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俺の姉貴 結花

 彩加を家に送り届けるとは言っても、彩加は一人暮らしである。一人ぽっちで家にいると言う状況は耐えられないと言うので、結局、その日、俺は彩加を俺の家に連れてきた。

 とは言ってもだ、傷つき今にも俺にべったりと寄りかかってきそうな彩加と俺の部屋で二人きり。そんな状況で、いくら傷心の女の子に付けこむような真似は卑怯だと自分を律しようとしても、俺の理性が保ち続けられるわけがない。

 なので、俺はリビングに彩加を連れてきていた。

 俺の家には母親もいて、テレビを眺めながら、彩加と楽しそうに話をしている。


 「この子はねっ、そんなところがあるのよ」

 「本当なんですかぁ?

 彩加も見てみたいです」


 話のネタは俺である。俺としては恥ずかしくて、勘弁してもらいたいとこだが、楽しそうにしている彩加を見ていると俺は止めろよとは言えず、二人の横で黙ってTVに目をやるしかなかった。


 「ただいまぁ」


 家の鍵を開け、玄関のドアを開ける音と共に、姉貴の声がした。少し離れた大学に通う姉貴は、普段一人暮らしをしていて、時々こうして家に帰って来るのだった。

 俺が振り返って、玄関の方に視線を向けると、ばたばたとこちらに向かってくる姉貴の姿があった。


 「あら、お帰り」


 母親が立ち上がって、姉貴に言った。


 「ただいま」


 視線を彩加にくぎ付けにした姉貴が、もう一度言った。そして、姉貴は一度首をかしげた後、言った。


 「ああ、あなた、ゆ」


 姉貴の言葉には先があったはずだが、彩加が立ち上がり自己紹介を始めたので、言葉をそこで止めた。


 「私、水上彩加と言います。

 亮君の同級生なんです」


 そう言って、彩加が姉貴に向かって、お辞儀をした。姉貴は一度目を見開いた後、ばつが悪そうな表情をして、何度か頷いてみせた。


 「あ、そうなんだ。

 私はこいつの姉で、結花です。

 よろしくね」


 姉貴が彩加にそう言うと、彩加がにこりと微笑んだ。

 その日、都合のいい事に姉貴が帰って来たので、彩加は姉貴の部屋で泊まる事になった。学校での嫌がらせで、傷ついていた彩加だったが、能天気な姉と一緒のひと時で、少しは気分が楽になったようだった。

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