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美少女男の娘からはじまる異世界事変にて鬼畜ロリに腹パンされる主旨  作者: 武論斗
1章:このクソみたいな世界に祝福を!
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8発:よし、イクぜ、メイク・アップ!

「画面(はし)にリップスティックみたいな図柄のアプリあるデスよね?」


「んー、あっ!この弾丸みたいなヤツかな?」


「そうそう、それ(・・)デス!それをダブルタップして開くのデス」


 云われるがまま、そのアイコンをダブルタップ。

 ん?

 なんだこりゃ?

 ただの手鏡ミラーアプリじゃねーのか、これ?


「開いてみたんだけど、ただのミラーアプリじゃね?」


「その鏡を覗き込み、さいこーにカワイイ(・・・・)姿を念じてみてください、なのデス」


 メイクがどろどろと落ちた、まぎれもないおっさんがそこ(・・)に写っている。

 む~、メイクが落ちると、こんなにもキモく見えるもんなのか。

 うっすらヒゲも伸びてるじゃねーか。

 なんつーか――

 小汚こぎたねぇーつらだな、こいつは。

 あっ、これ、俺か!


 最高に可愛い姿、だっけか?

 なんだ、そりゃ?

 すっげぇ~きゃわいい(・・・・・)女の子でも、イメージしてみっか。


「はい、ハートちゃん様、念じたよー」


「念じましたデスか?それじゃ~、念じたまま、下にある『変身ボタン』をタップするのデス!」


 変身ボタン?

 送信ボタンじゃなく?

 誤字じゃねーのか、コレ?

 ま、いっか。

 そりゃ!

 ――ポチッ、

 、とな。


Make(メイク) Up(アップ)!』


 えっ!?

 なに、この電子起動音?

 どゆコト?


 うおっ、まぶしっ!

 鏡がっ、鏡が急に輝きはじめやがった!


 ピーピロリーローリ~…――

 はいィっ!?

 笛の


 ――デンデンデンデデーン!デンデンデンデデーーン!デン、デン、デンッ!デン、デン、デンッ!

 えっ!えっ!

 なになになにっ!

 なんなの、このBGM!?

 ――テッテテーッ、テテテッ!テッテテーッ、テテテッ!テッテテーッ、テテテッテーテーッ!

 なんと心地良い疾走感、そして、爽快感!

 ヴァイオリンの音がロック調のメロディを奏で、実に気分がいい。

 まさにっ、処刑用BGM、に相応ふさわしい!

 いやいやいやっ、処刑しちゃダメだろ。

 それにしても、コレは一体!?


 めくるめく光と音のファンタジーが強烈に幻想的な視角化を伴い、俺の体をぐるぐると包み込む。

 なんて、暖かな光なんだ…

 ――キュピィーーーン!

 やがて、光の粒子が収束したかと思うと、今度は一気に爆発するかのように、周囲に爆散、光の筋を四方八方にき、き消えた。

 一体全体、ナニが起こったっていうんだ!


颯汰そうたさん、ゴッホの鏡を覗いてごらんなさいデス」


「あっ?ああ……こッ、コレ(・・)はッッッ!!!」


「ソレが今のあなたデス」


「か、かっ、きっ、きゃっ、きゃわいいぃぃぃぃ!!!!」


 鏡アプリに写し出された俺は、恐るべき可愛さに変貌へんぼうしていた。


「そのアプリは、変身メイクアプリなのデス。イメージしたカワイイ、キレイ、ステキな姿をそのまま具現化し、アプリユーザーに提供、変身をもたらす驚異の創造、いえ、想像アプリなのデス」


 なんて可愛さなんだ、俺はッ!

 軽くぷよった腹も引っ込み、若い頃のような細身のすっきりボディになってる。

 心なしか、体も軽いッ!

 それにしてもっ。

 美少女過ぎて、

 鼻血でそーだ!


 はッ!

 ま、さ、か…

 ミニスカートの中に手を突っ込む。

 ――ぽにゅ。

 アレ?

 ついてる(・・・・)!!

 あれ?あれ?あれれ?

 女体化、したワケじゃねーのか!?


「……えーと、ハートちゃん様…俺、男のまんま、なんですけど?」


「そりゃそーデスよ。超越界プレーローマレベル0なんデスから、体の構造まで変化させることはできないデスよ」


「…えーと、つまり…?」


「はい、颯汰そうたさんは、男性、デス」


 まぁ、こんな可愛い子が女の子のはずがないッ、よな!

 いや、――

 違うちがう!

 そこじゃないんだ、問題はっ!


「おいおいおいおいッ!それじゃあ、なーンも解決してねぇ~じゃねーーかッ!!」


「えぇ?カワイクなったんだから、イイじゃないデスか?」


「いやいやいやっ、男がこんな格好してる、ってのがマズイんだってヴァ!

 いくらかわいくたって、男のまんまじゃヤバイって」


「そーゆーもんなのデスかぁ?」


「当たり前だろ!

 ハッ!そーだ。こんなすっげー魔法が使えるんなら、服くらい、パッと出すことできるんじゃないか?」


 曇った表情を浮かべ、幼女神ロリがみは首を横に振る。


ソレ(・・)は無理デス。超越界プレーローマレベル0では、服とかそういった物体を創り出すことはできませーん、なのデス」


「えぇっ!?こンな、がっつり顔かたち、ボディラインまで変更、っつーか整形チックなことまで出来たのに、服も出せないのかよっ!」


「変身メイクアプリは、ユーザーの意思をユーザー自身に当てめるだけですから、そんなにレベルの高いものではないのデス。

 ですが、服を出すとか服を作るとかって云うのは、無から有を創り出し、自分自身ならざるモノに干渉し、且つ、ソレを固定化、恒久化するという多少、手の込んだ芸当なのデス。

 レベル0の無能野郎には、ぜってぇームリなのデス!」


 おまえも今は、レベル0、だろーが!

 まったく、今ひとつ、使えねぇーなコレ。

 ま、取り敢えず、かわいい男の娘にはなれたようだがな。


「――それに…」


「それに??」


「最初っから服とか作れたり出来てしまうと、転生初期で最強装備とかいきなり作っちゃうチート野郎が出てくる可能性があるのデス!

 不正チート野郎は、赦さねぇーのデス!!」


「…それな!」

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