機密漏えいは俺のパソコンから!?
数日後、広い部屋の中、何人もの男たちが直立不動で立っていて、男たちの視線の先にはこの国の宰相 松山正秀が険しい表情で立っている。そして、松山の背後には一段高い場所があり、御簾で隔絶された奥の空間にはこの国の国王が座っていた。
「悪いが、私はお前たちの話をそのまま信じる事はできない」
松山が大きな声で言い放った。
「ですが、ネットワークのログをたどれば、そう言う結論に至ります。
しかも、彼の者はこの戦いの参集に応えておりません」
「今回の予備役の扱いは任意参戦であろうが。
パソコンとて、ウイルスに乗っ取られたと言う事もあろう」
「それは否定しません」
松山は男たちに背を向けると、御簾の方に向き直り、跪いて、国王に語り始めた。
「陛下。
この者達の調査結果が正しいとしても、彼の者が漏えいした犯人と断定するのは時期尚早と思われます。
彼の者の家宅捜査を行い、その場にてパソコンの解析を行うべきかと思われます。
その際には、私めと、彼の者の父親 寺沢敦も立会い、不正無きことを確認いたしとうございます」
「うむ。
それがよかろう」
その言葉に、松山が再び深々と頭を下げた。
どんよりとした雲から、弱々しい光が教室に差し込んでいる。俺はそんな少し薄暗い教室で、時々彩加の机に目をやる。あの日以来、そこにいるはずの彩加の姿はない。それどころか、しばらく親戚の家に行きますと言う連絡だけを残して、家にも帰って来ていない。
「はぁ」
心配な気持ちが、俺に深いため息をつかせた時、頭に何かが当たって、床に落ちた。
また陽香か?
俺も学習する。これは陽香が丸めた紙を投げたに違いない。
そう思って、俺が床に目を向けると、やはり丸めた紙が落ちていた。
それを拾う前に陽香に目をやる。俺の方を向いていた陽香は視線が合うと、そのまま顔を黒板に向け、視線を逸らした。
「何をいつまでも、くよくよしてんのよ!
亮がそんなじゃ、私楽しくないんだからね!
早く元気出しなさいよ」
丸めた紙にはそう書いてあった。
くよくよなんだろうか?
心配しているだけだと思っていたが、もしかして、俺は陽香や玲奈よりも、彩加の事が好きで、その彩加がいなくなった事で落ち込んでいたんだろうか?
まだ俺は自分の気持ちが分かっていない。
そんな時だった。教室のドアが勢いよく開くと、ヅラと評判の校長が姿を現した。
校長の用件は警察の車が校門前に来ているので、大至急それに乗って、俺に家に帰れと言う事だった。
俺は慌てて鞄の中に教科書とノートを詰め込むと、教室を後にした。そんな俺をクラスメートたちは何事かと、陽香と玲奈は心配そうな表情で見送っていた。
俺は警察車両の中で、事情を聞いた。
何でも、蛮族との戦いで苦戦する結果となった、ヤマシロのミサイル統合管制システムの機密情報をミマサカのどこかに送ったのが、うちの家のPCだと言うのだ。そして、平日の夕方と言う事で、PCを操作したとしたら、俺以外ないだろうと言う事だった。
はっきり言って、俺にそんな覚えはないし、俺の父親はともかく、俺自身はそんな機密情報など持っていない。
濡れ衣だ。
そして、それはすぐに晴れるだろう。
何しろ、その調査には俺の父親も立ち会うのだから。
俺はそう思っていた。




