かわいい転校生
そんな俺を救ってくれたのはチャイムだった。どんな時だって、チャイムが鳴れば教室に入る。それが生徒ってもんだ。もちろん、教室の中に入ってはいても、自分の机に座っていない場合もあるが。
俺は朝から疲れた気分で、机に座った。
疲れたと言っても、女の子が好きでない訳ではない。はっきり言って、俺は女の子は好きな方だ。いや、それどころか、かわいい女の子はみんな俺のものにしたいくらいだ。
女の子には悪いが、それが男の本能ってもんだ。だが、世の中、それを許してくれるほど、そう甘くない。
二股しただけでも、非難の嵐だ。女の子たちから、人として許してもらえないことくらい、分かっている。
そして、もう一つ、俺は知っている。
ばれなければいいのだ。しかしだ、同級生二人に手を出して、ばれないなんて都合のいい幻想を抱くほど、俺は馬鹿じゃない。
ここはじっと我慢だ。卒業すれば、陽香と玲奈の接点は遠のくはずだ。俺はそれを待っているのだ。
そんな俺はもしかするとワルかもしれない。
そんな気分で机に座っていると、教室のドアが開き、担任が入ってきた。
始まっちまった。
そんな気分で、担任に目を向けた時、俺の瞳は見開いた。
転校生である。それも、とびきり抜群の女の子。
ぱっちりとした目、すらりとしたスタイルで、出るところは出て、くびれるところはきっちりとくびれているのが、制服の上からでも感じ取れる。
肩まで伸びる黒い髪を止めたカチューシャがこれまた似合っている。
制服のスカートの短さも最高で、すらりとした足がたまらない。
その転校生が担任の後を歩いて行くのを、ずっと俺の視線はロックオンしていた。
すると、頭に何かが当たって、床に落ちた。
何だ?
俺が床に目を向けると、丸めた紙が落ちていた。
誰かが俺に向けて投げてきた。
そう思った俺が投げてきた奴がいると思う方向に目を向けると、陽香がまたまたほっぺを膨らませ、俺を見ていた。そして、俺と目が合うと、ぷいと顔をそむけた。
しまった。
俺の邪な心が読まれた。
そう思いながら、床に落ちている紙を拾って、広げて見た。
「亮のバカ!
他の女の子に色目使ってんじゃないわよ!」
やっぱり、読まれていた。
俺は思わず、ため息をつきながら、うなだれてしまった。
その頃、転校生の自己紹介が始まった。
「水上彩加って言います。
趣味は、えっとぉ、音楽を聞いたりぃする事かな」
そんな俺が転校生に遠慮がちに目を向けると、視線が合った。
ばちばちと火花が散った、いや熱く絡み合ったとはこの事を言うのではないだろうか。そう思うほど、その転校生と俺は熱く見つめあってしまった。おまけに、俺をじっと見つめたまま、首を少し傾けながら、かわいく微笑んだのだ。
あれは俺だけへの微笑みとしか考えられない。
一目ぼれ!
きっと、あの転校生は俺に一目ぼれしたんじゃね?
俺の鼓動は高鳴った。
この子も、いつかは俺のものにしたい。
そう思った時、俺は現実に引き戻され、慌てて陽香に顔を向けた。
思いっきり怒った顔をしてたかと思うと、俺に向かって、べろを出しながら、思いっきり、イーだ!をしやがった。
まずい。
はっきり言って、この転校生にも、好きになりかけているが、陽香は好きだ。もちろん、玲佳も好きだ。
幸いなことは、玲佳の席は俺より前なので、俺のこの事に気付いていない事だった。




