信じられないほど強い敵
「隊長!
敵機二機は敵ミサイルと同時に高高度から突っ込んでくる気です」
俺が小隊長さんに自分の読みを伝えると、小隊長さんの反応は早かった。
「第2小隊はこれより、高高度より飛来してくる敵機の迎撃に迎います」
俺たちの小隊長は全機にそう無線を入れると、急上昇し始めた。
それに続いて、俺たちも上昇し、敵のTM-Xと同じ高度まで、一気に上り詰める。
レーダー上、ぐんぐん敵機との距離が縮まって来ている。
そう思った瞬間、敵機が誘導ミサイルを発射した。
俺はその場を離れるため、操縦桿を引きながら倒して、急上昇と急旋回する。
加速も限界まで加えると、卓越した性能のYZ-1の機体でさえ、悲鳴を上げ始める。
ミサイルも俺の尻に食いつこうと、弧を描いて俺の後を追ってくる。
俺の真後ろに二発のミサイル。
俺が再び旋回して、機首を敵機の針路上に向ける。ミサイルもしつこく俺を追ってきている。
二機並んで水平飛行で、迫ってきている敵のTM-Xも視界に入っている。
「行っけー」
俺は左側の一機にロックオンして、ミサイルを発射する。
俺の攻撃に気付いた敵のTM-Xが俺めがけて、ミサイルを発射してきた。
前に二発、後ろに二発。挟み撃ち。
頃合いを見計らって、急降下する。
俺の背後に爆発が起きた。
俺を挟み撃ちしていたミサイル同志が激突し、4発の内2発が消え去った。
しかし、今の俺の狙いは俺に食らいついているミサイルじゃない。
俺のミサイルで、針路を翻弄される左側のTM-X。
TM-Xは俺のミサイルを避けようと、旋回するはず。
そこを俺が機銃で襲う。
そのため、俺は敵の予想進路に、機首を旋回させた。
ところがだ。そのTM-Xは旋回したものの、ミサイルを避ける方向ではなく、ミサイルに向き合う方向に旋回した。
俺の目が見開いたその瞬間、TM-Xは機銃でミサイルを撃墜した。
「まじかよ」
俺がそんなつぶやきを発している間に、そのTM-Xは加速してきた。
その針路が俺の頭の中に浮かんだ。
俺の横っ腹に突っ込んでくる!
俺は慌てて操縦桿を倒して、急旋回して機首を向かってくるTM-Xに向けた。
「もう一発」
俺はなんとか正面に捉えたTM-Xにもう一度ミサイルを発射した。
「行っけぇ」
俺はそう叫ぶと、加速した。
放ったミサイルの後を追う。
俺が思ったとおり、TM-Xは機銃を放ち、ミサイルを迎撃した。
俺の読みはこのまま突っ込んで来て、俺に機銃を放つだ。
そこを俺が急上昇してかわすと、俺の尻に食いついてきているミサイルとこんにちはである。
俺は敵の動きに注意を放ちながら、操縦桿を引いた。
その瞬間、2発のミサイルが飛んできた。
「げっ!」
俺がエンジンの限界で加速する。
俺の尻に2発のミサイルが増えたじゃねぇか。
と思った時にはTM-Xも急上昇していた。
俺の腹が機銃の的になる。
「しまった」
俺の顔から血の気が引いた。
その時だった。
俺の尻に元々食らいついていたミサイルと、発射されたばかりのミサイルが激突したらしかった。
背後で爆発が起きた。
その爆発につられて、残りのミサイルも爆発していく。
その爆発したミサイルの破片が降り注ぐのを嫌い、TM-Xが急旋回していく。
「助かった」
俺は気を取り直した。
とにかく、敵は信じられないほど強い。




