経過報告①
体調不良のために昨日更新出来なかったため毎日更新が途切れてしまってくやしい……
アディル達が王城から戻ってくると、既に別グループの四人は準備を終えて家に戻っていた。
「「「「お帰り~♪」」」」
声を揃えて四人がアディル達を迎えた。四人は既に夕食の準備を行っており、コトコトと煮込んでいる鍋から、いかにも美味しそうな香りが漂っている。
「お~夕食作ってくれているのかありがとうな」
アディルの言葉にルーティア以外の三人は嬉しそうな微笑みを浮かべた。その表情は明らかに恋する乙女の笑顔というべきものである。ただ、ルーティアも別に不機嫌な表情を浮かべているわけではなく、恋する乙女の表情を浮かべてはいなかったということである。
「みんなもありがとうな」
「はい♪ シュレイ様のために腕によりをかけました♪」
シュレイの言葉に今度はルーティアが食いついた。
「美味しそうね♪」
「うん。とにかくみんな座って」
エリスがアディル達に言うと全員がそれぞれの席に着く、シュレイの両隣は当然というかアンジェリナとルーティア、アディルの両隣は今回は ヴェルとエリスである。
夕食に舌鼓をうち、四人に感謝と“美味い”という賛辞を送るとエリス達四人は顔を綻ばせた。自分のやったことを褒められるというのはやはり嬉しいものである。
「それで王族の協力は得られることになったの?」
賛辞を一通り受け、アリスがアディルに尋ねるとアディルは口に入れたパンを咀嚼しながらであったためにサムズアップで返した。それを見たアリスはほっとした表情を浮かべた。
「今回の件にはベアトリスとアルトが同行することになってる」
「へぇ、あの二人が同行してくれるなんて心強いわね」
「ああ、戦力とすれば過剰なことこの上ないが、あの二人の影響力は凄まじいものがあるな。しかも、今回は単にレムリス家の問題じゃなく、何とかという伯爵家、子爵家が絡んでいると言う事だ」
アディルの返答にアリスは目を細めた。それには気づいていたアディルは話を続けた。
「伯爵家の方はヴェルの父親の実家、子爵家の方は後妻の実家とのことだ」
アディルの返答にアリスは呆れた様な表情を浮かべた。
「つまり、伯爵家、子爵家によるヴェルの実家の乗っ取りという訳ね」
「ああ」
「でも間抜けよね。肝心のヴェルはここにいて自由に動いているし、すでに王族の協力も得ている。これって勝ちじゃない?」
「ああ、アルトはすでに証拠も掴んでいるという話だ。多分だがアルトはすでに色々と下準備をしてると思う」
「その最後の仕上げがヴェルというわけね」
アリスがヴェルを見やるとヴェルはにっこりと微笑んだ。その微笑みは優雅な中に苛烈な意思が込められているようにも思われた。
「ええ、アルトさんが舞台を整えてくれたのだから、こちらとすればそれに乗っかるつもりよ。でも何から何まで王族に頼り切るつもりはないわ」
「どうするの?」
「完全撃破よ」
ヴェルの笑みが肉食獣めいた危険なものに変わった。




