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翻弄されるヤマシロ軍

 直立不動で立っている男の視線の先にある御簾の奥には、一人の男が椅子の肘掛に肩肘ついて、座っている。

 直立不動の男はエドとアイヅの戦況と、ヤマシロとミマサカの戦況に関し語っていて、その顔には緊迫感が漂っていた。


 「つまり、アイヅもミマサカももう限界と言うことか?」


 御簾の奥の男はそうたずねた。


 「はい。

 いかがされますか?」

 「ふむ。

 戦況全体として、どうかね?

 我々は勝利を手にすることはできるのかね?」

 「はい。

 各国はこの戦争で疲弊を極めております。

 ここで、我々が参戦することで、形勢を決することができるかと」

 「では、そうしなさい。

 ただし、戦力の配分だが、少し考えがある」


 そう言って、御簾の奥の人物は戦力の配分の指示をした。


 「はっ」


 直立不動の男は、指示を聞き終えると、深く一礼し、その部屋を足早に出て行った。

 その男の後ろ姿を見送りながら、御簾の奥の男が笑いをかみ殺しながら、つぶやいた。


 「くっくっくっ。これで、いずれは全てが余のものに」


 誰もいない部屋の御簾で隠された奥の間。

 男は立ち上がり、両手を上に差し上げながら、笑っていた。




 YM-1の戦闘機編隊がミマサカ目指して、飛行している。そのインフォメーションパネルのレーダー画面上に、迎撃のためにミマサカが発進させた敵機の機影が映り始めた。

 その数、40機。

 YM-1の編隊数の半分にも満たない。ミマサカの残存する戦闘機がもう無い事を示している。

 もはや戦況は自分たちに有利。

 使用する周波数を急きょ変更した新ミサイル統合管制システムの初撃で、全てを撃墜できる可能性が高い。

 ヤマシロ側のパイロットたちのヘルメットの下に隠された顔には、余裕の表情が浮かんでいる。


 「全機、ミサイル統合管制システムオン」


 隊長機からの命令で、全機がミサイル統合管制システムをオンにすると、各機のレーダー表示に映るの敵機の中から、それぞれ2機にロックオンマークが表示された。

 コックピットにミサイル発射の軽い振動が伝わり、視界の左右を炎と白煙を吐きながら、ミサイルが進んでいく。

 パイロットたちが、パネル上の表示に注意を向け、見つめている。

 敵機の前面にも、無数の光点が現れ、自分たちに向かってくる。

 お互いが放ったミサイルが重なり合い、光点の数が大きく減少した瞬間、再び視界の左右をミサイルが飛び去って行った。

 レーダー画面上の敵機編隊の隊形が崩れた。

 発射したミサイルが襲い掛かっている。

 同じ頃、ミマサカの放ったミサイルとヤマシロ側が二度目に発射したミサイルがすれ違い、お互い消滅して行っていた。

 全ミサイルが撃ち落せた訳ではない。

 残存した敵ミサイルが到達してくるのは時間の問題である。

 ヤマシロ側も散開し、ミサイルをかわしはじめる。

 そんな時だった。

 突如レーダー画面上の至近距離に新たな光点が現れた。

 味方の識別信号を出してはいない。

 画面上の表示が瞬く間にUnknownから、Enemyに変わった。

 突如至近距離に現れた敵にヤマシロ側の編隊が大きく動揺している。

 新しく現れた敵はアイヅとエドの戦いに一度だけ現れたTM-X型の編隊20機だった。

 地表すれすれの低空飛行で戦闘空域に接近すると、突如急上昇し、ヤマシロの戦闘機編隊を襲おうとしていた。

 TM-Xが誘導ミサイルを発射する。

 低空から機体の腹部を目指して飛来する誘導ミサイル。

 新たなミサイルに混乱するヤマシロの編隊。

 ミサイルを振り切ろうとヤマシロのYM-1が急旋回する先を狙って、TM-Xの機銃が襲う。

 機体にいくつもの銃痕を残しながら、撃墜されるYM-1。

 ヤマシロ側のミサイル統合管制システムがTM-Xをめがけて、ミサイルを発射すると、TM-Xも散開して隊形が崩れた。

 食らいついたミサイルを引き連れTM-XがYM-1に猛スピードで接近したかと思うと、その直前で急降下した。

 YM-1と接近していたことと、TM-Xの下降が急すぎたため、ミサイルはそのままYM-1を襲う。

 大きな火の玉となって、落ちて行くYM-1。

 TM-Xが現れるまでは84機だったYM-1の編隊が次々に撃ち落され、瞬く間に41機まで減っていた。

 そこに誘導ミサイルをかいくぐってきたミマサカのMC-X 8機が接近してきている。

 戦闘機部隊の危機にヤマシロ側の地上から、地対空ミサイルが発射された。

 排煙を抑えたミサイルが静かにMC-Xを目指す。

 空中に大きな火の玉が爆音と共に、沸き起こり全てのMC-Xを葬ったが、その頃にはYM-1は20機にまで減少していた。

 この間、撃ち落したTM-Xは0機。

 圧倒的な旋回性能とスピードで、YM-1を翻弄していた。

 YM-1の編隊が撤退のため、針路を東に取る。

 その後を追撃するTM-X。

 スピード的にもTM-Xの方がはるかに勝っており、その撤退する背後に襲い掛かる。

 YM-1の撤退を助けようと、地対空ミサイルがTM-Xを襲うが、尻に食らいついているミサイルを引き連れ、YM-1に急接近すると、急角度で急上昇する。

 TM-Xを狙っていたミサイルがYM-1に命中し、次々にYM-1が撃墜されていく。

 その時、YM-1のレーダーがその先に現れた新たな戦闘機部隊を捉えた。

 ヤマシロの最新型戦闘機、ゾフィエル型YZ-1。

 その速度と旋回性能はパイロットの限界を超えるほどのものである。

 パイロットスーツと操縦席を工夫することで、巨大なGにも意識を保てるようになっていた。

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