローランへと問いかけた。シュレイの言葉にローランは、嘲るような表情を浮かべる。殺し合いの最中に問いかけようとするシュレイに対してのんきなやつだと思ったのかもしれない。


「エルシェラ様とアルガード様を殺したのはお前達か?」

「誰だそりゃ?」

「先代のレムリス侯爵と先々代だよ」

「さぁてな」


 ローランはシュレイの問いに嘲るような口調で返した。


「頭の悪いやつだ。思い出せるようにしてやる」


 シュレイはローランに言い放った。

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