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モンスター保育士  作者: レモネード蘭子
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物凄い衝撃が身体中に走った。


自分の身体から聞いた事の無い音も聞こえた。


そして、間違いなく人生ナンバーワンになるであろう激痛も感じた。


それはきっと気のせいじゃない、のに。


「.......ここは、どこ?」


ふと、気が付くと草原のような場所に座り込んでいた。


上にはよく晴れた青空が広がっている。

ちぎれ雲がいくつか浮かんでいて、とても気持ちの良い天気だった。

そよ風が、鼻をくすぐる。何処と無く青臭い。緑の匂いというやつだろうか。

立ち上がってみると、ジーンズの膝には泥がついていた。パタパタと払うと手にも黒い汚れが広がる。


そのまま掌をじっと見つめていると、みるみる脳みそが動き始めた。


通勤中に車道に飛び出した事。

勢いよく走ってきた大型車に突っ込まれた事。

多分、間違いなく、私は、


「死んだ........?」


そうに違いなかった。


この光景は天国としては少々違和感がある。

太陽の光の暖かさや地面のひんやりした感触、自分の掌の感じもリアルだ。生きている頃と変わりない。


しかし、それが何だというのだ。


地球上で言われている死後の世界なんて幾らでもある上、全ては想像に過ぎない。

本当の天国はきっとこんな感じなのだろう。間違いない。


それよりも、私にはもっと重大な事があるのだ。


「やったーーーーー!!!!!もう仕事しなくていいーーーーーーーーー!!!!!」


青空に向かって大声で叫んだ。

だって、もう二度と仕事に行かなくてもいいんだ。


未練が無かったと言われれば嘘になる。

だけど、死んでしまったものは仕方ない。


それにこの景色を見れば、死後の世界も中々悪く無さそうだ。

春のような優しい日差しに、何処までも続く緑の丘。


ドサッと後ろに倒れ込むと、胸いっぱいに穏やかな香りが広がる。

汚れるのも気にせず、そのままゴロゴロと転がった。


「ああ!神様、ありがとう!」


このまま一眠りでもしようかな。

そう考えて目を閉じた。


その時だった。


空を裂くような音と共に、風が顔中に吹き付けてきた。

目を開けるよりも前に、「何か」が勢いよく顔にへばりつく。


「ぶっ!?!?!」


鼻に衝撃が走る。

死んだ後も痛みは感じるのだなと思いつつ、顔のものを引っペがした。


妙に柔らかい?


謎の物体をよくよく見ると、灰色の羽毛のような物だった。

よく見ると尖った棘のようなものも生えている。


これが顔に当たらなくてラッキーだったな。


ところでこれは一体?


「ピュウ!ピュウピュウ!」


........鳴いている?


よく良く見れば、羽毛のようなものはまさしく羽毛で、棘のようなものは鉤爪で、後ろ足には蹄のついた足が2本。


そして、金色に光る目と、翼。


「なんだこれ!?」


「ピュウ!」


そうしてこの謎の生き物は目をパチクリさせて、私の手に頭を擦り付け始めた。

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