表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/115

*

改めてショーケースに並べられたパンを見ると、目移りしてしまうほど美味しそうなパンが何種類も並んでいた。

パンの名前と値段は手書きのPOPが置かれていて、手作り感満載だ。


雄大はショーケースに並べられたパンをぐるりと見渡すが、昨日杏奈にもらったパンがどれだかわからなかった。

ちゃんと見ずに口に入れたせいで、形すら曖昧だ。

でももう一度あれが食べたい。

そのために来たのだから。


「ちょっと名前がわからないんだけど、これくらいの大きさで、ほんのり甘くて…。」


持っている情報が少なすぎて説明が難しく、無駄にジェスチャーが大きくなってしまう。


「うーん、何でしょう?」


雄大の説明に琴葉は首を傾げた。

もう少しヒントがほしい。


「ラグビーボールみたいな形の…。」


しばらく雄大と一緒に悩んでいた琴葉だったが、自分の焼くパンの中でラグビーボール型のパンを思い出す。


「あ!シュガートップかもしれないです。表面にクープ、こういう切れ目が入っていてお砂糖っぽい甘い味がしましたか?」


琴葉の説明に、昨日食べたパンの全容がぼんやりと浮かんでくる。

表面に切れ目がしっかりと入っていたし、甘い味だったのでそれに間違いないだろう。


「そうそう、それ。それがほしいんだけど。」


「すみません、今売り切れちゃってて。次に焼きあがるのは夕方なんです。」


「夕方?何時ですか?」


「16時頃の予定です。」


「16時か…。」


今日の予定を手帳で確認すると、15時から打ち合わせが入っていた。

16時には終わるだろうかと考える雄大に、琴葉は申し訳無さそうに言う。


「せっかく足を運んでくださったのに、すみません。」


「いや、いいんだ。同僚にもらったのが美味しくてもう一度食べたいと思って来ただけなんだ。」


雄大の言葉に琴葉は目を見開いて、そして満面の笑みになって言った。


「そうなんですね!ありがとうございます!」


琴葉のぱあっと花が咲いたような嬉しそうな笑顔に、雄大は思わず息を飲んだ。

見とれてしまったとでも言おうか。

とにかく目を奪われた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ