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急いでminamiへ駆けつけた雄大だったが、時間はすでに22時になろうとしていた。


店側の扉に手を掛けてみたが、当然鍵がかかっている。

こんな時間なのでもう家に帰ったに違いない。

雄大は諦めて帰ろうとして、ふと奥の窓から光が漏れていることに気付いた。

店と壁の間には人が一人通れるスペースがあり、雄大はそこから裏手へ回ってみる。

すると、店と母屋との間に扉がついていて、雄大はそっとノブを回してみた。

鍵は開いていた。


そこは一番始めに勝手に入って琴葉を驚かせてしまった厨房で、そこにはまた、前と同じように真剣に仕込みをする琴葉がいた。

その無駄のない仕事ぶりに、やっぱり見とれてしまう。


「琴葉。」


「ひゃあっ!」


雄大が声をかけると、琴葉は思い切り体をびくつかせて、持っていたボウルが手からすべり落ちた。

その瞬間、辺り一面に白い粉が舞う。


「え?早瀬さん?」


「ごめん、また驚かせてしまった。大丈夫か?」


慌てて雄大が近付こうとすると、琴葉が手で制止する。


「ダメです!粉まみれになりますよ!」


「構わないよ。」


どんどん近づく雄大に、琴葉は慌てる。


「ダメです。スーツが真っ白になっちゃう。」


琴葉の言葉が言い終わらないうちに、雄大はしっかりと琴葉を抱きしめた。

粉まみれになろうが構わない、とにかく琴葉を自分の胸に埋めた。


「ただいま。会いたかった。」


「……おかえりなさい。」


きつく抱きしめられながら、琴葉は嬉しさと悲しさが入り交じった複雑な気持ちで呟いた。



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