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新国王の命

 広い部屋の御簾の前に何人もの軍の最高指揮官たちが立ち並んでいて、御簾の奥にはまだ10代半ばの新国王が座っている。

 軍人たちの視線のその御簾の奥の新国王ではなく、御簾の前に立ち、自分たちと向き合って、しばらく前から話し続けている松山に向けられていて、その表情は徐々に困惑顔になっていきつつあった。


 「これを本日の19時をもって、エドに伝えることとする。

 よって、軍は臨戦態勢で、何があっても対応できるように。

 以上である。」


 松山が居並ぶ軍の最高指揮官たちに、国王の命に刃向う奴は許さないと言う厳しい視線を向けている。


 「しかし、エドは国は違えど、我らと同じ民族」

 居並ぶ最高指揮官の一人、宮内将軍が賛同できない旨を述べると、他の指揮官たちも頷きあっている。


 「宮内将軍、お前は陛下の命に従えぬと言うのか?

 陛下のお父君はエドと先王のわなにはまり、命を落とされたのだ。

 この戦いもあの事件も全て、エドが原因である。全ての諸悪の根源はエドであり、陛下の敵を討つためにも、エドを討つ。

 分かったな」


 国軍は国王の軍である。国王の命にそむく訳にはいかない。最高指揮官たちはエドとの戦いを決意せざるを得なかった。

 戦力が衰え、アイヅとの戦いの決着がつかない状態で、背後からヤマシロが襲い掛かれば、その結果は見えていた。


 エドを叩いた後、この地域の覇権を握れるほどの国家は?

 アイヅは傷だらけである。ミマサカもさしたる戦力を持っておらず、ツワノに至っては軍隊を保有していない。

 一番可能性があるのは自国かも知れない。そして、この戦いの裏にあるのは新国王、いや10代半ばの国王がそんな事を考えるとは考えにくい。

 とすれば、松山の狙いはそこにある。

 この命を受け、その場を引き下がる軍の最高指揮官たちの脳裏に、覇権を握り高笑いする松山の姿が浮かんでいた。


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