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序章 雪降の地で 1
はじめまして。昔書いた作品をリメイクしながら少しずつ投稿しようと思います。亀更新ですがどうぞよろしくお願いいたします。
肌寒い日の朝方だった。連日の雪はただの一度も溶けることなく次々と降り積もっていく。獣すら避ける山中は静かで、雪が深くなっていくばかりだ。そんな山道をひとりの少年が歩いていた。
髪は綺麗な銀色で、瞳は宝石のような輝かしい翠色。僅かに幼さの残る横顔はしかと前を見据え、雪で迷ったとは考えられないほど足取りはしっかりとしている。
やがて山道から外れ、少年は深く暗い森へと歩みを進めた。尚も雪は止まず、風はあまりないとはいえ視界が良好とは言えない。
しかしまるで何かに導かれているように、少年は森の奥へ更に歩みを進める。しばらくしてようやく足を止める。見据える先、木々の隙間から紅い光が薄っすらと見えた。
彼はその光を見ると固く閉じていた口を僅かに上げ、森の奥へ光の元へと進んでいった。