Wirklichkeit
「はい、お手紙沢山届いておりますよ?」
何かを思い出しているのかしら。
「そうか、全て火にくべてやれ。」
やはり、言うべきではなかったか。
「はい。」
「愚か者の書いた手紙でも、暖炉の肥やしくらいにはなるだろう。」
「はい、其の手紙ちょっと待ったぁ!!!」
「なんだ、お前もう起きたのか?」
「おう、兄貴・・・それにしても相変わらず残酷だよなぁ、兄貴って。」
「お前だって人間は愚かだと思うだろ?」
「ああ、起こさなくていい争いは起こすし、自分が一番不幸だと思ってる節とか見てるとこう、なんていうか串刺しにしてやりたくなるよな、ああいうヤツの血を吸う位なら飢えて死んだほうがましだしさ。」
言いながら目は稀羅から受け取った手紙を追っている。
「お前悪趣味だぞ。」
「いやぁ、こう死にそうなやつからの血文字って見てて楽しんだよ。」
本当になんで逃げ出した奴がわざわざ手紙なんか寄こすのか・・・。
「そういうのを悪趣味というんだ。」
「えぇなになに?『屡夷様あの時のこと・・・とても反省しています、どうか、どうか私をお許しくださいこの醜い世界から連れだしてください』?ふ、ふはははははははははは!!!」
一通り、笑ったあと。涙目で稀羅を見ながら言う
「自分で選んだ道だ、自分で何とかしろっての!!!
サンキュ、稀羅もう燃やしてくれてかまわないぞ。」
「はい。」
そういえば兄貴、新しいやつが入ったのか?」
なんか他人の匂いがするんだよなぁ。
「ああ、また気まぐれを起こしてしまってな・・・。」
私も、愚かだよな―――紅茶をいれてくれたあの人に見えるなんて。
「おいおい、また人間かよ。」
「ああ。」
「兄貴は優しすぎるんだよ。」
読んで頂きありがとうございます。
灯籠