ミマサカよりの戦闘機部隊が目指す先
御簾の奥、いつもなら椅子に座って、御簾の前に立つ男たちの報告を聞いている男が、椅子に座らず、御簾の直前に立って、声を荒げている。
「裏切り者がいた。
誰だ。
姿をくらました菅原か?」
御簾の前で、直立不動で立っている男は、その怒りのこもった言葉に、一瞬肩をすくめたあと、震える声で言った。
「まだ、状況を把握できておりません」
「ふん。
しかし、あやつの言うとおりの戦力配分をしておれば、危ういところであったが、変えておいてよかったではないか。
我が戦力で、裏切り者の手に落ちたものたちを処分できるのか?」
「はい。
当方にSランク2機すべてを確保しておりますので、シミュレーション結果では完勝となっております」
「分かった。
我らにたてつくヤマシロの戦闘機と共に、裏切り者たちを抹殺せよ」
御簾の奥の人物の決断が下った。
TM-Xには、その戦闘力と言うか、操縦している脳の処理能力によって、SランクからCランクまでに分類されていた。
Sランクはわずか2機しか存在しておらず、その戦闘力は他を寄せ付けない。
そのSランク2機を中核に、TM-X 20機が飛び立った。目指す先はヤマシロの首都。そこに存在しているTM-X 80機。
ミマサカより接近してくるTM-Xの編隊の動きは、レーダーによりヤマシロ側に捉えられていた。
ヤマシロ側から、迎撃にYM-1の16機4小隊とYZ-1の16機4小隊が向かう。両軍はミマサカ側に入った国境近辺で遭遇した。
ヤマシロ側の編隊から対空ミサイルが発射され、TM-Xに向かう。
ヤマシロの空軍基地の司令部の中では、その戦いの状況を見守っている。
TM-X側は対空ミサイルを発射することなく、隊形を崩しはしたものの、ヤマシロ側を目指したまま飛行し続けている。
TM-Xとミサイルの距離が狭まって行く。
命中する。
これで、何機かを葬った。
そう誰もが思ったが、レーダー上から消えたのはミサイルだけだった。
TM-Xは一機も減ることなく、速度を上げ、ヤマシロの編隊に襲い掛かった。
混戦?
そう思えたのは一瞬の事だった。
何事も無かったかのように、再び隊形を整え、TM-Xの編隊が突き進んでくる。
「一瞬でやられたぞ?」
「エドの航空戦力を壊滅させた敵ですから」
司令部の男たちの声が上ずっている。
「奴らの目的は何だ?
我が国への侵攻なら、地上軍や爆撃機を伴っているはずだが」
「彼らの進路から言って、目的地は我が国の首都かと」
「では、エドを壊滅させた編隊との合流が目的か?」
「おそらく」
「そうなってみろ。
あの無敵の戦闘機が100機ほどになってしまう。
もはや、勝ち目はなくなるではないか」
「迎撃部隊、出しますか?」
「これまでの戦闘で、多くの戦闘機を失っている。
ここで、迎撃に向かわせても、餌食になるだけだ。
無駄だと思うが、地対空ミサイルで迎撃しろ。
奴らの動きから、目を離すな。
あと、寺沢の息子。
あいつを常時、基地に待機させておけ」




