Es ist freundlich
人間なんかいつも拾ってくるなよな、追い出すの大変なんだからよ
「俺が?この俺が優しいって、ははは。お前もう一度寝て来いよ。」
氷の微笑を持つ覇王と言われているこの俺が?
「寝ぼけてなんかいねぇよ!可愛そうなヤツ拾うから、裏切られて傷つくんだよ。」
知ってんだぜ?兄貴がいつも隠れて落ち込んでいることくらい
「俺は、傷ついてなんかいない。」
傷つけることはあっても傷つくことはない。
「隠すなよ、双子の俺にはバレバレなんだよ!!!」
双子は忌み嫌われる存在。その表に立って俺を守ろうとしてる奴の言うことかよ?
「お前・・・今日、おかしいぞ・・・なんか変なもん食ったか?」
双子ね。お前が当主でなくて良かったよ・・・。
「俺は人間みたいに拾い食いなんかしねぇよ、ただ兄貴が傷つくのみたくないんだよ。」
いつも貴族会議で‘なりそこない’扱いされてるのに一言くらい相談してくれよ。
「俺が、思うにお前のほうがやさしいぞ、屡軌」
そう言われて弟の顔が赤くなるのはいつものこと。
「ば、俺が優しいのは兄貴にだからだよ。」
―――またはぐらかされた。
「お前、気持ち悪りぃ。」
本気で思っているらしく鳥肌が立っている。
「ひどいなぁ、兄貴ぃ・・・可愛い弟がそんけーしてるって言ってるのにさ・・・。」
「は、誰が可愛いって?」
「うわぁーショック!!!」
「はいはい。分かったお前は可愛いよ。」
昔は可愛かった。
「なんか納得いかねぇ。」
沈黙の後うかがうようにメイドが口をはさむ
「主様・・・。」
「なんだい?」
「お客様がみえております。」
来たか。と三人が思った
「今、行くよ。」
「はい。」
そういうと頭を下げた。
「行ってらっしゃーい。」
満面の笑みで手振っている弟を半殺しにしたい・・・と思ったのは心の中に秘めておこう。
「少しの間、此処を空ける、くれぐれも留守番頼んだぞ?弟よ。」
窘めるように少し強い口調で言ったがあまり効果はなかったようである。
「OK!」
その言葉に頷いて、屡夷が出て行ったのを確認すると・・・。
読んで下さりありがとうございました
続きも頑張って更新しますので何とぞおねがいします。